「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)

  • 248人登録
  • 3.76評価
    • (17)
    • (19)
    • (24)
    • (1)
    • (2)
  • 21レビュー
著者 : 網野善彦
  • 講談社 (2008年11月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919005

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印

「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

  • あとがきで弟子に批判されているが、確かにこの本、「日本」の同一性をギリギリまで解体することに重点を置いている。いわく、東と西、北海道、沖縄、東北、九州、各地方の独自性、百姓=常民の多様な実像、瑞穂のくにの虚構性、、、。それよりも「日本」という国号自体が7世紀に成立する前、そこは日本ですら無かった。多くの内海を媒介にして緩やかにつながる東アジア一体の中で、ではなぜ、どのように、国家としての日本が形成されていったのか、という疑問が逆に浮かび上がる。あえていえば本書は、この通史シリーズの中において、その疑問を浮かび上がらせるための、挑発的なプロローグとして読むべきなのだろう。

  • 2013.8.10-2013.9.28
    日本といふ国は、大昔から日本であり、今後も日本であり続けるといふ日本人が無意識に抱いてゐる思ひを覆さうとする本。
    さうした見方は「天皇制」と結びついた支配層による作り話だといふ考へが網野氏には強かつたのだらう。
    さうした気持ちが前面に出過ぎて、違和感を感じる場合もあるが、日本が有史以前から大陸と深い関係を持つてゐたこと、自給自足ではなく農業以外の産業も古くから活発で、海運による全国的な物の流通があつたことなど、興味深い指摘が多い。
    解説にあるやうに、さうした開放性、多様性の中で、どのやうに日本といふ国が立ち上がつて来たのかを、詳しく見る必要があるだらう。

  • マルクス主義史観、進歩主義史観への批判。日本という国号がいつごろから使われてきたのかを史料に基づいて論じ、従来のヤマト中心の歴史学を切る。日本が海によって孤立した島国で独自の文化を発達させた単一均質な民族国家であるという"常識"を否定し、瑞穂国日本の虚像を暴く。

  • 戦後日本を代表する日本史家・網野善彦氏が著した本書は、「日本」という枠組みを批判的に検討する。

    本書で語られるのは、「瑞穂の国・日本」から大海原へと漕ぎ出した海の民、「瑞穂の国=稲作国家」の枠に収まることなく農商工業を生業とした山の民、「単一民族国家」という「虚像」からかけ離れた列島内の多様性など、「日本史という枠組み」から逸脱した人々や事象である。本書を通じ、網野氏は「日本」という枠組みがいかに人為的で列島の実情に反したものであるかを明らかにしていく。

    第二次大戦を経験し、その後共産主義運動に身を投じ程なく挫折した網野氏は、「『虚像の上に成立した日本』を徹底的に総括すべきである」との信念を持っていたといい、それが研究の原動力であったようだ。網野氏については「偏っている」という批判も多いらしく、私自身、氏とは真逆の心情を持っているが、本書を読む限り網野氏は学問的に極めて誠実であるように感じられ非常に尊敬の念を抱いた。

    本書の解説で、「それでも『日本』なるものが力を持ち続けたことに答えていない」という批判が添えられていたが、私も同様の意見を持つ。また、普段統計解析を行っている身には、本書の定性的な議論はかならずしも満足できるものでなかった。

  • これは、講談社から2000年に出された『日本の歴史』全26巻の劈頭に置かれた一冊。目次は次の通り。
    1-「日本論」の現在
    2-アジア大陸東辺の懸け橋
    3-列島社会と「日本国」
    4-「瑞穂国日本」の虚像
    5-「日本論」の展望

    文庫版になった網野史学の集大成とも言えるこの初めの一冊では,敗戦以降の従来の「進歩」史観に対する批判と,それを克服する史学の提唱が強調されている。おそらく此処には触れられてない、戦後の研究にまつわるさまざまな事象も含めて、著者は問題提起をしているのだろう。

     従来取り上げられなかったか,極めて副次的にしか論じられなかった課題について、著者は多くの地域調査事例をもとに丹念に語る。

     例えば「日本」という国号が何時決められたか,そして「天皇」は、また「国歌」「国旗」の起源は。さらに従来「農民」として括られる集団(階級)には、農作業に関わりのない様々な民衆,たとえば漁民すらが含まれていた-等々いろいろと興味深い記述が溢れている。

     そしてそれらの調査例の集約により,著者は具体的史実を豊富にしつつ、「進歩」史観では汲み取れなかったという「歴史」課題を提示している。
    たとえば歴史の区分。かつて主流だった原始社会/アジア的社会/奴隷制社会/封建社会/資本制社会と、それを反映させた原始/古代/中世/近世/近代という区分が何処まで有効か,やはり徹底的に再検討すべきだろうとする。

