生きがい喪失の悩み (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922623

作品紹介・あらすじ

ナチスの強制収容所での体験を記した世界的ベストセラー『夜と霧』で知られる心理学者で精神科医が、みずから創始した心理療法「ロゴテラピー」について語った講義・講演録。
どの時代にもそれなりの神経症があり、またどの時代もそれなりの精神療法を必要としている――と語るフランクルが看破した20世紀後半の深刻な病は、我々が抱える「底知れない無意味感」によって引き起こされている。それは、フロイトのいう「性的欲求不満」とも、アドラーのいう「劣等感」とも違う「実存的真空」と呼ぶべきものだという。
「生きることの意味」の模索によって、それを克服しようとする「ロゴテラピー」とはいかなるものか。「逆説的志向」「反省除去」「意味への意志」「実存的欲求不満」など、主要な概念を解説しながら、実際の症例を交えて語る。
明治大学教授の諸富祥彦氏が巻末解説を執筆。

〔原本:1982年、エンデルレ書店刊。 原著:Das Leiden am sinnlosen Leben,1977〕

感想・レビュー・書評

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  • 生きる意味の追求は原初的であると、著者フランクルはマズローに異論を唱えた。マズローの欲求階層説については、衣食満たされずとも精神の充足を選ぶ強制収容所の経験から反証可能というのだ。著者フランクルは『夜と霧』で有名な強制収容所における生存者。説得力の重みが違う。

    そこから、ロゴセラピーへ。事実は変えられないが、体験の意味づけを変えることは可能。ポジティブリフレーミングで患者を救う。ロゴセラピーとは、意味中心療法。人が自らの「生の意味」を見出すことを援助することで心の病を癒す心理療法のこと。

    自分の作っている作品に無我夢中で取り組む時、自分自身のことなど念頭になくなる。自分の愛する人に献身的に尽くす時、自分自身のことなど、忘れてしまう。しかし、この時、私たちの心は自然と満たされている。自分のことをすっかり忘れているのに、いや、自分のことなどすっかり忘れて何かに没頭しているからこそ、私たちの心は満たされている。これが人間精神の本来の働きであるとフランクルは言う。眼を意識するのは、白内障などの病気の時だけ。

    意識をしない、当たり前の日常こそ、幸福。幸福の追求、自己実現は、なすべきことの結果として齎されるものなのに、意識するなら本末転倒。凄い本だ。

  • 共感度が高く内容の充実した本だと思った。逆に、どうしてこのテキストがあるのに世の中はこうなのだろうと思い暗くなるくらい。我が意を得たような気もするし、道標にもなると思うし救いもあると思う。それは作者の来歴で有無を言わさずではなくちゃんと言葉による人とのやりとりによって。とてもいい本だったと思う。また読み返したい。

  • ぜひ胸ポケットにお持ちください

  • 自分自身の人生を無意味だと感じる者はただ不幸であるばかりでなく、ほとんど生きる能力もない(アインシュタイン)

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