警視の因縁 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931236

作品紹介・あらすじ

幼子を預けたまま、妻が蒸発した。行方を探す弁護士の夫も姿を消し、後日、他殺体で発見された。女性警部補・ジェマは、遺児シャーロットの面倒を見つつ、婚約者のキンケイド警視と共に、惨劇の真相に迫る。ロンドンを舞台に解きほぐされる、奇怪な人間模様。情と血が導いた「事件」と「結婚」の意外な結末。

感想・レビュー・書評

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  • キンケイドとジェマの警視シリーズ十三弾目。そんなに続いていたのかとびっくり。
    今回は二人が婚約したまま進展していないところから始まります。
    ジェマの知り合いの知り合いが行方不明になり、その幼き子の世話と行く先に心を痛めつつ、自分たちの結婚式についてもやもやしたりと、今回はジェマがどちらかというと中心。
    海外は、宗教的な問題もあったりして、結婚も籍入れておしまい、という風には行かないのかしら。家族がわずらわしかったりするのはどこも同じ。
    二人の住んでるイギリスでも移民問題があったりして、ただの失踪事件では済まない様相に。
    文庫の割に分厚くて値段も高いけれど、面白かったです。また続きが出たら買ってしまうと思います。

  •  芸術家の妻が失踪した。
     その5か月後、今度は夫の遺体が発見される。

     弁護士と芸術家というカップルで、幼い女の子がいる。順風満帆だと思われていた家族になにがあったのか、というのを探っていくのだけど、今回はとても地味です。
     警察の仕事って、こうやって一人ひとりに話をきいて組み合わせて、紡ぎ合わせていくことなんだよね、としみじみ思いました。
     
     事件が地味な分、キンケイドとの生活というか、<結婚>をどうするかと苦悩するジェマに焦点があてられている。つか、なんか<結婚>にたいして、どこか気楽に考えているキンケイドと、周りというか母親と妹に振りまわれているジェマのどうにも表現しようのないジレンマがよくでていたと思う。
     うん。
     ここで、妙に聞き分けのいい、理解があるキンケイドっていうのも、それはそれで嘘くさい。
     
     なので、事件としては、うむ、ってところがないわけではないけど~それでも結末は、お、って感じでした~長いシリーズなのでこういう地味なことも必要なのだと思うのです。

  • 警視のシリーズも13作目だそう。
    大のお気に入りのシリーズ、今回も楽しく読みました。

    警部補のジェマ・ジェイムズは、かって仕事の名パートナーだった警視のダンカン・キンケイドと同居中。
    連れ子同士も仲が良くて、ついに結婚する予定となっています。
    ところが、少々マリッジブルー気味?

    そんなときに起きた事件は‥
    幼いわが子を預けたまま、若い母親が蒸発。
    母親というのはテキスタイル・アーティストで、アトリエには美しい作品が残されています。
    しかも、妻を捜していた夫マリクまでもが行方不明に。
    取り残された幼い女の子シャーロットはとても可愛らしく、ジェマはほうっておけずに自ら預かる算段をしつつ、捜査に取り組みます。
    ロンドンのいろいろな町並みや家々、移民が増えてきた状況などが、女性ならではの観察眼で描かれます。

    感じのいい女性だけど飾り気はない方のジェマは、伝統的な華やかな結婚式を期待する両親の期待にこたえるのが重荷になってきます。
    迷うジェマを見て、結婚をやめる気ではないかと心配になるダンカン。
    気さくで人あたりもいいジェマなのに、家族とは微妙な軋轢が消えなかった理由が、今になってわかったような感じです。
    家族は期待しすぎで勝手なことを言い、ジェマはそれを振り払えなかったのね。
    警視のほうは、ハンサムで穏やかで頭が良く信頼できるという男性ですが、恵まれすぎたせいか、やや気がつかないところがたまにある。
    ここへ来て、気づきましたね。ダンカン、やったね。がんばれ!(笑)

    家族愛や身近な問題を取り入れるコージー的な甘い部分も含めつつ、それだけではない、しっかりした構成。
    目端の利いた描写力に感心しつつ、快適に読めます。
    この本から読み始めるのはさすがに、常連ふくめ登場人物が多すぎるかなという気もしますが‥
    ごく所期の薄い本は読まなくてもいいけど、ここ数作は傑作ぞろいですよ。
    次の作品も楽しみです☆

  • このシリーズは事件とプライベートがうまく絡んでいて、好みの配分。
    きちんと時事問題を扱っているのもいい。
    多分ずっと買い続けると思う。
    続きをまたのんびり待ちます。