     以上のような著者の多くの提示は解るが,なんで「進歩」史観が様々な問題について間違いであると云っているのか,という辺りが実はあまりハッキリ読み取れなかった。

  • 単一性ではなく多様性をいかに捉えられるかが時代の流れなのは確か、その中で日本の多様性を考えるきっかけになる一冊。各地の地名や苗字にも関心が高まった。

  • 「聖徳太子は日本人ではない」「『百姓=農民』ではない」「日本は単一民族ではない」など、従来の日本史の常識を覆す言説に満ちた歴史書。「網野史観」と呼ばれる、独特の論を展開した著者が2000年に刊行した、晩年のベストセラー。学界からは批判もあるが、とにかく刺激的。著者が本書で紹介した「環日本海・東アジア諸国図(通称:逆さ地図)」(富山県が作成)は、見慣れた日本地図を回転させただけだが、一見して驚きを感じる。多くの日本人は、自国のことを「太平洋に浮かぶ島国」と思っているが、この地図を見ると、実は『ユーラシア大陸とほとんど陸続きに近い』と分かり、やはり世界の見え方が一変する。

  • 「日本」という国号はいつ決まったのか。海に隔てられた「島国」に単一な民族が住み、独自の文化が育まれたのか。東にも西にも稲作が行きわたり「百姓」が均質な社会を作っていたのかーこの国の成り立ちに関する常識や通説に向けて問題を提起し、柔軟な発想と深い学識で新たな列島像を展開した網野史学の集大成。文庫版本格的通史の劈頭を飾る。

  • 展示中 2014.9~

  • 日本史を勉強し直そうと思い全巻揃えました。

    この書は、この講座全巻を通しての歴史観を当然表しているのだと思う。(もちろんまだ読み通してないが)

    はじめて網野史観に触れた時の衝撃は今でも忘れられない。今では、普通になりつつあるが、当時は、あまり一般的な見方ではなかったように思う。小説家でしか描けなかった、生き生きとした歴史が、一流の学者から学べる。

    この先、全巻読破に、何年かかるが分からないが読み通したい。

  • 小学校からずっと習ってきた日本史は、建前を表面的になぞっただけだったみたい。

    過去の人々の生活が生き生きと想像できた事、著者が警鐘している、そもそもの日本の成り立ちについて考えられた事、とても興味深く読めた。

    それにしても、歴史は難しい。今までの誰かの意図で、解釈を曲げられるのだ。全ての報道に言えることだけど、改めて感じました。

  • 「借」(大学の図書館)。

    日本史を勉強し直そうと思って読んだ。
    「日本」について考えさせられた。

    そもそも「日本」という国は複雑で、
    ひとくくりに語ることはできない。
    それに気づかさせる一冊。

    高校までの日本史とは違ってかなり刺激的。
    オススメ!

  • 講談社学術文庫の歴史シリーズの第0巻。
    ちなみに第1巻は縄文時代。その1巻の前に、まず日本を掴むべくこの0巻がある。順番的にも、内容的にも、第1章が縄文から始まる日本史の教科書にはまず載せられない日本史観が展開されている。網野善彦の歴史観に迫れる。
    まだ0巻しか読んでいないが、始まる前からクライマックス。

  • 網野善彦が死ぬ直前に書いた集大成の本。日本は島国だとか独特だとか言う定説に疑問を投げかけている。アジア大陸を下にしてみた地図は確かに日本は大陸の中の小さな半島でしかないことが分かる。またその地図より、西日本は朝鮮、中国から東日本はロシアから文化が伝わってきて、日本の中が画一的よ様に捕らえられてきた今までの歴史の考え方が確かにおかしいと感じる。例えば、弥生時代は西日本しかなかったなど言われてみれば最もな説に関心した。

  • 俺の今まで持っていた「日本」というイメージを根本からぶち壊す作品。
    世界へ非常に開かれていた、積極的なイメージで、本当かよ?と思わせるほど、スケールがでかい。

  • 中世史家・網野善彦による講談社「日本の歴史シリーズ」(2000年)の巻頭にあたる「日本論」。同シリーズは2008年から順次講談社学術文庫にて文庫化。

    【構成】
    第1章 「日本論」の現在
     1 人類社会の壮年時代
     2 日本人の自己認識
    第2章 アジア大陸東辺の懸け橋-日本列島の起源
     1 アジア東辺の内海
     2 列島と西方地域の交流
     3 列島の北方・南方との交流
     4 東方の太平洋
     5 列島社会の地域的差異
    第3章 列島社会と「日本国」
     1 「倭国」から「日本国」へ
     2 「日本国」とその国制
     3 「日本国」と列島の諸地域
     4 列島諸地域の差異
     5 「日本・日本人意識」の形成
    第4章 「瑞穂国日本」の虚像
     1 「日本は農業社会」という思いこみ
     2 「百姓=農民」という思いこみ
     3 山野と樹木の文化
    第5章 「日本論」の展望
     1 「進歩史観」の克服
     2 時代区分をめぐって

