権力と支配 (講談社学術文庫)

  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062920919

作品紹介・あらすじ

ウェーバーの著作全体への入口とも言える本書は、支配のあり方を比較するために服従する側の動機から接近する。正当性のタイプに基づく支配の三類型(合法的・伝統的・カリスマ的)にはじまって、一つ一つの概念を緻密に検討する粘り強い論考は、やがて官僚制論へと展開しながら、あらゆる「支配」の本質に迫る。社会の科学はここからはじまった。

感想・レビュー・書評

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  • 「プロ倫」に並ぶウェーバーの代表的著作。論集『経済と社会』をハイライト的に訳出したもの。 支配の類型について、その「正当性」に重きを置きながら、これでもかというほど緻密に定式化しており、現在でもその考え方は全く有効。現実文脈から切り離された抽象的な類型を提示するものではあるが、例示が多いためか、粘り強く読めば内容は比較的理解しやすい(あくまで「比較的」)。ただし(これは訳の問題かもしれないが)句点や文中の括弧が多くて読みづらい。

  • マックス・ウェーバーの大著『経済と社会』の中から、「支配の諸類型」の部分を抄訳した、日本語オリジナルの編集による本らしい。
    「服従」と表裏をなす「支配」の形態を、「合法的支配」「伝統的支配」「カリスマ的支配」の3つにタイプ分けし、実際の社会はそれらの混合による、としながらも、非常に詳細に分析している。
    面白いのはやはり「官僚制」論で、ここでいう「官僚制」は必ずしも公務員に限らず、一般の企業等にも見られる形態として捉えられている。
    この分析はこんにちの日本の社会にも適用できる者で、ほんとうに面白い。
    厳密さを追求するウェーバーの論調には、辟易させられる部分もあるが、おそるべき労力によって構築された思想である。
    日本人にとって、この本が文庫で出た以上は、「プロティスタンティズム」と並んで、ウェーバーの必読書と言えるだろう。

  • 学生時代に有斐閣発行の単行本を購入済みだが、参照に不便であるため講談社学術文庫版を購入した。ヴェーバーの大著『経済と社会』から支配の諸類型に関する部分を訳出したもので、有名な「合法的支配」「伝統的支配」「カリスマ的支配」という支配社会学の理念型を詳述している。特にカリスマの日常化と没支配的意味転換についての記述は、第一次世界大戦後の指導者民主主義構想との関連で重要である。その構想が大統領独裁、延いてはナチス支配への道を開いたのかどうか、慎重な検討が必要になるだろう。なお、有斐閣版に収録されていた社会主義講演は、既に同じ講談社学術文庫として刊行されているため削除されている。

  • 361.4||W38

  • 読みにくい、、、
    訳の所為なのか、そもそもなのか、、、
    落ち着いて一気に読まないと頭に入ってこない

    それでも「フム」と思わせる点も
    ただ、それでも目新しいロジックではないかもと、、
    それこそ、こと政治に関しての営みははるか昔のソクラテス、プラトンの時代からあまり変わらない、、、
    それを丁寧に論証した本とも読める。

    官僚制は結局、高い買い物なのか、、、、
    結局はこれも手段でしかなく、上手く機能する場合も、機能しない場合もある
    それもでも権力者の「恣意」から身を守れても高くつくなら他の「術」をと思うが、他の「術」を述べている本ではない。

  • 権力の構造と支配の構造、それらを実行する本人とを分析して体系的にまとめあげた本である。その類型の特徴を掲げ、それをしてどのような組織となりうるのかが考えられている。現代にも当てはまる部分のある内容と感じた。

  • 文章が難しすぎて理解できない。もう少し注釈がほしいところ。そもそも翻訳がかなり昔なので、私の理解が追いついていないのだろうが。

  • 正直云ふと電車の中でよけいなことを考へないやうにするために読んでゐた。「なるほど、それはかういふことなのか」と思ふこともある一方で、「もつとかんたんに書けるんぢやないの?」といふ気もする。これがウェーバーの著作の中でも入門篇といはれると腰が引けるなあ。もつとも、原文も難解なのだつたら仕方がないのかも。でも英語だともつとわかりやすいつて云ふよなあ。一度読んでみるか? 「封建制」とか、これまで自分がぼんやりと「かういふもの」と考へてゐたことと異なる定義が出てきたりして、読み返すこと一度ならず。とほほ。

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著者プロフィール

1864-1920年。西洋近代について考察したドイツの法学者・経済学者・社会学者。代表作は、本書に収められた講演(1919年公刊)のほか、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1920年)など。

「2018年 『仕事としての学問 仕事としての政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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