最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記 (講談社学術文庫)

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著者 : 保田孝一
  • 講談社 (2009年10月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919647

最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

  • 最後のロシア皇帝・ニコライ2世が、死の4日前まで書き続けた日記の抜粋。単なる抄訳ではなく、ロシア史の第一人者による必要充分な解説がほどこされ、とても読みやすく、わかりやすい。往時の日露を行き交った美術品探しといった箸休めも用意され、読んで楽しいものになっている。
    日記そのものの内容であるが、「皇帝ニコライの日記」というより、「皇帝の任にあった男ニコライ・ロマノフの日記」の趣。だいたい亡国の帝なるものは、覇気や能力には恵まれなかったかもしれないが、個人としては善良な人物であった…などというのが相場だが、ニコライもその例に洩れない。
    とりわけ驚かされたのが、その穏健さである。例の大津事件が勃発した時、遭難直後から日本側を気遣い、「一人の狂人が何をしようと、日本に対する好印象と感謝の念はいささかも変わらない」と言い続けた。ヨーロッパの大国の皇子が、遠い異国でどこの馬の骨とも知れぬ輩に殺されかけて、なかなか吐ける科白ではない。なにせ時代はいまだ不平等条約が残り、これを口実に戦争をしかけられ、日本が一気に植民地化されてしまうことさえありえた頃なのだ。
    これに限らず、ニコライの筆致は全体にきわめて上品で、対立関係にある相手でも悪しざまにののしったりすることがない。いかにも育ちが良いというか、いわゆるボンボン気質の人物だったのではあるまいか。悪い意味でだけ坊っちゃん育ちの人物も多い中、「良くも悪くも」坊っちゃんだったニコライに、一定の評価を下しても許されるであろう。

    最後に特に記しておきたいのが、1929年生まれの著者があやつる自然な敬語の美しさだ。「三笠宮寬仁さま逝去」などと見出しに掲げて恥じない「ジャーナリスト」の面々に、100回くらい音読させたいものである。

    2012/6/23〜6/26読了

  • ロシア最後の皇帝ニコライ二世の日記。

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最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記 (講談社学術文庫)の作品紹介

帝政ロシア最後の皇帝となったニコライ二世。その生涯は歴史の流れの大転換を一身に体現するものであった。訪日の際の大津事件、日露戦争、第一次世界大戦への突入、革命の進行に伴う退位と抑留等、歴史的事件の渦中で彼は何を見、どう動いたのか。処刑の直前まで書き続けられた日記から、日常の政務、革命への態度、人間関係、日本観などを読み解く。

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