論語 増補版 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919623

作品紹介・あらすじ

人間とは何か。溟濛の時代にあって、人はいかに生くべきか。現代と交響する至高の古典に、われわれは親しみ、学んできた。だが、さらに多くの宝石のように美しいことばが、人知れず眠っている-。儒教学の第一人者が『論語』の本質を読み切り、独自の解釈、達意の現代語訳を施す。漢字一字から検索できる「手がかり索引」等を増補した決定新版。

感想・レビュー・書評

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  • 儒教のテキストである論語は、本文、と本文が分かりにくいために注釈本、これを「注」、さらに注釈本の注釈本、これを「疏(そ)」という。注も疏も星のようにたくさんある。
    その中で、スタンダードなのが、魏の何晏(かあん)が記した「論語集解」を古注、宋代の朱熹が記した「論語集注」を新注という。本書は、古注を採用している。
    さらに、「論語集解」に、宋の刑昺(けいへい)が注釈をつけた、疏が、「論語正義」。つまり、「論語」+「論語集解」+「論語正義」をまとめたものが、論語の解説書なのである。
    ようは、単純な記述で意味がわからない部分が多すぎるので、解説をたくさん含んだテキストをつかって勉強をしなければ、論語は理解できないということなのです。

    また、本書は合わせて、いくつもの索引がついていること、論語を細かく読み進める方、分析する方にとっては、好都合のテキストなのです。

    さらに、論語の内容は大きく3つに分かれると思う。1つは道徳を解いたもの、これはいい、今1つは、田沼意次が役に立たないとみなした経営の部分、注がつこうが現代には通用しないのであるから、読み飛ばせばいいと思う。そして、歴史を記載した部分、孔子の弟子や周りの状況を書いた部分、こちらも別に読まなくともいいかと思う。

    蛇足:孔子の生涯については、司馬遷の史記に負うところが大きい。また、中国にてこれほど、論語の研究が深まったのは、科挙の出題が論語からもだされていたため、つまり、国家資格をとるためのテキストでもあったということなのです。

    気になったのは、以下です。

    友遠方より来る、また楽しからずや 学而1
    巧言令色、鮮(すく)なし仁 学而3
    和をもって貴しとなす 学而12
    人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患う 学而16

    吾、十五にして学に志す 為政4
    故きを温めて新しきを知る 為政11
    学びて思わざれば、即ちくらし、思いて学ばざれば、即ちあやうし 為政15
    義を見てなさざるは、勇なきなり 為政24

    朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり 里仁8
    利によりて行えば、怨み多し 里仁12
    君子は言い訥にして、行いに敏ならんことを欲す 里仁24
    徳孤ならず、かならず鄰(となり)有り 里仁25

    黙して之を識(しる)し、学びて厭わず、人におしえてうまず、何か我にあらんや 述而2
    仁遠からんや、我仁を欲すれば、すなわち仁至る 述而29

    学は及ばざるがごとくせよ、なお之を失わんことを恐れよ 泰伯17

    我いまだ徳を好むこと色を好むがごとき者を見ざるなり 子罕18
    知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず 子罕29

    君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず 子路23
    剛・毅・木・訥は仁に近し 子路27

    徳を知るものはすくなし 衛霊公4
    人遠慮なければ、かならず近憂あり 衛霊公12
    過ちて改めず、是を過ちという 衛霊公30
    君子は貞にして、諒ならず 衛霊公37

    目次

    はじめに
    凡例
    引用・参考文献

    学而 第1
    為政 第2
    八佾 第3
    里仁 第4
    公冶長 第5
    雍也 第6
    述而 第7
    泰伯 第8
    子罕 第9
    郷党 第10
    先進 第11
    顔淵 第12
    子路 第13
    憲問 第14
    衛霊公 第15
    季氏 第16
    陽貨 第17
    微子 第18
    子張 第19
    堯曰 第20

    後記
    孔子略年譜
    人名索引
    語句索引
    手がかり索引

    ISBN:9784062919623
    。出版社:講談社
    。判型:文庫
    。ページ数:544ページ
    。定価:1630円(本体)
    。発売日:2010年06月15日第6刷

  • 去年の暮れ。仕事でモヤモヤすることがあった折。
    あれこれと悩んだ末、この矛盾だらけの世の中について、偉大な先人たちはどのように思っていたのだろう? その考え方に少しでも触れることができれば、何かヒントが見つかるかもしれない、と考えるに至り、今まであまり読めていなかった古典を読もうと思いたちました。
    思想書の古典といえば、ということでまず思い浮かんだのが、こちらの『論語』。
    本屋さんで、岩波文庫版と、講談社学術文庫版を見比べ、フォントのサイズと、書き下し文と和訳の配列がなんとなくしっくりきた、こちらの講談社学術文庫版で、読書開始。

    さて、『論語』は孔子の本、と漠然と思ってきましたが、改めて読んでみると、孔子自身が書いたものではなく、孔子とその門人たちの言行録なんですよね。
    孔子(前552〜前479、74歳で没)は春秋時代の中国の学者・思想家。
    いっときは宰相の地位までのぼり成果をあげるものの、失脚し、以降は15年に渡る諸国放浪の旅に出、苦難の時代を過ごし、晩年は学問と教育に専念したとされています。
    『論語』には、短いものでは現代語訳で100字程の孔子の言葉、または、孔子と門人の会話が収録されており、今風の言い方をすれば、一つひとつの言葉はまるでツイッターの個々の「つぶやき」。
    それらを20個ほどまとめて一つの編が構成されている様は、さながら「スレッド」とか「まとめ」のようだなと思います。
    言葉のまとめかたって、案外今も昔もそう変わらないんだな。

