ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923682

作品紹介・あらすじ

1932年、国際連盟がアインシュタインに依頼した。
「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄について、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」
選んだ相手はフロイト、テーマは「戦争」だった――。
宇宙と心、二つの闇に理を見出した二人が、戦争と平和、そして人間の本性について真摯に語り合う。

養老孟司氏・斎藤環氏による書きおろし解説も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;①アインシュタイン;理論物理学者。特殊相対性理論や一般相対性理論が有名。光量子仮説に基づく光電効果の解明で、ノーベル物理学賞受賞。②フロイト;精神科医。精神分析学の創始者。<解説者>③養老孟司;解剖学者。「バカの壁」は450万部を記録。戦後のベストセラー5位。第一位は「窓際のトットちゃん」④斉藤環;精神科医。「世界が土曜の夜の夢なら」で角川財団学芸賞受賞。他にも共著で小林秀雄賞受賞。
    2.本書;国際連盟がアインシュタインに「今の文明で最も大切と思える事柄を、好きな人を選び、書簡を交わす」事を依頼。彼は、フロイトに戦争(人間を戦争というくびきから解き放つ事は出来るのか)について、手紙を書いた。フロイトの回答は、「文化・知性が戦争を抑止出来る」と言う。解説の養老・斉藤両氏の論考も高水準で読みごたえがある。ロシアのウクライナ侵攻の最中、浅見氏(訳者)あとがき「二人の戦争論を読み、二十世紀の英知を手に、新たな歩みを始めなければならない」が心に響く。
    3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
    (1)『フロイトへの手紙(アインシュタインから)』より、「人間の心を特定の方に導き、憎悪と破壊という心の病に冒されない様にすることはできるのか?・・・“知識人”こそ、大衆操作による暗示にかかり、致命的な行動に走りやすいのです。何故でしょうか?彼らは現実を、生の現実を、自分の目と自分の耳で捉えないからです。紙の上の文字、それを頼りに複雑に練り上げられた現実を安直に捉えようとするのです」
    ●感想⇒知識人は机上の空論に陥る事が間々あると聞きます。学者が現実に捕らわれないず、純粋な理論を構築する事は、科学進歩に貢献します。しかし、現実の世界は頭で考えるように単純ではありません。例です。製造業では、若い頃に現場経験を積ませて、選抜後に幹部登用する会社が多いそうです。「生の現実を、自分の目と、自分の耳で捉え」ないで、世間に認められる良質なモノづくりが出来るはずがありません。過日、映画「Fukusima 50(原発事故と戦った50人)」を見ました。その中で、東電役員が事故状況を問われた際に、「私は東大経済学部出身ですから(技術はよくわかりません)」と答えた場面がありました。頭でっかちだけでは、経営のかじ取りは無理でしょう。
    (2)『アインシュタインへの手紙(フロイトから)』より、「戦争への拒絶、それは平和主義者の体と心の奥底にあるものが激しい形で外に現れたものです。私はこう考えます。このような意識のあり方が戦争の残虐さそのものに劣らぬほど、戦争への嫌悪感を生み出す原因となっている、と。・・・文化の発展が生み出した心のあり方と、将来の戦争がもたらすとてつもない惨禍への不安、この二つのものが近い将来、戦争を無くす方向に人間を動かしていくと期待できるのではないでしょうか。・・・文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことが出来る」
    ●感想⇒フロイトは、「文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことが出来る」と結論付けています。書簡が交わされたのは1932年で、90年経ちました。文化は、それなりに発展しました。しかし、世界各地で紛争が絶えません。ウクライナ侵攻、クルド×トルコ紛争・・・、それに内戦と争いは続くばかりです。アインシュタインは言います。「人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が」と。フロイトは言います。「知性を強める事、攻撃本能を内に向ける事」と。私達は、戦争に加担する様な事にならない様に、広い視野でものを考え、行動したいものです。“巧言令色すくなし仁”たる指導者の言動に惑わされない為に。
    (3)『解説Ⅱ(斉藤環)私達の“文化”が戦争を抑止する』より、「私達は世界史レベルで見ても最高度に文化的な平和憲法を戴いているからです。そこにはフロイトすら思いもよらなかった戦争解決の手段、すなわち“戦争放棄”の文言が燦然と輝いています。この美しい憲法において先取りされた文化レベルにゆっくりと追いついていく事が、これからも私達の課題であり続けるでしょう」
    ●感想⇒日本の憲法は平和主義を提唱し、第九条で「①戦争放棄 ②戦力不保持 ③交戦権否認」を謳っています。今、我国の安全保障に関心が高まっています。“反撃能力の保有”に関し、ある調査では、「保有賛成=55%、反対=29%」だったそうです。反撃能力保有は、専守防衛から逸脱し、先制攻撃の可能性をはらんでいます。戦後77年を経て、75歳以上の人口は約15%となり、戦争体験者が少数になりました。斎藤氏が言う「フロイトすら思いもよらなかった戦争解決の手段、すなわち“戦争放棄”の文言が燦然と輝いています」を、今こそ国民一人一人が真剣に熟慮しなければならない時と考えます。
    4.まとめ;私は戦後生まれで、戦争体験がありません。戦争の悲惨さについて、祖父母からよく聞かされました。「B29(アメリカの爆撃機)の来襲、空襲警報がけたたましく鳴り響く中、防空壕へ一目散に逃げた。衣食住に困窮し、食べるものもなく、着の身着のままの生活。いつ死ぬかわからない日々だった」と。私はこの話と、野坂氏の「火垂るの墓(浮浪児兄妹の悲惨な生活)」や井伏氏の「黒い雨(被爆者の辛い生活)」を再読する度に心が痛み、平和主義を貫く事の大切さを痛感します。戦争を決してしてはいけません。どんな理由があろうとも。本書は「2020年8月第13刷版」です。ウクライナ侵攻が続く中で、この本が売れ続け、戦争について多くの人が考察している事が救いです。子々孫々に明るい未来を。(以上)

