- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062931038
作品紹介・あらすじ
兄妹とお母さんが暮らす家庭に、料理上手のモヒカン男がやってきた。しかも超能力の使い手らしい……直木賞作家が描く「家族の形」。
感想・レビュー・書評
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「幸せな家というのは、いつもきれいなタオルと新しい卵がある家のことを言うんですよ」
救われない結末になりそうだと思いながら読み進めたけど、覚悟したほどではなかった。
会話のやりとりに矛盾がなくて気持ちがよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多分 初めて朱川湊人さんの作品を読んだ。
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家族がテーマとなっている話。
アットホームな内容だとばかり思って読み進めていたら、かの有名な宗教団体などが出てきたり、
少し想像していたのとは違う感じ。
私、この方が描く家族に何だか違和感を覚える。
何だろか、親が余りにも親らしくない、親になりきれていないと言うか。
普通、自分が連れ込んだ男が、自分の娘に危害を加えていたら、
その後同じ様なことは繰り返さないでしょう…
と思うのですが。
話全体としては中々面白くて、チキさん好きだなぁと思えるのですが、
やはり親がナチュラルに糞で、私の中ではそれが際立ってしまいました。 -
良い作品だとは思うけど、基本物語はハッピーエンドが良い
想像していたより悲惨な結末ではなかったけれど
途中から、これ以降アンハッピーエンドな結末になりますって
振りが多すぎて、先を読むのを躊躇ってしまう -
タイプライターズで「満月ケチャップライス」の再現をしていたのを観て手に取った本。全く内容を知らずに読んだら、最後ちょっと打ちのめされましたね…。最近多めのごはんほんわかものだと思って油断してましたね…。
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感動物語の帯を信じたら、とんだハード目の話だった。
正しいと信じたいことが目を曇らせることもあるし、悪いと思ったことで踏み外していくこともある。
それがあなたの偏見じゃないってどうして言いきれるのか。確かにそうだなあって思った。 -
とても読みやすいが結末がよくわかりません。でっ?という感じで終わってしまったのが残念。
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途中までは面白かったのだが…なんとなく貴志祐介さんの「青の炎」に設定似てるなあ、悲劇的な内容なのかなあと思いながら読んでいたのだが、こちらの方はかなりライトで所々お笑いあり、ほのぼのあり…。ただ、あの宗教団体出てきてからは楽しめなくなってしまった。展開が無理っぽいような気がして…。ちょっと残念。
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主人公の進也は中学1年生。妹の亜由美は小学4年生。美人と言われているけれど寝顔と怒った顔は般若のような母と3人で暮らしています。ある日、母が連れてきたモヒカン男チキさん。その髪型に似合わず弱々しい彼は料理上手。しかも超能力が使えて……。一見穏やかなファンタジーですが、重いのなんのって。坂本弁護士一家殺害事件や地下鉄サリン事件がモチーフになっています。朱川湊人の作品中、子ども目線で語られるものは大人目線のものより苦手かも。なんだか説教くさくなって、そのうえ切なさが足りない。ただ、3人で料理する姿はとても楽しそうで○。
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ほんの一瞬、ちょっとだけ目を離したすきに大怪我を負った亜由美。
その責任をずっと感じながら生きてきた進也。
後遺症が残った亜由美は、片方の足がひざから曲がらない。走ることも出来ない。自転車に乗ることも出来ない。
一番近くでそれを見守ってきた進也は、亜由美への負い目をずっと抱えて生きてきた。
亜由美の怪我が原因で、結局両親は離婚した。
家族の崩壊は自分のせいだ、誰が何を言っても進也はそう思い込んでいる。
何かがあったとき、誰かのせいにして、全部責任を誰かに押し付けてしまうのは楽だ。
だってその誰かを責めていればいいんだから。
進也の父親はきっと弱い人だったんだろう。
いろんなことを受けとめきれずに、逃げ出すことしかできなかった弱い人。
形は違うけれど、チキさんもまた弱い人。
自分の幸せなのに、自分の手で必死になって守ろうとはしない。
いつも最後には・・・仕方がないと諦めてしまっている。
辛くても、傷つくことを怖れずに前に進めていたら、チキさんの人生ももっと違うものになっていたいたのかもしれない。
家族のバランスは進也がいることで保たれている気がする。
基本は自分の幸せ。恋愛に関しては自分の気持ちに嘘がつけない母親咲江。
寂しがりやで、少しかまって症候群の一面のある亜由美。
そして、妹最優先を崩さずに生活する進也。
何というか、とてもわかりやすいあたたかな物語。
うんうん、あったかいよね。優しいよね。寂しいよね。わかるわかる・・・的な。
差し出されたあたたかさを素直に受け取れる人は、心の中がほんわりとしてくる物語。