- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062924702
作品紹介・あらすじ
講談社創業100周年記念企画「興亡の世界史」の学術文庫版。大好評、第3期の5冊目。満洲の雄・ヌルハチが草創し、辛亥革命に倒れた大帝国の輝きと崩壊をたどる。
現在の中華人民共和国の広大な国土は、大清帝国に由来している。では、この大領域を「北方の異民族」がいかにして手に入れ、維持したのか。また、漢人たちはこの「異民族支配」にどう対応したのか。康熙帝・雍正帝・乾隆帝が統治した清朝の最盛期から、アヘン戦争・日清戦争をへて、ラストエンペラー・溥儀、西太后、李鴻章、孫文らが登場する清末まで、栄光と苦闘の270年を描き出す。
清は「東アジアの帝国」であるより先に、「内陸アジアの帝国」だった。そして、チベットやモンゴル、さらに今日の新疆ウイグル自治区をふくむ「巨大な中国」を支えた理念は、「漢字と儒学」に代表される「中華文明」や「中華思想(華夷思想)」ではなく、チベット仏教だった。
台湾、琉球、朝鮮、そして日本――。清代末期の混乱のなかで「東アジア」の国々は何を共有し、何を争ってきたのか。「万里の長城」「天安門」が象徴する歴史の皮肉とは? 春節に賑わう横浜中華街を皮切りに、旧満洲、承徳、敦煌、ラサ、ソウル、台北など、各地を訪ね歩いた著者・平野氏は「清末の諸課題は、未だに解決されていない」という。
従来の中国史や現代中国論では見落とされがちだった、いまの中国が抱える「最大の矛盾」を解き明かし、「現代中国」を見る眼が変わる一冊。
[原本:『興亡の世界史17 大清帝国と中華の混迷』講談社 2007年刊]
感想・レビュー・書評
-
興亡の世界史21巻を数年前にデジタルで一括購入したのだが、残り5冊のうちの1冊を読みました。数年前に途中で放り出したままになっていたので、最初から読み直しました。
考えてみれば清帝国というのは不思議な国です。日本の徳川幕府より少し長く存続したのですから、その秩序が長続きするような政治的正当性はいったい何だったのだろう。満州族という漢民族より少数民族で、しかも弁髪などを強制したわずか200万人程度の民族がなぜ広大な中国を維持できたのだろうか?しかもアヘン戦争やら日清戦争やらで負け続けたのですから、日本ならもっと早く変革が起こっていたように思う。
結局のところ中華帝国というのは、社会が安定してくれていればいいのであって、国家に対する忠誠心や社会に対する責任感というものはそれほどないのかもしれません。現在の中国共産党による監視社会体制も秩序を維持していることは事実で、しかも経済的には発展しているわけですから、これを変革するということにはならないのだと思います。
だから習近平体制は、コロナ政策や台湾政策で酷い失敗をしたところで、その体制は揺るがないですね。そんなことがわかる本でした。
興亡の世界史21巻はあと4冊なのでここまできたら読み切りたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『#大清帝国と中華の混迷』
ほぼ日書評 Day343
モンゴル人による「元」と並び、非「漢人」国家である「清」。民族ではなく、文化圏としてのアイデンティティの確立を模索する中で生まれた「中国」という概念。単に、中華vs夷狄の対立概念とは異なるものという観点から、チベット仏教関連寺院や陵墓等の紹介多数。
正直、「清」などと言われても、日清戦争や皇帝溥儀といったところしか思い浮かばないところからすると、初耳な話、興味深い指摘も多々あったが、基本的に文体が冗長にすぎる点はいただけない。
また、Amazon書評でも指摘されていたが、本来、明時代は永楽帝期の人物である鄭和を、明の太祖とされる朱元璋の命を受け…といった基本的な史実の見当違いが複数見受けられるのは、そもそもレベルで著作への信頼性を失わせるもので、残念だ。
https://amzn.to/3b5RNoA -
近代東アジアの方向を左右した中国近代化の動向がわかる本
所蔵情報
https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=B17286 -
2018-1-29