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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921152
作品紹介・あらすじ
北条得宗家の執政体制下、幕府は武士の支持を失い、朝廷は大覚寺統と持明院統の対立と両統迭立の中にあった鎌倉時代後期に出現した公家一統体制。それは復古反動か、封建王政か?延喜・天暦の治を理想とする天皇の政権はどのように誕生し、どんな構成と性格を有し、短期間で滅んでいったのか。史料の精緻な読みを通し、後醍醐の夢と挫折を解明する。
感想・レビュー・書評
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後醍醐天皇の建武政権について、その成立と政治機構を扱ったもの。博士論文が元になっているので研究文献の色合いが強く、細かな議論が多い。細部への関心が自分にはあまりないので、ちょっとポイントの分からない議論が多かった。
正中の変における失敗要因として、後醍醐天皇の周辺での儒学の流行と、それに乗った若手急進派の存在が挙げられている(p.47-51)。急進派が朝廷内で孤立してしまったことから広い支持を得られず、後醍醐天皇の一回目の討幕運動は失敗する。それを踏まえて、後醍醐天皇は元弘の変の倒幕に向けて広い勢力を結集していくことになる。特に挙げられているのが、寺社勢力の積極的な取り込み(p.106)である。こうした倒幕に向けた支持勢力の確保についての件はなかなか面白く読めた。
建武政権の行政制度については細かい話が多く、あまり印象に残るものはない。足利尊氏が反北条に翻意する背景として、足利氏の本拠である下野国足利荘が大覚寺統の皇室荘園領である八条院領に属しており、八条院領の下司職を代々、足利氏が受け持ってきたという、足利氏と大覚寺統の歴史的つながりが指摘されている(p.191)のが興味を引いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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