  • 【読もうと思った理由】
    今日(2023年8月4日現在)、まさにロシア対ウクライナの戦争が行われている。「そもそもなぜ人間は悲劇しか生まないのに戦争を行うのか?」第二次世界大戦で敗戦した経験がある日本人であれば、誰しも一度はこの問いを考えたことがあると思う。また、そのロシアとは北方領土問題が未解決である。中国は地下資源があることが分かってからは、尖閣諸島を虎視眈々と狙っているし、韓国とは竹島問題がいまだ解決していない。北朝鮮は言うに及ばずだ。実は日本も決して対岸の火事ではない。そう、自分ごととして、この問いに真摯に向き合う必要があると思った。

    【アインシュタインって、どんな人?】
    アルベルト・アインシュタイン
    (1879―1955)
    相対性理論の創始者、20世紀最大の物理学者の一人として知られている。また、その非エリート的経歴の特異さ、アカデミックな枠にとらわれず、ほとんど独力で斬新(ざんしん)な理論を建設する独創性、物理学のみならず哲学・思想界に及ぼした影響の大きさ、さらに権威や差別、とくにファシズムを憎み、人類の平和を求め続けた人間性の豊かさは、ほとんど他に例をみない。

    1879年3月14日、南ドイツのウルムにユダヤ人の長男として生まれたが、父ヘルマンの事業失敗のため、生後1年足らずでミュンヘンに移住した。幼年時代をここで過ごしたが、幼年時代は普通の子供に比べて成長が遅く、知的な障害があるのではないかと両親を心配させたほどであった。ただ5歳のとき父に見せられた羅針盤に異常な興味をもち、また6歳からバイオリンを習い始めたが、これは生涯を通じての楽しみとなった。小・中学生としての生活は、ドイツ特有の権威主義的規律と型にはめ込む教育に対する反発によって愉快なものではなく、したがって優等生ではなかった。もっとも12歳のときに学んだユークリッド幾何学だけは彼の興味を大きくひいた。

    1894年、父とその兄が共同経営していた会社がつぶれたため、一家はアインシュタインひとりをミュンヘンに残してイタリアのミラノに移った。そして翌1895年にアインシュタインも、卒業を目前にしてギムナジウム(長期普通教育の高等学校)を中退し、両親の下に行った。1895年、電気技師になる目的でチューリヒのスイス連邦工科大学を受験したが失敗し、翌1896年再度の受験で合格、1900年に卒業した。彼の学生生活は、正規の授業にはほとんど出席せず、友人のノートで試験を切り抜け、一方、一流の物理学者の原論文を熟読することが主体であった。1902年になって、友人グロスマンの父の推薦でやっとベルンの特許局の見習い技師に就職できたが、この仕事の余暇に理論物理学の研究に没頭し、やがて「奇跡の年」1905年を迎える。

    1905年、光量子説、ブラウン運動、特殊相対性理論に関する三つの論文を、さらに1907年には固体の比熱の量子論を、いずれもドイツの物理学雑誌『物理学年報』に発表した。これらはいずれも近代物理学の発展にとって重要な意義をもつものであったが、なかでも特殊相対性理論に関する論文「運動物体の電気力学」は彼の名声を確固たるものとした。