    実際に読み始めてみると、一つひとつの言葉が簡潔で説明が少ない分、ページをめくることはできても、わかったような、わからないような。
    その意味では、論語のいくつかのフレーズを抜粋し、孔子の生涯になぞらえて物語に仕立てた下村湖人の『論語物語』の方がわかりやすくて胸に染みたように思います。
    でも、多少読みにくくても、やっぱり原典を手にとって良かったと思えたのは、有名な『和をもって貴しと為す』というフレーズの、前後の文章を知ることができたこと。
    実は、昔からこの言葉を聞くと、「和こそ貴い」(だから、個人の気持ちはある程度我慢しなければならない)と言われている気がして(私だけかしら?)ちょっと苦手だったんですよね。
    だけど、原文は「……礼の用は、和もて貴しと為す。……和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦行う可からず」となっていて、要は、礼式の実行においては堅苦しくなく和やかであることが大切だけど、馴れ合いもよくないから、程よく両者が釣り合っていたほうが良い、という意味なんですよね。
    なんだ、孔子、けっこう融通効くんじゃん、笑(←馴れ馴れしい)。

    休み休み読んでいたら、いつの間にか半年が過ぎていて、ちょっと焦ったけど。
    読んでいる最中は、決して楽な道のりではなく、どちらかといえばデスロードだったけど。
    それだけに、読み終えた達成感と充実感もひとしおな一冊。
    渋沢栄一『論語と算盤』や、中島敦『弟子』など、論語がモチーフにされた有名な作品も多いので、機会を見つけてそれらも読んでみたいと思います。

    • ダイちゃんさん
      snowdome1126さん。ダイと言います。“いいね”ありがとうございました。私も、迷った時に、論語を読みました。古典と言われる本には、言...
      snowdome1126さん。ダイと言います。“いいね”ありがとうございました。私も、迷った時に、論語を読みました。古典と言われる本には、言霊の言葉に出会う事があります。古典と言われる所以ですね。時折、本棚を見せて頂きます。よろしくお願いいたします。
      2021/12/22
    • snowdome1126さん
      ダイちゃんさん、はじめまして、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      古典、いいですよね。時おり光が差し込んでくるような文章に出会える...
      ダイちゃんさん、はじめまして、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      古典、いいですよね。時おり光が差し込んでくるような文章に出会えるのが楽しみで、手に取っています。
      とはいえ、いつも読んでいる時は七転八倒なんですけどね〜、論語は1番苦戦したかもです(笑)。
      こちらこそ、おりおりお邪魔させていただきますね。
      よろしくお願いします^^
      2021/12/22
    • ダイちゃんさん
      返信コメント頂き、ありがとうございました。
      返信コメント頂き、ありがとうございました。
      2021/12/23
  • とても面白かった。読み進めるうちに、孔子や弟子達のキャラが立ち上がってくる。主従、師弟、親子といった階層性や儀礼を重んじる向きについては現代の感覚とは異なるところがあるし、孔子の自己評価や弟子に対する評価は「ん?」と思うところもあるのだが、全体として、人間として誠実であることやその難しさについて考えさせられる。また、それが古代から変わらない人間の命題なのだと思うと、大きな心持ちで世の中をとらえることができる気がする。

    字義が今とは違う漢字もあるので、現代語訳の補足は大いに理解の助けになるが、まず自分の感覚で原文や書き下し文を受け止めてみると、古代人を身近に感じることもでき、より深く味わえると思う。

  • 論語って為政者にとって都合の良い本だよね。立場が上の人に立場が上の人を敬えって言われても困るよ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740697

  • 半分でリタイア。
    金谷治訳注の論語よりも読みやすい。

    目に見える成功に憧れがちだけど、
    地道に自分を磨く、慎ましい暮らしもすてきだと思えた。

  • 読むには中々胆力の要る指南書。
    歴史の知識がある方はすんなり入って来るかも。
    そういう意味では、教養や知識というのは、歴史や文化に根付いてると感じます。

    数ある教えの中には、割と辛辣な一節も。
    「老先生の教え。四十にもなって人に憎まれるようでは、もう終わってるわ」

  • 譛?霑代?隲冶ェ樊悽縺悟、壽焚蜃コ迚医&繧後※縺翫j縲√■繧?▲縺ィ縺励◆繝悶?繝?縺ォ縺ェ縺」縺ヲ縺?∪縺吶?ゅ◎縺ョ繝悶?繝?縺ォ荵励▲縺溯ィウ縺ァ縺ッ辟。縺??縺ァ縺吶′縲ゅ?ゅ?
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  • ハーバードの人生が変わる東洋哲学を読んで、ついに読んでみようと思い立った。ハーバードの、では、論語は、何々であるかのように振る舞うことが、礼であり、それを実践することが、仁としている。
    論語を実際に読んだ限りだと、君子、つまり教養人となるには、知識に加えて、道徳が必要である。また人を動かすために礼儀や、言葉をきちんとするために詩がある。

    あえて、一言でまとめずとも、役立つ言葉を都度は消費する使い方でもいいのかもしれない。そうでないと、強迫観念だけがくるので。

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著者プロフィール

1936年大阪生まれ。京都大学卒業。文学博士。大阪大学名誉教授。専門は中国哲学史。著書に『論語 全訳注 増補版』『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』以上講談社学術文庫、『儒教とは何か』中公新書、『ビギナーズ・クラシックス中国の古典 論語』角川ソフィア文庫ほか。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ まんが人物伝&まんがで名作 新しいお札の顔!近代日本の偉人セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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