数学の考え方 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923156

作品紹介・あらすじ

数学には人類の長いあいだの経験が集積されている。細かい計算や技巧の歴史としてではなく、ものの見方、考え方の歴史としてその道程を振り返るとき、目のまえには見たことのない数学の「風景」が広がるだろう。数学の歴史は私たちの思想の歴史にほかならない。数を数えることから現代数学までを鮮やかにつなぐ、数学入門の金字塔。(講談社学術文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 数学の起源や歴史について、数学者の矢野健太郎氏が1964年に出版した作品。

    第一章の数の起源から始まり、第二章では文明が発祥した当時の数学について紹介している。実はこの辺までは楽しく読めたが、次の第三章からはトポロジー、集合、確率など徐々に難易度が増して行き、耳から煙が出そうになるのを必死に堪えながらの読書となってしまった、まともに理解できたのは一筆書きの件くらいかな…

    内容や文章自体は50年以上も前の作品とは思えないほど読みやすく、数学の定理はいつの時代も不変なのだと感じる事ができた。でも、数学の本は当分結構です。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741227

  • 数学の始まりから大学数学の入口まで、平易な説明で記載されている。
    とは言え、多少頭を使いながら読むので疲れる。いかに普段頭つかってないか分かる。
    特に非ユークリッド幾何のところは難しかった。

  •  現代でも色褪せない,数学を学ぶことの本質を一般人にも分かり易く紹介する古典的名著.数学の本質は「考え方や思想の歴史」であり,それにより形成される「思考の型」が私たちが世の中を観測・考える上での「常識や前提」になっている.「数学を学ぶ」ということは数学がこれまで取り組み発展させてきた「世界を見るレンズの種類や感覚」を身につけることにある.多くの人を数学嫌いにさせてきたであろう,ドリルや試験で大量に押し付けられる膨大な計算やそれに伴う細かい技巧は数学の扱う内容の極一部分にしかすぎない.
     日本では多くの人が数学に挫折するのは日常生活にスケールダウンした内容や思考に焦点を当てた「小学校の算数」から,世界を覗くレンズの種類や感覚を身につける為の「数学」の世界に踏み入れ始める「中学校の数学」からであろう.
     自身の思考の型を拡張させるというのは非常に労力と時間がかかる作業で,そのペースは各個人で異なる.また学んでいく思考の歴史は「発展型」である.つまり,ある思考を身につけ,それらを土台にしたり組み合わせたりすることで次の思考を身につけていく.ゆえに学んだ分野の理解が乏しいままだと,その次の思考(分野)の理解が追いつかなくなる.
     多くの教科書・参考書・試験対策本,果ては教師でさえ,数学で学んでいくそれぞれの思考の型を紹介したり強調するものは稀である.思考の型は概念的なものも多く,その全てを言語化するのは難しいという事情もあるが,大抵が「試験で高得点を取る」,「単位を取得する」,「学習要綱をこなす」などの数学を学ぶ本質からかけ離れた部位やテクニックに重点が置かれてしまっている.ことさら問題なのは「思考の型」を身につけることができずとも,「適当なテクニック」を覚えれば好成績を収め試験を通過できてしまうということだ.本来,演習をこなすのはその分野の思考の型を身につける為の修練方法のひとつであり,試験は身につけた思考の型がどれくらい扱えるかを試す指標とすべきものである.
     現在の学校授業のスタイルである,1対多の全体学習ではどうしても一人一人の理解段階に合わせて学習のペースを決めることは出来ない.最悪では教科書の内容を網羅するために「生徒」ではなく「学期」にペースを合わせて進める場合もあるだろう.そして学期のペースに理解が追いつけなければ,膨大に課される計算や試験をこなすことだけに忙殺され,数学への苦手意識や嫌悪が醸成されていってしまう.多くの人の数学を学んだ現役時の感想は「何の役に立つのだろう」などのような非常にネガティブな意見が大半ではなかろうか?
     学ぶ側について考える.結論から述べるならそれぞれが「学習の方法」を身につける他ない.理解のペースや積み重ねている知識が各個人で異なる以上,万人に適応できる万能の手法などは存在しない.自身の到達している領域,目指すべきゴール,そしてそこに登る為の階段の高さや数を自分自身で組み立て登り続けるしかないのだ.
     もちろん,ゴールに至る為の方法論を一から組み立てる必要は全くない.先人に聞いたり,参考書や一般書から引っ張ってきたり,仲間内で相談し合うのも良いだろう.その中から自身の感覚に合致した方法論や技巧を取り入れると良い.「学び始める」そして「学び続ける」ことは非常に労力がかかる.個人では困難な作業もグループであれば続けることもできるだろう.ただし,「教えてもらう」と「自身で考える」のバランスには注意がいる.外部の知識に「アクセスするだけ」では自身の「内部の思考」として身につけることは出来ない.それぞれにあった学びの方法を身につけるには,自分自身が思考することが必要不可欠なのだから.

    テーマ草稿と強調しておきたいこと
    ・個人が費やせる「時間と資源」は有限である.
    ・学びの効率を著しく落とす「モノ・コト」の存在.
    ・チャンスの分配は公平には成り得ない.資本主義と絡めて.
    ・教科書で習う数学の項目は収めるべき順序に並べられているがそれは思考の歴史の発展の順序に沿ったものとは限らない.
    ・公式とは発達した思考までのショートカットもしくはカンニングペーパー

  • 矢野健太郎
    1964年の本だが非常に面白い。

    非常に丁寧に解説されている。
    自分の数学力がひくいため、途中までしか理解できなかったが、しばらくしたら再読して、どこまで理解できるようになったか確認しよう。

  • 7月新着

  • 1967年発行と古い書籍だが,現在でも色あせない内容らしい.
    ちょっとつまらないので,後ほど読むことにし,私設図書館へ移動することにした.

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著者プロフィール

矢野健太郎

一九一二年、東京生まれ。東京帝国大学理学部数学科卒業。パリ大学留学ののち、東京大学助教授、プリンストン高等研究所所員、東京工業大学教授などを歴任。微分幾何学の権威として各国の数学者と交友を結び、日本数学界の国際化を牽引。また啓蒙書や受験参考書の著者として、「ヤノケン」の名で親しまれた。著書に『すばらしい数学者たち』『アインシュタイン伝』『エレガントな解答』『数学物語』『数学の考え方』など。八三年に勲二等瑞宝章を受章。九三年、逝去。

「2020年 『暮しの数学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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