    当時、物理学界の指導者ローレンツの創始した「電子論」は、多くの現象をみごとに説明したが、その「絶対静止エーテル」の仮定に悩まされていた。すなわち、運動系における電磁現象、とくに光速度を観測することにより、その系のエーテルに対する絶対速度をみいだすことができるはずであったが、マイケルソンらの精密な測定にもかかわらず、地球公転速度の影響はみいだされなかった。ローレンツは苦心のすえ、運動系に対する時空座標の変換としてのローレンツ変換にまで到達したが、静止エーテルの概念を捨てきれなかった。

    アインシュタインは、「光速度不変」と「相対性」の二つの要請を置くことにより、この問題をみごとに解決した。これによって、ローレンツ変換は、二つの慣性系の間の時空座標の変換そのものであり、電磁場の方程式がこれらに対して同じ形を保つこと、力学の方程式もそのように一般化すべきこととなった。

    この後者から、質量保存則がエネルギー保存則に含まれることになった。しかし、この特殊相対性理論のもっとも革命的な考え方は、時空概念の変革であり、これが物理学ならびに哲学、思想に大きな衝撃をもたらした。この理論は、絶対静止エーテル、したがってニュートンの絶対空間を退けたばかりでなく、同時刻の概念、時間の進み方が運動状態に依存することを示すことによって、絶対時間や絶対運動の概念をも退け、時空を四次元の密接な関係に置いたのである。

    これらの業績によって、彗星のように物理学界に登場した彼は、1911年プラハのドイツ大学教授、1912年母校であるスイス連邦工科大学教授、1913年にはプロイセン科学アカデミー正会員、カイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)物理学部長に迎えられ、1914年、プランクらの招きにより、ベルリンに移住した。

    特殊相対性理論を完成した彼は、ただちにこれを慣性系ばかりでなく、任意に加速運動をする系に一般化する仕事にとりかかった。そのために、ニュートン力学では偶然にすぎなかった慣性質量と重力質量の一致を「等価原理」として積極的に取り上げた。これによって、加速系と重力のある慣性系の等価性、したがって重力と時空の計量との関係が得られるが、その一般的定式化、とくに重力場自身の方程式を一般相対論的共変の形に表すことは容易でなかった。

    彼は、数学者となった古い友人グロスマンの協力も得て苦心のすえ、リーマン幾何学の形式を用いてついにこれを完成し、1916年、論文「一般相対性理論の基礎」を『物理学年報』に発表した。この理論は難解なうえに、観測による検証の可能性が少ないため、当初はそれほど注目されなかった。しかし1919年、エディントンによる日食観測によって、光線の屈曲が確かめられるに及んで、俄然(がぜん)脚光を浴び、物理学界のみならず、各界の注目を引くようになった。一般相対性理論は単に特殊相対性理論の拡張というだけでなく、「時空間の曲率が物質の分布によって決められる」、すなわち「時空の物質性」を示したものとして、哲学、思想のうえにも大きな意義をもっている。

    現在、観測技術の精密化により、この理論の検証はさらに確実となり、また宇宙物理学の進歩により、パルサーにおける重力波の検出、ブラック・ホールの存在の可能性などで、原子物理学の発展によって一時圏外に取り残された観のあった一般相対性理論も、ふたたび脚光を浴びつつある。

    1921年にノーベル物理学賞を授与されたが、これは主として光電効果の光量子的解明に対して与えられたものであった。しかし、「相対性理論」のアインシュタインとして、世界の寵児となった彼は、世界各国からの講義、講演の依頼で忙殺されるようになった。2週間余りの日本旅行では東京その他で講演を行った。学者、学生はもとより、世紀の天才を一目でも見ようとする民衆は会場にあふれ、難解な理論を平易な表現で説明する彼の温容に魅せられた。

    1933年ナチスのヒトラーが政権をとり、侵略政策とユダヤ人迫害を始めると、身の危険を感じてアメリカに亡命し、プリンストン高等研究所員となり、1955年4月18日、動脈瘤(どうみゃくりゅう)破裂で死亡するまでここにとどまった。ここでの仕事は、前述のほかに、インフェルトとともに、『物理学はいかにつくられたか』を執筆したことで、これは物理学の本質を平易に解説したものとして、世界各国で親しまれている。

    彼のあり方は、強制や枠にとらわれないで、自由に創造することであった。また、ユダヤ人として差別、圧迫を受けた体験から、虐げられた者の味方であった。迫害、虐殺を受けた同胞ユダヤ人への熱い心はもとより、たとえば来日中、人を見下すものとしてけっして人力車に乗らなかったこと、また「自由」の国アメリカでの黒人への差別に反対し、「自分がアメリカ国民の一人だということを感ずれば感ずるほど、この事態がますます私を苦しめる」として、その人権を守るために努力を惜しまなかったことは案外知られていない。

