砂漠の悪魔 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932684

作品紹介・あらすじ

大学生の広太は、自らの卑劣な行為のせいで、友人を自殺させてしまう。そのことをきっかけとして、ごく平凡な普通の学生生活から一転、悪事に荷担せざるを得なくなる。”バイト”として行かされることになった中国の北京で、広太は日本人留学生の雅之と出会い、雅之とともに中国西部に向かう。おもむいた砂漠で、広太は想像を超える事実に直面する。『サクリファイス』の近藤史恵が、緩みきった現代に問う、弩級の衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生の広太は小さな悪意から親友を死なせてしまう。
    平凡な大学生活から一転、
    ヤクザに脅されて厳寒の北京へ旅立つ。
    極寒の北京で日本人留学生の鵜野と出会い、
    広大な中国西部を旅することに…。
    終着地のウイグル自治区で、広太は生きる意味を見いだせるのか。


    広太の夏樹への酷い仕打ち…。
    苛立ちしか感じなかった読み始め。
    ヤクザに脅されて悪事に手を染めざるを得なくなった時、
    その愚かさにも苛立った。
    中國で日本人留学生の鵜野と出会い、中国大陸を横断して
    ウイグル自治区まで逃げる事になり、
    この物語の根底にあった大きな問題提起を初めて知る事となりました。
    中国大陸を横断している様子は、こんなにもこんなにも広いんだ。
    全く知らなかった。
    映画の初恋や山の郵便配達などを観て中国の大きさや自然の凄さは感じてはいましたが、
    ここまでとは…。
    Newsで時々放送されているウイグル自治区の問題。
    さらりと聞き流していました。
    どうして同じ国で迫害をするのだろう…。
    そう思っていたが宗教も違うし、言葉も違う…。
    本当に難しいな。

    重い重いテーマでした。


    そして、なくしてから気付く大切なもの
    失くす前に気付き大切にしたい

  • 震える一冊。

    興味津々で出発した砂漠の旅はとんでもない地獄への旅だった。

    主人公の愚かな行為がもたらした友達の死。

    そこから震えは始まり、ヤクザの餌食になり、請け負わされたヤバい仕事、どんどんアリ地獄にはまっていくかのようで震えは止まらない。

    でもそれが地獄へのほんの入り口でしかなかったとは。

    真の地獄の震えが待ち受けていたとは。

    新疆ウイグル自治区、広大な砂漠、守りたいもの…目の前に切実な光景が拡がる。

    恐怖はもちろん言葉にならない思いが絡み合う…これは誰もが震えること間違いなし。

  • 砂漠の悪魔って このことだったんだねー。
    全く想定外だった。
    いろいろ重い問題満載のストーリーだけど スッと入っていける展開ですんなり読めた。

  • 再読。
    最後の展開が本当に悪魔。

    それにしても、中国よ勘弁してくれって思う。

  • 先が読めないなあと思ったら、終盤にまさかそんな「砂漠の悪魔」とはという、びっくりする展開。

  • 大学生の広太は、自らの卑劣な行為が原因で、友人を自殺させてしまう。それをきっかけに、普通の学生生活から一転、悪事に荷担せざるを得なくなる。“バイト”として行かされた中国・北京で、広太は留学生の雅之と出会い、彼と共に中国西部に向かう。おもむいた砂漠で、広太は想像を超える事実に直面する。

  • 中国の砂漠で原爆を浴びた旅行客がどうなるか。

  •  ヤクザに弱みを握られた橋場広太は、北京での危ない仕事をすることに。北京で留学生鵜野雅之と出会い、雅之の提案で一緒にヤクザから逃げることに。北京~蘭州~酒泉~ウルムチ~カシュガル~トルファン。中国の西端、タクラマカン砂漠。広太と雅之が砂漠の美しさに見とれている時に、一瞬の光が2人を襲う。ヤクザよりも、もっともっと怖い悪魔の光が。近藤史恵「砂漠の悪魔」、2010.9刊行、2015.12文庫。一気に読み終えました。近藤史恵さんのテーマの広さ、内容の深さに驚きです。

  • 大学生の主人公は悪意によって友達を自殺させてしまった。それによりヤクザに目をつけられ脅迫され中国との運び屋をやらされてしまう。中国で知り合った日本人と仲良くなって、ヤクザから逃げることにするが、最後にはたまたま砂漠で核実験をしていた光を浴びてしまう。そう、コレが砂漠の悪魔という事なのだ。被爆した2人のうち、中国で知り合った友達は死んでしまった。だが、日本に戻った主人公はまだ生きていた。

  • 最初のつまづきからどんどん地獄へ転落していく話かと思ったら、まるでロードムービーのような。逃避ではあるが、新しい世界、未知の世界へと流されていく主人公。どこまでも自業自得なクズ男の視点から、多くの日本人が知らない中国、ウイグルの現実が突きつけられる。悪魔の正体は衝撃だった。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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