悪魔の話 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921541

作品紹介・あらすじ

悪魔。神の教えと対をなし世界の半分を支配するとされた闇の帝王たち。その誕生から性格、分類、風貌、材質、総数、そして悪魔との契約の方法まで。ヨーロッパが育んだ「悪魔」の観念はどこから生まれどこへ行くのか。その歴史を追い、人類史上最大の悲劇が生起する過程にまで迫る。人の世のいたるところにいる悪魔たちを凝視した"悪魔学入門"。

感想・レビュー・書評

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  • 稀代の読書家として知られる著者が、主として西洋の文学、芸術、歴史を参照しながら、悪魔というテーマにまつわるさまざまなエピソードを紹介している本です。

    澁澤龍彦の著作を思わせる内容ですが、澁澤に比べるともうすこし抑制の利いたユーモアが感じられるように思います。澁澤も、けっしてオカルトに対する熱狂的な情熱を見せることはなく、「手帖」三部作に見られるように百科全書的な関心がその仕事の全体をつらぬいているというべきでしょうが、同時に澁澤のばあいにはみずからの分類的思考それ自体に対する耽溺が感じられます。これに対して本書には、ずっと健全な精神が息づいていて、そのぶんすこしもの足りないような印象を受けてしまいました。

    文庫化に際して増補された「ニーチェの妹」の章では、『権力の意志』の改竄をおこなったエリーザベトの事跡が紹介されています。

  • 「悪魔の話」は講談社現代新書から出ていたのですが、学術文庫に入ったからには、大幅に増補されているかも?←だったら良いなぁ~
    「幻獣の話」も増補版出ないかな、、、

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    「〈悪魔学入門〉ヨーロッパの人々をとらえつづけた想念の歴史。彼らの恐怖と不安が作り出した「悪魔」観念はやがて巨大な悲劇を招く。
     悪魔。神の教えと対をなし世界の半分を支配するとされた闇の帝王たち。その誕生から性格、分類、風貌、材質、総数、そして悪魔と契約する方法まで。
     ヨーロッパが育んだ「悪魔」の観念は、どこから生まれどこへ行くのか。その歴史を追い、人類史上最大の悲劇が生起する過程にまで迫る。」
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    「現れる時間は夜、好きな色は黒。人に禍いと死をもたらし、宇宙をも破壊しつくすすさまじい力……。世界の半分を支配する闇の帝王たちが物語るものはなにか? その誕生から性格、分類、材質まで、「悪魔」の観念が生みだした華麗な精神絵巻をよむ。」

  • 図書館本。悪魔についてのエッセイ。軽く読める内容なので、そこまで詳しく悪魔について論じてる訳ではないですが、楽しく読みました。童話の『ヘンゼルとグレーテル』は20世紀に現実となったものの原型として『前ファシズム的大虐殺物語』であるという点は目からウロコでした。悪魔は文字通り、『悪』なる存在ですが、芸術分野では『神』にも匹敵するものであり、人間からの憧憬を集めているのが面白い。また神より天使より、悪魔や地獄といったものの方が克明に描くことができるというのも、人間の想像力の幅広さとその限界を示していふうで興味深いです。

  • ・生のルールが蹂躙されたように思い、そこに罪深さを覚え、おぞましさに立ちすくみながら、そのくせ怖いもの見たさの好奇心をもかきたてられる。

  • 著者:池内紀(1940-、姫路市、ドイツ文学者)

  • う〜ん・・・。
    途中から悪魔の話ではなくなってしまうのが
    残念です。

  • アニメやゲームでおなじみの悪魔。しかしあなたはその正体を知っていますか?悪魔っていつ生まれたの?種類はどれくらい?どんな力があるの?悪魔についての疑問に答える悪魔学入門書‼な、なんと、悪魔との契約方法も記載!【中央館3F- 文庫・新書 080/KO/2154】

  • 「のちの世の人々は、きっとこの二十世紀を支配した拝金主義の猛烈さに驚くだろう。金銭はすべてのものから、ものの個性と象徴性を奪い取る。つまりはその「魂」を剥奪する。これは何であれ姿を変えることはできるし、すべてに入りこむこともできる。しかし、何ものでもない。金銭はすべてを支配して、何ものも愛さず、すべてを知っていて、しかし、何ものも信じない」 ー 81ページ

     最近の若者はあまり金に執着しないという言論が形成されつつある昨今ですが、皆様お元気にお過ごしでしょうか。

     挨拶はともかく、もし仮に人が金に執着することを嫌がるのだとしたら、このへんが一番の理由なのだなとは思う。その非人間的な質感に対する抵抗。とはいえ、それが最も活発だったのはいわゆるニューエイジ・ブームの時だったと思うから、その対立軸として存在していた高度経済成長、バブル経済というものの勢いの凄さが逆照射的に分かるというものである。

     現在はバブル的な勢いがまるでない分(僕が知る限りは)、その対立軸としてのヒッピーみたいなのも先鋭化はしてこないけれども、その分ゆるい感じで金に対する付き合い方をゆるふわなものに変えていきたいみたいな人は体感的にはかなりいるように思われる。というかそれが主流になるのではないかという予感すらある。

     そのような世界の中で、むしろ拝金主義のほうが今度はカウンターカルチャーとして隆盛したりしないのかな、と思う木曜日の午後。

  • ガッツリとは読んでいない。
    サタニストが人間界で生きるための10の規律的なことを知って、なにか日本人の思想に似たところがあるなと感じ、ヒントを得られればと思って本著を読んでみた。
    色々な社会的・歴史的・文化的な話題を織り交ぜて書いてあるので飽きずに読める。

  • 特に目新しい話でもなく。主観が多いのも気になる。

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著者プロフィール

1940年、兵庫県姫路市生まれ。
ドイツ文学者・エッセイスト。
主な著書に
『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、
『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、
『恩地孝四郎 一つの伝記』(読売文学賞)など。
訳書に
『カフカ小説全集』(全6巻、日本翻訳文化賞)、
『ファウスト』(毎日出版文化賞)など。

「2019年 『ことば事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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