    ファシズムに対しては、国際平和主義者として心からこれを憎み、ナチスが原子爆弾を製造して世界を制覇することを恐れ、それ以前にこれを製造するよう勧告した手紙に署名してアメリカのF・D・ルーズベルト大統領に送り、これがマンハッタン計画の契機となった。

    第二次世界大戦後、彼の願いもむなしく、アメリカ、ソ連による原爆開発競争が際限なく続く状況をみて、彼は原水爆戦争による人類滅亡の危機を訴え、このことを生涯の責務とした。1947年8月には国際連合にメッセージを送り、国連の組織を改めて、強力な世界政府をつくり、核兵器をその管轄下に置くべきことを提唱した。このいささか理想主義にすぎた提唱に対し、ソ連の科学者らの反論があったが、これに対する回答その他でアインシュタインの示した社会主義観は注目される。

    「資本主義体制では利潤追求のために、技術の進歩は労働の重荷を軽減するよりも、失業の増大をもたらす。この悪弊を除くには、計画経済のほうがよいが、それだけでは社会主義とはいえない。官僚の権力を抑え、個人の諸権利を保護する民主的対抗力が必要だ」という意味のことを述べている。

    1955年、アインシュタインはラッセルの呼びかけに応じて核戦争防止の宣言を発した。この宣言は湯川秀樹、パウエルら9名の賛成を得て、同年7月アメリカ、ソ連など6か国の政府首脳に送られ、それはその後、科学者パグウォッシュ会議の契機となったのであるが、アインシュタインは、宣言が送られる直前、同年4月18日、プリンストンの病院で永眠した。「全体的破滅を避けるという目標は、他のあらゆる目標に優先されねばならない」というアインシュタインの原則は、いまや「ノーモア・ヒロシマ」とともに、すべての反核・平和運動の導きの灯となりつつある。

    【フロイトって、どんな人?】
    ジークムント・フロイト
    (1856―1939)
    オーストリアの精神科医で、精神分析の創始者。現在のチェコのプリボールに生まれる。父はユダヤ人で羊毛の商人。異母兄が2人いるが、8人兄弟の長子。4歳のときウィーンに移住するが、このころ経済的には困窮状況にあった。1874年ウィーン大学に入学。

    最初はブレンターノの講義に出席し、その志向性の考え方に影響を受ける。入学後3年目になりブリュッケ教授のもとで神経解剖学の研究を試みる。経済的理由で学究生活を続けることができず、ブリュッケの勧めで1881年に医学の学位をとり、翌1882年マルタとの婚約で経済的な安定を得るためウィーンの総合病院に勤める。

    1885年、その間の延髄の伝導路に関する研究業績によりウィーン大学の私講師のポストを得、奨学金を得てパリに留学。シャルコーのもとでヒステリーの催眠・暗示による治療を見、大きな感銘を受けて1886年その著書を独訳する。ウィーンに帰りシャルコーのところで観察した治療法を報告するが受け入れられず、開業医となる。先輩の神経科医のブロイエルに刺激されて催眠による治療を始める。

    1895年には、後年の心理学の背景となっている『心理学の草稿』が書き上げられる。催眠治療中の患者の示唆により、催眠にかわる方法として自由連想法を使うようになり、治療技術としての精神分析を確立する。夢の分析的解釈を始めるようになり理論的にも整ってくる。そのころ(1902年以降)からフロイトに関心を寄せる人たちがフロイトのもとに集まり(心理学水曜会と称する)、1910年国際精神分析協会が結成された。

    ユングを初代会長として選ぶが、アドラーやユングはリビドーの考え方の違いからフロイトと決別する。ナチスの迫害を受けるが、1938年ルーズベルトやムッソリーニなどの助力によってロンドンに亡命。翌1939年9月23日、で死亡した。

    【本書概要】
    1932年、国際連盟がアインシュタインに依頼した。「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄を、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください」。選んだ相手はフロイト、テーマは「戦争」だった。宇宙と心、二つの闇に理を見出した二人が、人間の本性について真摯に語り合う。ひとは戦争をなくせるのか?