     中世史を独自の視点で捉える「網野史観」が凝縮された日本論である。大学に入ったばかりの時に単行本を読んで、衝撃を受けたのを今でも覚えている。前近代の日本に我々一般人が常日頃抱いている閉鎖的・単一的なイメージを解体し、「脱構築」することによって列島社会である「日本」の多様な特性を提示することが本書の目的である。

     第2章では、日本がアジア大陸の東辺にある「列島」であり、大陸・半島からの人的・物的交流が原始・古代の時代から極めて盛んに行われており、列島内においても瀬戸内から太平洋岸、日本海岸と非常に広範囲にわたって交易圏が発達していたということを律令時代の庸・調などの実態、あるいは「海部」「海人」「海夫」と呼ばれる海民の集落に残された史料から明らかにしている。
     第3章においては、従来単一の「日本」とされている地域が、律令制下の西日本での王権の支配地域に過ぎず、平将門~鎌倉幕府にかけて成立した東の王権は本来異質であった東西の地域差を浮き彫りにするものであり、古代以来「日本」と認識されていた地域にも東西においてかなりの質的な違いがあったと筆者は論じる。つまり、近世以前の東国は未開の荒野であり後進地であるというのは西日本側の一方的な思い込みであって上記海上交通の発達を念頭に入れれば、鎌倉を中心とした東国も立派な経済圏として発達していたと言うのである。
     また、東西の異質さは、神的な権威を拠り所にする西の王権=天皇の支配下にあった職能民の一部について社会的に賤民視されるようになったのに対して、世俗的な東の王権の支配下についてはそのような例は見いだされないということにも現れているという。
     第4章に至り、これまでの議論を下敷きにしながら従来「百姓=農民」であり、「瑞穂国日本=農業社会」であったという図式を非農業民の実態から明らかにする。非農業民とは、古代以来の海民であり、山間地の杣人であり炭焼きの民であり、養蚕家であり、商業民である。明治以来の歴史学において「士農工商」という虚構の制度をつくりあげ、多様な非農業民をすべて「農」と記し、その実態に目を向けてこなかった我々の認識不足を強く訴えている。

     1章・5章については筆者の政治的メッセージが強くこめられており首肯できない点がいくつもあるが、提示される豊富な民俗史料、多くの現地調査から紡ぎ出される多様な日本列島社会のイメージは魅力的である。いろいろと検証が不十分な部分があるにせよこの新たなイメージを一から再構築した筆者の圧倒的な馬力には頭が下がる。

  • 「ある著名な洋酒会社の社長…『あのような熊襲の住んでいる未開なところに,首都を遷せるものか』…一生この洋酒会社のウイスキーは口にしないといった友人はいまもそれを守っている…」 >本文p.102~103

  •  やや感情的すぎる嫌いはあるが、「日本」国号や「百姓=農民」「単一民族」などの「常識」に対して、真正面から問題提起をしている。
     日本史に対する視野を広げるためにも、一読しておきたい一冊。
     

  • この「日本の歴史」というシリーズの総論的な巻なんだと思いますが、無理にまとめようとしている感じではなく、
    いろんな視点から、「日本」について書かれています。
    学術的な部分も多いですが、教養として読んでみるのもいいんじゃないでしょうか?

    〈読了日:2010.1.3〉
    〈所在:図書館(067200801974)〉

  • 昨年の9月頃から再読し始めた網野善彦ですが、情けないことに遅々として進まない情況にあるにもかかわらず、今だに岩波の全18巻別巻1冊の著作集をどうしようか迷っています。刊行された全ての著作を揃えているので、今更同じものを二重に持つ必要などないのに。それにしても、これほど素晴らしい誰もなしえなかった画期的な研究をされた網野善彦ですから、なんとか養老孟司や奥本大三郎や山口昌男ばりの文章をお書きになれたら、もっと読者層も広がる可能性があるのではと思ってしまいます。歴史研究・学究一筋で来られて、文学的素養を身につける余裕もなかったということでしょうが、でも文面から滲み出る真摯な透徹した姿勢・人柄は眩しいばかりで、その解析される世界には身震いするほど感動を覚えますので、なんとかもっと一般的に読まれる工夫ができないものかと、どうしても地団太踏んでしまうのです。・・・・・

  • 購入:2008/11/7、読了:-/-/-

全21件中 1 - 21件を表示

「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)の作品紹介

「日本」という国号はいつ決まったのか。海に隔てられた「島国」に単一な民族が住み、独自の文化が育まれたのか。東にも西にも稲作が行きわたり「百姓」が均質な社会を作っていたのか-この国の成り立ちに関する常識や通説に向けて問題を提起し、柔軟な発想と深い学識で新たな列島像を展開した網野史学の集大成。文庫版本格的通史の劈頭を飾る。

ツイートする