  • シリーズミステリからどんどん落伍していってるんだけど、このシリーズだけは電子書籍になってなくても即買って読んでる。やっぱり好き。なんでだろう。事件とプライベートのバランスがいいのかなあ。
    コージーミステリでもユーモアミステリでもないし、深刻すぎず怖すぎず。あと、いつも現在のロンドンとかイギリスがおしゃれに描かれていて、センスがいい感じ。そして幸せな楽しいシーンが絶対にあるし。今回は、とくに、結婚式のシーンはなんだか涙が出そうだった。
    あと、ジェマが母親や妹や家族のことであれこれ悩むのも共感できて。

  • キンケイド警視シリーズの第13作目。キンケイド警視シリーズとはいうものの、今や完全に恋人のジェマが主人公になっている。初めの人物紹介欄もジェマの名前が先にきているし。シリーズ1作目では年上だった主人公たち。いつの間にか追い抜いてしまった(多分)。確か最初の頃は、決して美人ではないが感じが良く、人の心を開かせる天賦の才能がある女性だったはずのジェマが、あまりそういう感じじゃなくなっちゃったような。友達のヘイゼルと共に「何だか始終カリカリしてるな~」と思いました。主人公たちの事は余り好きではなくなっちゃったけど、ストーリーは面白いです。数か月前に奥さんに失踪された旦那さんが、また姿を消して殺害されます。2人とも大切な愛娘を残して・・という話。民族的な事も絡んでいて、一気に読めました。

  • 警視キンケイド・シリーズの第十三作。

    神も全ての人を幸せにすることはできない。
    でも作家にはできるはず。
    キンケイドとジェマの家族のみならず、
    恋愛に恵まれないキンケイドの部下ダグにも、
    父親の職業に悩むジェマの部下メロディにも幸せになってほしい。

    今回はその願いが叶いはじめて良かった。
    ダグはメロディと飲みに行けたし、
    メロディもジェマに自分の秘密を告げることができた。

    事件の方は、
    スコットランドから戻って来たジェマの元大家で親友ヘイゼルがらみで始まる。
    ヘイゼルの元夫の友人が幼い娘を置いて行方不明になったあげく、死体で発見される。
    その半年前には妻も行方不明になっていたので、
    自殺を疑われるが、法医学者は否定する。

    前作で結婚することにしたキンケイドとジェマの結婚式はなかなか進まない。
    途中でヘイゼルがたくらんでいるのがわかったが、
    サプライズ結婚式が成功して良かった。
    ジェマの両親が、自宅での結婚式に納得してなかったのは、意外だったし、残念だったが。

    神が全ての人を幸せにすることはできないとしても、
    人は幸せに「なる」ことはできると信じたい。

  • シリーズ第13弾。
    はー、久しぶりに読んだけど、やっぱりこのシリーズはいいなあ。
    キンケイドとジェマは勿論、周囲の家族から友人まで、ずっと”その後”が気になるキャラばかりで、彼らの歩みをきちんと描きつつ、絡める事件が良く練られてて、最後まで飽きさせない。
    事件なのだから悲しいことはいっぱいあるけれど、それでも最後に犯人を捕まえるという慰めをくれる。
    そんなミステリーの基本をしっかり押さえた良きシリーズだ。

  • 前作に続いて、署が違うのに一つの事件を捜査しているのが気になる。殺人事件が未解決中で結婚式あげるのも・・・。恐らくこのシリーズの始まりはすごく面白かったんだろうと思う。長くやり過ぎると(うまく言えないけど)登場人物がどれもリアリティが無いような、話の流れが上手すぎるような…。仕事はできるけど私生活はダメダメな主人公が好きなので、このシリーズはもう読まないな。

  • このシリーズで扱われる事件って、結構救いようのない結末を迎えることが多い気がする。主人公のサイドストーリーの比重が大きすぎると感じる巻もあるけれど、これらのほっこりエピソードがなかったら読後感はもっとヘビーだったかも。

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著者プロフィール

米国テキサス州ダラス生まれ。後に英国に移り、スコットランド、イングランド各地に住む。現在は再び故郷・ダラス近郊で暮らす。代表作のダンカン・キンケイドとジェマ・ジェイムズのシリーズは、米英のほか、ドイツ・イタリア・ノルウェー・オランダ・ギリシア・トルコでも翻訳され、人気を呼んでいる。

「2023年 『警視の慟哭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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