    【感想】
    アインシュタインもフロイトも、二人ともユダヤ人だ。2,000年も自分達の国を持たず、迫害され続けた民族の生まれだ。きっとその人格形成において、ユダヤ人ということが少なからず影響を与えたはずだ。それにも関わらず、二人は平和主義者として、タイトルにもなっている「ひとはなぜ戦争をするのか」を真剣に思考している。

    本書は非常に薄い本だ。本書全体でも110ページ。そのうち解説が半分を占めている。まず最初にアインシュタインからフロイトに向けた手紙からスタートする。それに対してフロイトが手紙で回答する。一往復のみの往復書簡だ。多分一度読むだけであれば、2時間も掛からないだろう。だがテーマがこの上なく重い。恐らくこのテーマを真剣に思考すれば、何カ月でもこのテーマだけで思考できるだろう。

    第一次世界大戦が終結したのが1919年。今回の手紙のやり取りのトリガーとなった国際連盟が設立されたのが1922年。そしてヒトラー率いるナチスドイツが、ユダヤ人の迫害を始めたのが1932年であり、同年にこの手紙をやり取りをしている。その後1933年、ドイツとの国境に近いベルギーに住んでいたアインシュタインは、身の危険を感じイギリスを経由して、アメリカに早々に亡命している。またフロイトも1938年にイギリスへ亡命している。そして第二次世界大戦の始まりと言われているのが、1939年の英独戦争である。

    そう考えるとアインシュタインとフロイトが、戦争をテーマに手紙をやり取り出来たのは、まさしくこのタイミングしかなかったであろうと思う。ユダヤ人ということで、迫害をされ続けた二人だからこそ、本気で世界から戦争を無くしたいと思っていたのだろう。この時系列の前提を最初に書いておかないと、二人の考えが理解出来ないところも多分に出てくると思い、まずは前提を記しました。

    この往復書簡のトリガーとなったのが、国際連盟だ。国際連盟の国際知的協力機関からアインシュタイン向けに提案があった。提案の内容は、世界中で誰でも好きな人を選び、いまの文明でもっとも大切と思える内容について意見交換をすることだ。そしてアインシュタインが選んだ相手が、同じユダヤ人で精神科医のフロイトである。

    アインシュタインが選んだテーマが、「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」である。その問いに対してアインシュタインは、なぜこんな簡単なことが出来ないんだという考えからスタートする。アインシュタインが最初に提案した方法は、世界中のすべての国家が協力して、一つの機関を作る。そしてその機関に司法と立法の二つの権限を与えた上で、実際に国際紛争が起こったときには、この機関に解決を委ねるのだという。もし国と国の間に紛争が起きた時には、どんな争いであっても必ずこの機関に解決を任せ、その決定に全面的に従うようにする。

    このアインシュタインの考えを読んだ時に、理想論としてはごもっともだけど実際いま国連(国際連合)は、戦争終結に向けてほぼ機能しておらず、ロシア対ウクライナ戦争は今日も継続しており、戦争が終わる気配はない。まぁ、そもそも国家対国家の紛争が起こった際に、すべての判断をその機関にゆだねるのは、現在世界1位と2位の軍事力を持つアメリカも中国も当事者になったときは、絶対そんなことはしないだろうと思った。

    そこは20世紀でもっとも頭が良いと言われた、アインシュタイン。すぐにそんな簡単にはいかないだろうと続ける。結局はその機関に、絶対的な権力を与えないといけない。それを各国がすべて了承しないと、現実的ではないと。ただ数世紀に渡って国際平和実現のために、数多くの人が真摯な努力をしたが、平和が訪れていないと言う。なぜか?とアインシュタインは問う。

    そこでアインシュタインは、そもそも人間の心自体に問題があるんだと言う。人間の心の中に平和な世界になろうとするのに抵抗する種々の力が働くのだという。それのさいたるものが権力欲だと。

    この意見にはその通りと思う。中国の国家主席もロシアの大統領も自分が最高権力者の任期を延ばすため、平気で憲法改正を行う。なぜだろう?自分や自分の親族が生涯まったく困らない財力をあり余るほど持っているはずなのに。このとき思った。人間って、欲望にリミッターを掛けれないというか、リミッターなんて、そもそも無いんだろうと。だから自分の願望が叶い続ければ、もっと、もっとという欲望が、無限に増殖し続けるんだろうと思った。

    アインシュタインは続ける。
    「人間には本能的な欲望が潜んでいる。増悪に駆られ、相手を滅亡させようとする欲求があるのだ。」という。平常心のときには、破壊への衝動は心の奥深くに眠っているのだという。そして特別な事件が起きたときにだけ顔を表すのだという。そしてアインシュタインの最後の問いが、「人間の心を特定の方向に導き、増悪と破壊という心の病に冒されないようにすることはできるのか?」という問いを投げかける。

    それに応える形でフロイトが、長い手紙の中でこう回答している。「人間から攻撃的な性質を取り除くなど、出来そうもない」と。

    では、他に打開策はないのかというと、そうではないという。それは人間の攻撃性を完全に取り除くことが問題なのではないという。人間の攻撃性を戦争という形で発揮させなければ良いという。では、どうやって?という疑問が湧き起こる。

