「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919005

感想・レビュー・書評

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  • 「日本論」の現在(人類社会の壮年時代;日本人の自己認識―その現状)◆アジア大陸東辺の懸け橋―日本列島の実像(アジア東辺の内海;列島と西方地域の交流;列島の北方・南方との交流;東方の太平洋へ;列島社会の地域的差異)◆列島社会と「日本国」(「倭国」から「日本国」へ;「日本国」とその国制;「日本国」と列島の諸地域;列島諸地域の差異;「日本・日本人意識」の形成)◆「瑞穂国日本」の虚像(「日本は農業社会」という常識;「百姓=農民」という思いこみ;山野と樹木の文化)◆「日本論」の展望(「進歩史観」の克服;時代区分をめぐって)

    著者:網野善彦(1928-2004)
    編集委員:網野善彦(1928-2004)、大津透(1960-)、鬼頭宏(1947-)、桜井英治(1961-)、山本幸司(1946-)

  • 「『日本』とは何か」という問いに対する直接的な答えは得られないが、少なくとも、「『日本』とは何か」を考える視野は広げられる。

  • 単一性ではなく多様性をいかに捉えられるかが時代の流れなのは確か、その中で日本の多様性を考えるきっかけになる一冊。各地の地名や苗字にも関心が高まった。

  • 「日本」という国号はいつ決まったのか。海に隔てられた「島国」に単一な民族が住み、独自の文化が育まれたのか。東にも西にも稲作が行きわたり「百姓」が均質な社会を作っていたのかーこの国の成り立ちに関する常識や通説に向けて問題を提起し、柔軟な発想と深い学識で新たな列島像を展開した網野史学の集大成。文庫版本格的通史の劈頭を飾る。

  • 小学校からずっと習ってきた日本史は、建前を表面的になぞっただけだったみたい。

    過去の人々の生活が生き生きと想像できた事、著者が警鐘している、そもそもの日本の成り立ちについて考えられた事、とても興味深く読めた。

    それにしても、歴史は難しい。今までの誰かの意図で、解釈を曲げられるのだ。全ての報道に言えることだけど、改めて感じました。

  • 講談社学術文庫の歴史シリーズの第0巻。
    ちなみに第1巻は縄文時代。その1巻の前に、まず日本を掴むべくこの0巻がある。順番的にも、内容的にも、第1章が縄文から始まる日本史の教科書にはまず載せられない日本史観が展開されている。網野善彦の歴史観に迫れる。
    まだ0巻しか読んでいないが、始まる前からクライマックス。

  • 中世史家・網野善彦による講談社「日本の歴史シリーズ」(2000年)の巻頭にあたる「日本論」。同シリーズは2008年から順次講談社学術文庫にて文庫化。

    【構成】
    第1章 「日本論」の現在
     1 人類社会の壮年時代
     2 日本人の自己認識
    第2章 アジア大陸東辺の懸け橋-日本列島の起源
     1 アジア東辺の内海
     2 列島と西方地域の交流
     3 列島の北方・南方との交流
     4 東方の太平洋
     5 列島社会の地域的差異
    第3章 列島社会と「日本国」
     1 「倭国」から「日本国」へ
     2 「日本国」とその国制
     3 「日本国」と列島の諸地域
     4 列島諸地域の差異
     5 「日本・日本人意識」の形成
    第4章 「瑞穂国日本」の虚像
     1 「日本は農業社会」という思いこみ
     2 「百姓=農民」という思いこみ
     3 山野と樹木の文化
    第5章 「日本論」の展望
     1 「進歩史観」の克服
     2 時代区分をめぐって

     中世史を独自の視点で捉える「網野史観」が凝縮された日本論である。大学に入ったばかりの時に単行本を読んで、衝撃を受けたのを今でも覚えている。前近代の日本に我々一般人が常日頃抱いている閉鎖的・単一的なイメージを解体し、「脱構築」することによって列島社会である「日本」の多様な特性を提示することが本書の目的である。

     第2章では、日本がアジア大陸の東辺にある「列島」であり、大陸・半島からの人的・物的交流が原始・古代の時代から極めて盛んに行われており、列島内においても瀬戸内から太平洋岸、日本海岸と非常に広範囲にわたって交易圏が発達していたということを律令時代の庸・調などの実態、あるいは「海部」「海人」「海夫」と呼ばれる海民の集落に残された史料から明らかにしている。
     第3章においては、従来単一の「日本」とされている地域が、律令制下の西日本での王権の支配地域に過ぎず、平将門~鎌倉幕府にかけて成立した東の王権は本来異質であった東西の地域差を浮き彫りにするものであり、古代以来「日本」と認識されていた地域にも東西においてかなりの質的な違いがあったと筆者は論じる。つまり、近世以前の東国は未開の荒野であり後進地であるというのは西日本側の一方的な思い込みであって上記海上交通の発達を念頭に入れれば、鎌倉を中心とした東国も立派な経済圏として発達していたと言うのである。
     また、東西の異質さは、神的な権威を拠り所にする西の王権=天皇の支配下にあった職能民の一部について社会的に賤民視されるようになったのに対して、世俗的な東の王権の支配下についてはそのような例は見いだされないということにも現れているという。
     第4章に至り、これまでの議論を下敷きにしながら従来「百姓=農民」であり、「瑞穂国日本=農業社会」であったという図式を非農業民の実態から明らかにする。非農業民とは、古代以来の海民であり、山間地の杣人であり炭焼きの民であり、養蚕家であり、商業民である。明治以来の歴史学において「士農工商」という虚構の制度をつくりあげ、多様な非農業民をすべて「農」と記し、その実態に目を向けてこなかった我々の認識不足を強く訴えている。

     1章・5章については筆者の政治的メッセージが強くこめられており首肯できない点がいくつもあるが、提示される豊富な民俗史料、多くの現地調査から紡ぎ出される多様な日本列島社会のイメージは魅力的である。いろいろと検証が不十分な部分があるにせよこの新たなイメージを一から再構築した筆者の圧倒的な馬力には頭が下がる。

  • 「ある著名な洋酒会社の社長…『あのような熊襲の住んでいる未開なところに,首都を遷せるものか』…一生この洋酒会社のウイスキーは口にしないといった友人はいまもそれを守っている…」 >本文p.102~103

  • この「日本の歴史」というシリーズの総論的な巻なんだと思いますが、無理にまとめようとしている感じではなく、
    いろんな視点から、「日本」について書かれています。
    学術的な部分も多いですが、教養として読んでみるのもいいんじゃないでしょうか?

    〈読了日:2010.1.3〉
    〈所在:図書館(067200801974)〉

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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