- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062923545
作品紹介・あらすじ
講談社創業100周年記念企画として刊行された全集「興亡の世界史」の学術文庫版第一期のうちの第5冊目。
戦前は革新官僚として満州国の経営に辣腕を振るい、戦後はA級戦犯容疑のどん底から首相に昇り詰めて高度経済成長を発進させ、日米安保改定の立役者となった岸信介。
かたや植民地の教師から満州国軍官学校に入学し、皇帝・溥儀から金時計を授与された帝国軍人・高木正雄。敗戦後、朴正煕として韓国軍のなかで頭角を現しクーデタを決行。大統領となってからは「漢江の奇跡」とよばれる近代化を成し遂げる。
昭和の妖怪・岸信介と独裁者・朴正煕は、大日本帝国の「生命線」・満州の地で、権力を支える人脈を築き、国造りの方策を学んだ後、戦後の激変期を冷戦によるアメリカの方針転換で死の淵から奇跡的に生還したことで共通する。
アジアのニュー・アトランティスのように聳え立ち、蜃気楼のように消えた満州国。しかし、その影響力は現代の日韓両国の政治経済の深部にまで及んでいる。戦後の日本と韓国の枠組みをつくり、その孫(安倍晋三首相)と娘(朴槿恵大統領)が今なお日韓両国の権力の座を占めている二人の足跡から、満州国の虚実と遺産を問い直す。
原本:『興亡の世界史 第18巻 大日本・満州帝国の遺産』講談社 2010年刊
感想・レビュー・書評
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正直言ってあまり面白くない。結局歴史というより岸信介と朴正煕の2人に焦点を当てすぎのところと、著者が二人のため、なんか伝わってこなかった。
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内容はタイトルに関係なく、朴正煕と朝鮮に関するルサンチマンに満ちた話だった。
羊頭狗肉と言うか、売れないからそうしてるんだと思うけど、不誠実極まりない。 -
岸信介と朴正煕の満州国時代の人脈が、戦後の日本・韓国それぞれの政治、そして日韓関係に影響を与えたことを示唆する一冊。これを「遺産」と表現しているようだ。その例として、朴の維新体制における精神主義が挙げられている。
そもそも、大韓民国史を全く知らない評者にとって、朝鮮戦争以後の韓国がここまで不安定だったこと自体に驚いた。もちろん、60-70年代頃は経済面で日韓癒着があったことも知らなかった。今は分からない。
岸と朴がどれほど親近感のようなものを感じていたのかは定かでない。ただ国民の大暴動を経験した者としての共通点があったのは確かであり、その点では気が合ったのかもしれない。
著者の着眼点、すなわち満州時代をよく知ってる岸と朴の人脈が、戦後にも部分的に顔を出していたという指摘はとてもユニークであると思う。ただ、1つ留意すべき点として、本書の題と内容の乖離である。題から予想した内容と実際はかなりギャップがあることを、読みながら感じていた。この感覚を受け取ったのは私だけではないだろう。