    そこでフロイトは、こう答えている。人と人の間の感情と、心の絆を作り上げるものは、すべて戦争を阻むという。感情の絆は、一体感や帰属意識によって生み出される。人と人の間に大きな共通性や類似性があれば、感情レベルでの結びつきも得られるものだと。こうした結びつきこそ、人間社会を力強く支えるものだと説く。またフロイトは、平和主義者はなぜ戦争に強い憤りを覚えるのか?また多くの人間が人生の数多くの苦難を甘んじて受け入れているのに、戦争だけは受け入れようとしないのは、なぜなのか?実はフロイトが強い関心を寄せている問題という。

    私たちが戦争に憤りを覚えるのはなぜか?という問いに対して、フロイトはこう答えている。私たち平和主義者は、体と心の奥底から戦争への憤りを覚えるのだという。その補足説明をしている。フロイトいわく、人間の内にある最善のものは、すべて文化の発展から生まれたものなのだという。文化の発展が人間の心のあり方に変化を引き起こすことは、誰もがすぐ気付くという。ストレートな本能的な欲望に導かれることが少なくなり、本能的な欲望の度合いが弱まってきた。例えば、私たちの祖先なら強く興奮を覚えたもの、心地良かったものも、今の時代には興味を引かないもの、耐え難いものになってしまっている。この変化を引き起こしたものは、究極的には心と体の全体の変化なのだ。

    心理的な側面から眺めてみた場合、文化が生み出すもっとも顕著な現象は二つだという。一つは知性を強めること。力が増した知性は欲動をコントロールし始める。二つ目は、攻撃本能を内に向けること。好都合な面も危険な面も含め、攻撃欲動が内に向かっていくのだという。「人間を戦争というくびきから解き放つことは出来るのか?」というアインシュタインの問いに対する、フロイトが出した最終回答は以下だ。

    「文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことができる」と説き、往復書簡は終わっている。

    実はこのフロイトの回答を読んだだけでは、理想論の度合いを強く感じでしまい、納得感がかなり薄かった。それを養老孟司氏と斎藤環氏の2名の解説者が補足説明してくれていた。特に養老氏の解説は非常に読みやすく、また納得感も得やすい。養老氏の解説で特に印象に残った内容は以下だ。

    そもそも養老氏は、2人が一切触れていないテーマを戦争起因として重要な問題があると説く。それは人口問題だ。日本も例外ではなく、明治維新以降、急激に人口が増加した。人が増えれば物も不足するが、若者の居場所や仕事も不足するという。そこで軍隊が若者の就職先の受け皿として、非常に役立ったという。軍隊は会社と違い、雇用にそもそも制限がない。なので、経済が許す限り肥大化していった。軍隊が大きくなれば当然戦争の危険は高くなる。なぜなら、軍隊を大きくする大義名分として、対外的に危機を誇張せざるを得ないからだと説く。この人口問題は、アインシュタインやフロイトの説より僕はよっぽど納得感が高かった。

    他にも養老氏の言葉で印象に残った言葉がある。フロイトは、人には破壊欲動があるという。そして現代では、その破壊欲動をハリウッド映画が、仮想的に解消するのに役立っていると養老氏は説く。それを読んで、なるほどなぁと納得できた。だからハリウッド映画は、ド派手な爆破シーンやカーチェイスなどが、ふんだんに盛り込まれている。ああいうアクション映画を観てスカッとするのは、人の破壊欲動を疑似体験とはいえ体感できるので、破壊欲動をある程度は解消できるのだろうと思った。

    実は本書を読んで、もっとも腑に落ちた考え方を養老氏が説明してくれていた。その考え方は、「人がなぜ戦争をするのか」と直接的関係はないが、とても感銘を受けたので以下に記します。

    それは、脳は与えられた外的環境や考え方によって、変化するということだ。養老氏いわく、数学者や哲学者がひたすら考えているのも、脳が脳自身の働きに適応しているように思えるのだという。頭の中で論理的整合性が取れるように、ひたすら自分の脳を変えていこうとする。また養老氏はこう考えたという。

    「わかった」と本当に思ったときの脳は、わかる以前の脳とは違っているはずであるという。だから何かがわかると、次々にまたわからないことが出てくる。脳が変化し、その脳に「新しい状況」が発生するからである。自分の脳を変えるという習慣が付くと、いわば中毒を起こす。だからひたすら考え続ける。

