立志・苦学・出世 受験生の社会史 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923187

作品紹介・あらすじ

明治初期「勉強立身」の言説が高まり、学校の序列化も進むと、青少年の上昇移動への野心は新たな「受験的生活世界」を生み出す。怠惰・快楽を悪徳とし、受験雑誌に煽られて刻苦勉励する受験生の禁欲的生活世界を支えた物語とは何なのか。受験のモダンと、昭和四〇年代以降の受験のポストモダンを解読。

感想・レビュー・書評

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  • 第1章 受験生の一日―明治四〇年七月九日
    第2章 勉強立身から順路の時代
    第3章 受験雑誌の誕生
    第4章 「受験生」という物語
    第5章 苦学と講義録の世界
    第6章 受験のポストモダン

  • 【目次】
    はじめに [003-006]
    目次 [007-010]

    第一章 受験生の一日──明治四〇年七月九日 013
    第一高等学校入試会場/英語の問題と受験生の対処法/池田勇人も佐藤栄作も第二志望合格/旧制高校のランキング/猫の目入試改革のはじまり/予備校ブームと名物教師の元祖/私立大学が予備校を経営したわけ/明治のベストセラー参考書

    第二章 勉強立身から順路の時代 035
    勉強ハ冨貴ヲ得ル資本/『学問のすゝめ』と『西洋立志編』のコピー投書/勉強立身ルートに馴染みがない民衆/受験的生活スタイルの原型/武士の「立身」と町人の「出世」/勉強立身という新しいパラダイム/人材選抜の四類型/僥倖から秩序の時代へ/学校ガイドブックの登場

    第三章 受験雑誌の誕生 059
    「遊学」は明治二〇年代のキーワード/受験雑誌の源流/受験! 受験!/中学生の進路/第一高等学校の入学試験ほどむつかしき試験は少なし/難問奇問批判第一号/高等学校・官立専門学校の入試の激化/どこへでも入りさえすればよい主義の芽生え/二大月刊受験雑誌の登場/歐文社と螢雪時代/受験雑誌は日本的現象

    第四章 「受験生」という物語 087
    受験生の誕生/小説にみる受験生/「諸君大いに苦しみ給へ」/努力とガンバリズムの時間と空間/神経衰弱という病/受験雑誌はガンバリズムの刺激剤/日本の入試問題と溜め込み型学習/イギリスのAレベル試験/戦前は論述式試験/「英語は実力」の本当の意味/作文は決意表明を要求/記憶妙剤壮士丸/『セルフ・ヘルプ』が読まれたわけ/学歴エリートと民衆の通奏低音/受験の“物語”と“現実”のずれ/受験雑誌の最大の機能

    第五章 苦学と講義録の世界 125
    学校の隠れたカリキュラム/勉強立身の空転と苦学ブーム/苦学の変質と便乗悪徳産業/新聞配達と人力車夫/苦学サバイバル率は一〇〇人に一人/堕落経路/講義録会員は中学生の数よりも多かった/講義録のユーザーはどんな人/講義録と専門学校入学者検定試験/専検合格率/専検から高校という大障害レース/クール・アウトとは/講義録は時間稼ぎ/独学・苦学者へのスティグマ/旧制高校文化と苦労人的ハビトゥスの距離/教養主義という虚構

    第六章 受験のポストモダン 159
    昭和四〇年代までは受験のモダン/目標の脱神秘化/投資の拒否/試験の秘儀牲が剥がれるとき/受験産業は教育とアカデミズムの秘密を暴く/クール・ダウン=柄相応主義/予期的選抜の時代/学歴だけでは不十分/学歴は弱い資本/ハビトゥスの現在/受験現象のゆくえ

    アフター大衆受験圧力釜社会論 学術文庫版あとがきにかえて [189-198]
      偏差値受験体制の終焉/学力・学歴をめぐる「顕教」と「密教」/症候とシナリオ
    注 [199-205]

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著者プロフィール

1942年、東京都生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学大学院教育学研究科教授などを経て、現在、関西大学東京センター長。関西大学名誉教授・京都大学名誉教授。教育社会学・歴史社会学専攻。著書に『日本のメリトクラシー』(東京大学出版会、第39回日経経済図書文化賞)、『革新幻想の戦後史』(第13回読売・吉野作造賞)『清水幾太郎の覇権と忘却』(ともに、中公文庫)、『社会学の名著30』(ちくま新書)、『教養主義の没落』『丸山眞男の時代』(ともに、中公新書)、『大衆の幻像』(中公公論新社)、『立志・苦学・出世』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『教養派知識人の運命 阿部次郎とその時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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