逸楽と飽食の古代ローマ―『トリマルキオの饗宴』を読む (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921121

作品紹介・あらすじ

『トリマルキオの饗宴』は、古代ローマが生んだ風刺小説の金字塔『サテュリコン』の最も有名な場面である。そこに描かれた山海の珍味と美酒、かしずく少年奴隷たち、黄金の腕輪と銀の尿瓶…解放奴隷の成金富豪が催す饗宴の一部始終を解読。厖大な文献、考古・美術資料を駆使して、繁栄を謳歌するネロ帝時代の社会と、人々の人生観を再構築する。

感想・レビュー・書評

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  • 古代ローマでは美食を続けるために嘔吐したとされるが、愚の骨頂である。

  •  先日、青柳 正規 氏 による「逸楽と飽食の古代ローマ―『トリマルキオの饗宴』を読む」を読み終えました。
     案内によると、本書が扱っている「トリマルキオの饗宴」は、古代ローマ時代の風刺小説「サテュリコン」の最も有名な場面とのこと。主人公のトリマルキオは、成功して財を成した大富豪の解放奴隷です。
     本書において、著者の青柳氏は、そのトリマルキオが催した饗宴の様子の描写を取り上げて、その背景や意味するところを克明に解説していきます。その内容は、饗宴に供された料理の細かな解説もあれば、トリマルキオの振る舞いから読み解くことのできる当時のローマの世情の説明もあり、とても興味深いものでした。

  • 古代ローマの風刺小説『サテュリコン』の一節である「トリマルキオの饗宴」を徹底的に解説する本。
    成り上がりで大金持ちの解放奴隷であるトルマルキオが開いた豪奢極まる宴会が舞台。招待客エンコルピウスが語り部となり、まさに退廃的というべき宴会の様子が描かれる。
    当時の金持ち宴会料理の数々や風俗の様子を文化的背景にまで踏み込んで解説してくれていて興味深い。しかし字を追っているだけでも伝わる胃もたれしそうな料理の連続に、過剰な演出という名の宴会芸、主人・従者・客入り乱れた乱痴気騒ぎと、これはもうエンコルピウスでなくともうんざりしてくる。

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学副学長、国立西洋美術館館長、国立美術館理事長を経て、2013年より第21代文化庁長官。

「2014年 『アーカイブ立国宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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