    この文章を読んだときに、最近自分が思想書にやたら惹かれる理由がやっと分かった。本書にしろ、「武士道」「人生論ノート」「春宵十話」「人間の建設」などなど、ここ数ヶ月で読んだ思想書、哲学書、対談集などは、僕に新しい知識や知恵を与えてくれた。そのときに養老氏いわく、脳が変化しているのだという。そしてその脳を変化することが習慣化すると、中毒状態になるという。実際に新しい知識を入手し、その知識と自分が過去に蓄えた知識とを融合し、新たな知恵として自分で気づけたときには、正直言うとかなりの快感を感じている。そのときに自分でも脳が活性化している感覚が、生きていて一番持てている。

    最近特に思うのだが、養老孟司氏の言葉が自分には凄く響く。多分思想や考え方が、ある程度似ているのであろう。養老孟司氏の公式YouTubeチャンネルは、かなりの動画を見まくっている。聞いていてどの知識人よりも、自分にとって納得感が深いのだ。

    最後になるが、「どうしたら人は戦争をやめれるのか」の僕の見解は以下だ。
    世界中の人々が、他人の心の痛みを理解できるようになるまでは、テロも戦争も無くならないと思う。残念ながら…。

    【雑感】
    次は「みみずくは黄昏に飛びたつ」を読みます。この本は、村上春樹氏に対してまだ苦手意識が拭いされていなかったときに一度読了している。ただ読んでからある程度日数が経っているのと、最近思想書を読んで読解力が上がってきた感覚があるので、再読してみようと思った。

  • アインシュタインとフロイト。
    国際連盟の提案から二人の間で交わされた手紙、テーマは人間を戦争というくびきから解き放てるか…

    フィクションではないことに驚き。
    やはり文化的でありたい。フロイトの言うように人類が消滅の道を歩むのだとしても。

  • 文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことができる!(byフロイト 55p)

    読み始めた時には、実はこんな感想を持つだろうと予想していた。「最も重要な問題意識ではあるが、大した発見はないだろう。なぜならば、世界的な知識人の2人の往復書簡なのに、有名でないから」しかし、今は違う感想を持っている。「もっとこの2人の発言は知られるべきだ。まだまだ、この問いに対する、2人の見解は議論され尽くされてはいない」。

    見解の大要については、異例の二つ目の解説、斎藤環さんの要約が参考になる。心理学については不案内な私だったので、フロイトがここまで個人では無く人類の課題について明確に述べていたのが、とても感慨深かった。

    そして、改めて私は佐原真さんが述べていた「人類史で戦争を始めたのは一年に換算すると大晦日のことだから、必ず人類によって終わらすことができる」という見解に確信を持つことが出来た。養老孟司さんも、脳科学の立場から、戦争は新しい社会システムから言えば古くなるだろうと予測している。養老孟司氏の云うのは、数百年数千年単位の変化なので、私はこの問いには直接答えていないと思う。フロイトの答も数百年単位の話であり、今ひとつだった。しかし、問題意識はとても大切なことを述べていた。議論をすれば、それも数十年単位に縮むかもしれない。実際これが書かれて既に84年も経っているのだ。
    2016年10月25日読了

    追記。アインシュタインのふと述べていた疑問、
    「私の経験に照らして見ると、「教養のない人」よりも「知識人」と言われる人たちのほうが、暗示にかかりやすいと言えます。「知識人」こそ、大衆操作による暗示にかかり、致命的な行動に走りやすいのです。なぜでしょうか?彼らは現実を、生の現実を、自分の目と自分の耳で捉えないからです。紙の上の文字、それを頼りに複雑に練り上げられた現実を安直に捉えようとするのです」(16p)は、
    フロイトは無視してしまった。私は見逃すことが出来ない。誰か、答えて欲しい。

  • アインシュタインとフロイトという二人の偉大な先人が戦争について手紙をやりとり、なんて設定だけで興味が。

    手紙自体は簡潔な内容でアインシュタインの問題提起と解決案は、まぁ順当な考えなのかな?と思う。対してフロイトの返答はなかなか苦しそうかな?とも思う。そりゃこんな問題にスパッと答えるのはいくらなんでも難しいだろう。

    今の時代.世界大戦の時代からすると戦争を回避する方向になっているが、それがフロイトの言う文化の発展によるものというよりは、あまりに武器の威力が強大になった結果、相手だけではなく自分自身をも破壊する可能性を持つようになってしまったからと思うとフロイト的な解決はまだまだ難しいのかもしれない。

    ただ解説にもあった通り、嫌韓本が売れる一方で韓流ドラマ人気な状況などを思うとそういう文化の力は本当にありそうだな、と思う。

    今まさにロシアのウクライナ侵攻が行われている最中、衆議院選挙のタイミングだけど、色々な主張がある中、暴力による解決から本質的に抜け出すことのできていない世界において今この瞬間で平和を維持するには現実的に何が必要なのか?を考えて投票したいと思う。

