新版 雨月物語 全訳注 (講談社学術文庫)

  • 講談社
3.71
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 77
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062924191

作品紹介・あらすじ

慕っていた崇徳上皇の御陵に参った西行が見たものとは? ――「白峯」
病に倒れた旅の武士。逗留先の学者と兄弟のちぎりを交わすが――「菊花の約」
怠け者勝四郎、都に上ると里は戦禍に塗れる。そして愛する妻は――「浅茅が宿」
絵が得意な三井寺の僧・興義。求める者には自作画を欲しがるまま与えながら、鯉の絵だけは頑として手放さなかった――「夢応の鯉魚」
高野山へ物見遊山の親子。「仏法」と鳴く鳥に応え歌など詠むも、そこに武士たちが現れ――「仏法僧」
吉兆なら湯が沸き上がるという釜。若い夫婦が祈願したが、釜は虫の声ほどの音も立てなかった――「吉備津の釜」
雨宿り先で邂逅した美しい女を追いかけ、幸せに暮らすはずが――「蛇性の婬」
遊行僧を泊めた老人は、紺染の頭巾をかぶり、「鬼」になった僧の話を始め、あることを懇願した――「青頭巾」
武士・岡左内は、度を越した倹約ぶりで奇人とまで言われた。ある日、黄金の精霊と名乗る老人が枕もとに現れる――「貧福論」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 江戸時代の創作怪談集。
    怖いだけではない社会風刺(や当時の世相)の含まれた作品。
    ・・・なのだが、文中の随所に挟まれる解説がウザすぎて評価が下がってしまった。
    この訳者の作品は二度と読まなくていいし、こんなんでちゃんと研究できていたのか?と思ってしまった。

    解説が役に立たなかったので、
    怪談を隠れ蓑にして著者の哲学を書いた作品(江戸期はそういった手法をうまく使った)なのか、作品のリアリティや共感性を上げるために世相や当時の考え方を盛り込んだ(= 怪談が中心で背後に流れる思想はその肉付け)なのかわからなかったのが残念だ。
    他の訳者での雨月物語を読むべきかどうか・・。


    孫子を読んだときにも思ったのだが、1〜数ページごとに解説を挟む手法は物語がぶつ切りにされるので作品を味わいにくくて一般書には不向きだと思う。
    孫子は文章がシンプルすぎて注釈がなければ内容が深く理解できないので、悪く言うほどではなかったが、
    本書の考察は完全に邪魔なので削除してページ数を半分に減らすと良いと思った。
    「その考えの根拠を示せ」と赤を多数付けたくなるような独善的かつ的外れな講釈が続き、3話目くらいから全く読まなくなってしまった。
    本書は、文中の考察が無意味かつ邪魔なだけでなく、巻末の長い解説どれもが非常に読みにくく価値が薄いという非常に珍しい構成だった。どの部分も途中まで読んで時間の無駄と判断してやめた。

    学術文庫のような専門家が書いた一般書は三〜五十冊以上くらいは読んでいるが、
    読みにくい(文章が下手、ズレている)解説はあっても、論拠が曖昧で読む価値がないと思ったのは初めてだったのではないか。
    引用がなされていないので専門家やそれを学ぶ学生向けに書かれたモノではないと思っているが、その割に文章がわかりにくく、考察の根拠となるもの(ex. 文中での記載や秋成の生育環境・人生、秋成の他の作品の内容、当時の世相、人文科学的な解析法など)を簡潔にまとめたり示さないので基礎知識のない者としてはただの妄想としか思えなかった。

  • 1776年に上田秋成(剪枝崎人として)が書いたものの現代訳。
    怪談話とい印象を持って読み始めたが、前半はあまりおどろおどろしさはない。中には明るめの話もある。ただし後半は結構怖め。
    全体として情景描写が素敵。
    訳の構成としては章ごとに大量の中略と考察が入るので物語が分断され、少し読みづらいのが残念。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00241707

  • 17/03/21。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

大阪府生まれ。1734(享保19)年~1809(文化6)年。江戸後期の読本作者。歌人、茶人、俳人、国学者でもある。『雨月物語』は5巻9篇で構成され、1776(安永5)年に出版された。

「2017年 『雨月物語 悲しくて、おそろしいお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上田秋成の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×