- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062930550
作品紹介・あらすじ
現代アメリカの人気作家26人が、章ごとに執筆して1つの犯罪小説を書きあげた!
サンフランシスコの美術館を舞台に繰り広げられる、傑作ミステリー、ここに登場!
やり手の美術館学芸員、クリストファー・トーマスが惨殺された。容疑者は妻・ローズマリー。資産家の娘で2児の母でもある彼女は、容疑を否認しながらも多くの「証拠」によって死刑になってしまう。
それから10年後。
ローズマリーを慕う篤志家の呼びかけで、追悼集会が開かれることになった。招集されたのは、いわくのある人物ばかり。
そこで解き明かされる、意外な結末とは?
原題「NO REST FOR THE DEAD」。
感想・レビュー・書評
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以前読んだ日本のリレーミステリは、各作家さんがどこまで自分の色を出せるか勝負のようになっていたのだけど、今作は意識しなければ繋ぎ目を感じないようななめらかな仕上がりで、リレーミステリの印象が変わった。
チャリティーが目的というのもすごいなぁ、いいなぁ。
設定は面白かったのだけど、無実の女性が殺人罪で死刑になるところから始まっていて、10年後にその真相が暴かれたところで無実の女性は生き返らないわけで、すっきりした後味にはならないよね…。
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26人で一つのミステリを仕上げたリレー小説。
チャリティの企画で、アメリカらしい。
ジェフリー・ディーヴァーが重要なところを任され、つじつまを合わせています。
10年前、美術館学芸員の男性が異様な状態で発見された事件。
直前に口論していた妻が逮捕され、運悪く不十分な裁判のまま、刑が確定してしまった。
関係者が集まり、当時のことを検証することとなる‥
女好きな学芸員の夫。
確かに夫に怒りを抱いていた妻。
だが、他にも関係者にはさまざまな問題が‥
センセーショナルな出だしは、売るためというか、チャリティを効果的にするための一種の遊び心なんでしょうね。
お得意な部分を担当して展開していくので、サンドラ・ブランなら恋愛の描写とか、鑑識の部分を描くのは「ボーンズ」原作者のキャシー・ライクスとか、そういう具合です。
全部の作家が日本で知られているわけではないから、出来れば翻訳紹介して欲しいものです。
ディーヴァーはさすがの才人ぶりを発揮してますね☆ -
図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
やり手の美術館学芸員が惨殺体で発見された。容疑者は妻。夫の浮気に悩んでいた彼女は、多くの「証拠」によって死刑にされてしまう。その十年後、事件に疑念を抱く元刑事など、曰く付きの人物が追悼集会に招かれた。解き明かされる、予想外の結末。全米の人気作家二十六人による、奇跡のリレー・ミステリー!
2人3人で書くならわかるけど26人って!
ストーリーは途中で見えたんだけどそれでも飽きない。
死刑 って難しい。
No rest for the death -
リレー小説ミステリー。
美術館学芸員が殺され、妻が逮捕され、死刑になった。その10年後、彼女の追悼集会に事件関係者が集まってくる。
事件は一応完結している、時間は10年もたっている、彼女の絶対無実を信じているという人もいない、というこれで話ができあがるのか?っていうところから、ドラマにもってくるあたりが皆さま一筋縄ではいかない。
とはいえ、まぁ、オチは決められてたのかな? 途中から、殺害方法がこれだからこうだよね、って思うのだけどそこにいたろうとするとするっと逃げられる。まるで、ひらひらと飛ぶ蝶々でも追いかけてる気分になったよ。
とはいえ、個々のキャラを掘り下げ、そこにいる理由にいたるものが、面白かった。
つか、よーるすに人間<存在理由>を語るのが好きなんだろう。
と、26人はちょっと多すぎかな。
半分ぐらいで、2本書けばいいのにって思ってしまったよww -
これほどの人数での共作ということで、もっとぎくしゃくした読み心地かと想像していたのですが、読みやすくストーリーを追いかけて楽しく読めました。売り上げは寄付されるそうで、企画もすごいのですが、編集したかたのご苦労はいかばかりかと思うと、その心意気が素晴らしいと思いました。
最後に参加した作家さん一覧があって、未読のかたも多いので、メモしてこれから読んでみようと思いました。 -
結果的に筋は平凡になったが、企画の意欲、完徹した意志、繋ぐ意識を買う。日本の同種の企画ではどちらかというといたずらにショッキングに話を広げて後の人に投げっ放しという向きを感じたが、本作は、後の人に無理をさせないように繋いでいこうという大人の意図を感じる。7.0
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一つのストーリーをミステリ作家の大御所達が順番に紡いでいく形の小説。
お気に入りのジェフリー・ディーヴァーも参加。 -
ぼくはアンソロジーが好きである。オットー・ペンズラーなど、アンソロジストという職業があるくらい、世界にはアンソロジーの文化がごく当たり前に席巻している。短編集というと日本では個人作家のものが主流で、月刊雑誌で短編集シリーズなども抱え込んでいるためか、日本作家のアンソロジーは皆無ではないものの、権威として成立しているものは残念ながら見当たらない。
その意味で名だたる作家が連なっているアンソロジーの中に、自分にとっての未開拓作家の秀作を見つけると嬉しくなったりする。日本もミステリ作家が林立しているだけにそういう権威あるアンソロジストによる信頼のおけるアンソロジーが期待される。
ちなみに、アンソロジー【anthology】を国語辞書で調べると「いろいろな詩人・作家の詩や文を、ある基準で選び集めた本。また、同一詩人・作家の選集。詞華集。佳句集。名文集」とある。
閑話休題。さて本書はアンソロジーではない。26人の作家によるなんと一つのミステリ小説である。かと言って、連作短編集ですらない。章ごとに作家が書き継いだ一遍の長篇ミステリ小説なのである。そもそも癌の慈善団体への寄付を目的とした共著による一作の長篇小説が企画されたそうである。
日本での有名どころといった作家では、ディーヴァー、クック、アボット、ケラーマン、マーゴリン、パーマー、T・J・パーカーなどと言ったところが人気陣であろうか。ディーヴァーなどはこの企画を聴いたときに飛びついたというだけあって、小説の重要どころを二か所ほど任されている。
どのように取り決めがあって、どのように書き継がれたという説明はどこにもないのだが、一作の小説として大きなツイストもあるが、短編小説のように作家の個性は出にくいと思う。それでもニヤリとしたくなるような、特徴ある作家の語り口に触れながら読み進む不思議な長篇小説の味わいは、これはこれでなかなかのものだ。
きっとどの執筆作業でも緊張を強いられたであろうプロフェッショナルたちによる、(本の帯によれば)「ミステリ版We Are The Word!」である。お祭り気分で楽しむと良い一冊である。 -
これ、凄いわ!
こんな事が出来るなんて・・・
ストーリーも面白いし
それをこんな風に・・・
ありがとうって言いたい