    ま、そんなことは置いといてこの偉人達がこんなやりとりをした、ということだけでも十分読む価値あると思います。

  • 人間の本性ゆえに戦争はなくならないとする二人の考えはほぼ全面的に一致。
    フロイトは、タナトス(死の欲動)があるかぎり人間の攻撃性・暴力が取り除かれることは不可能だが、
    文化の発展が人間の肉体や心のあり方に変化をおこし、それにより戦争をなくす方向に人間を動かすと期待できると。

  • 国際連盟から「今最も重要だと思う事柄について、一番、意見を聞きたい相手と書簡を交わしてください」という依頼を受けたアインシュタイン。
    彼が選んだテーマは「戦争はなくせないのか?」そして、選んだ相手は心理学の大家フロイトだった。
    彼らのやりとりを読みやすい文章で訳したもの。

    ★戦争をなくすために、今なにができるのか?
    アインシュタインは国際的な機関が、国際的な紛争を絶対的な権威をもって判決し、決定を実行するようにできないか、と考えるも、現状では実現は困難だと考えています。
    これまで、平和は実現できない理由は人の心(権力欲・利益を求める・本能的に憎悪に駆られて相手を絶滅させようとする欲求)にあるのではないか、では、人の心を特定の方向に導き、憎悪と破壊という心の病に冒されないようにすることは可能なのであろうか。とフロイトに問いかけます。

    フロイトはアインシュタインが述べたことをたどりつつ、考察し、やはり戦争を確実に防ぐには、みんなが一致団結して、強大な中央集権的な権力を作り、利害対立の裁定を委ねるほか道はないとしています。そしてこの道へ進むには二つの条件がいると指摘しています。①現実に機関が創られること②裁定を押し通せるだけの力を持っていること。そして、国際連盟は②の条件を持っていませんでした。

    また、フロイトはアインシュタインが主張した、人間の心自体に問題があるのではないかという説も賛成。
    結論から言えば「人間から攻撃的な性質を取り除くことはできそうにもない」のですが、人間の攻撃性を戦争という形で発揮させなければ良いと述べています。
    破壊欲動の反対の欲動、エロスを呼び覚ませば戦争を阻めるはず=人と人との間の感情と心の絆を作り上げるものは戦争を阻むはず、と。

    もう一つ、戦争への欲求を間接的に克服する手段として、人間は指導者と従属する者とに分かれることに着目。これは生まれつき備わっている性質で如何ともし難いため、優れた指導層を作るための努力をすることを挙げています。

    ここでフロイトは一つの問題を提起します。
    どうして数多の苦難を甘んじて受け入れて生きてきた多くの人間が、それでも戦争だけは受け入れ難い!と思うのか?フロイトは文化による心身の変化が、平和主義者を心身から戦争を拒絶させるとのべ、この心身の状態と、将来、戦争がもたらすであろうとんでもない惨禍への不安が、戦争をなくす方向に人間を動かしていくと期待できるのではないか、と締めくくっています。

    訳文も読みやすく、解説も丁寧で(養老孟司さんと斎藤環さんによる、これまた丁寧で興味深いもの)、短いながら濃い一冊でした。
    これが書かれたのは1932年。ナチスドイツが勢力を拡大し、書簡を交わした二人の天才も亡命を余儀なくされた身でした。書簡の言葉から「言うほど簡単ではないけれど」という実感と、それでも、平和に向けて何ができるのか考えようとしている姿がうかがえます。

  • 20世紀を代表する天才であるアインシュタインとフロイトが、戦争について書簡を交わしていたとは、大変驚いた。「ひとはなぜ戦争をするのか」については、様々な意見があると思うが、本書はその答えの一つを知ることができる。自分にとっては、とても腑に落ちる見解であった。

  • 少ないページでしたが、2人の手紙のやり取りを読むことができて嬉しく思います。
    特にフロイトが最後に語っている文化の発展が人間に押し付けた心のあり方が戦争と対立すると言う安心感のある意見でした。
    また後日、ゆっくり読みたいと思います。

  •  アインシュタインとフロイトが戦争をテーマに議論を交わした手紙について。
     冊子の薄さと、文章の平易さから読むことを決めた。しかし、テーマと内容は決して浅くない。もちろん紙面上の限界はあるため深く掘り下げきれないところもあるが、国際機関の存在や文化による啓蒙など戦争を起こさないようにさせるための人間の試行錯誤について述べることを通して戦争論にアプローチしている。
     権利や権力(暴力)の取得とその変遷、少人数による支配と多数による支配が表裏一体であること、などの分析が興味深かった。

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