比較史の方法 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062924375

作品紹介・あらすじ

本書は、リュシアン・フェーヴル(1878-1956年)とともに『社会経済史年報』誌を創刊し、今日に至るまで歴史学の最前線を担ってきた「アナール派」の創始者であるフランスの歴史家マルク・ブロック(1886-1944年)が1928年にオスロの国際歴史学会で行った講演の記録である。
ここでは、ブロック自身が歴史学の将来がかかっていると言う「比較」の方法をめぐる考察がなされる。講演ゆえの読みやすさ、容易に読み通せる簡潔さをそなえつつ、歴史に「比較」という視点を持ち込むことの意義と問題点が明確に打ち出されていく。
ブロックが拠り所とするのは、言語学者アントワーヌ・メイエ(1866-1936年)の見解である。複数の言語を比較することで共通性と差異を見出し、一般法則を導き出していく比較言語学の原理に依拠しつつ、ブロックは比較の方法について「射程の長い比較の方法」と「視野においてより限定されたタイプ」の区別を設け、前者は普遍的な法則を抽出するために、後者は歴史的な指標を獲得するために用いられると主張する。この主張を裏づけるために、具体的な事例をまじえながら展開される本書の議論は、それ自体として実に面白く、刺激的なものになっている。
本書は歴史に関心をもつあらゆる人にとって、なぜ歴史を知るのか、そして歴史から何を知るのか、という根本的な問いを考えさせてくれる最善の歴史入門と呼びうる1冊である。訳文に全面的な改訂を施し、訳者による新稿をも加えた待望の文庫版、ついに登場!

感想・レビュー・書評

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  • 事例比較をできればと思って手に取った。

  • 訳者解説にフランス歴史学のおおまかな流れが書いてあるので再読の予定

  • 史学史は時代の桎梏が色濃く出るので面白い。
    1930年の本書の講演の内容は、第一次大戦を通じて歴史学が大義名分や正当化の根拠を与えたことへの反省がベースになっており、だからこそ人種理論や国民史の枠を乗り越える「比較」の方法だったのである。
    現代の歴史学はどうだろうか。

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著者プロフィール

1886-1944年。フランスの歴史家。リュシアン・フェーヴルとともに『社会経済史年報』誌を創刊し、アナール派を代表する人物。代表作に『封建社会』(1939-40年)、『歴史のための弁明』(1959年)など。

「2017年 『比較史の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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