物語ること、生きること (講談社文庫)

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  • 講談社 (2016年3月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933384

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物語ること、生きること (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 上橋さんと私は同い年生まれ。
    おそらくはそのためだと思うのですが
    彼女が読んだ本、目にしたもの、感じたことに
    私の経験の多くが重なります。

    人見知りで、できればずっと誰にも会わずに
    快適な家の中で、好きなものを食べて
    大好きな本に囲まれて暮らしたい…そんな
    性格も同じ。

    知的好奇心のベクトルもそっくり。
    いやこれは、上橋さんの方が変わってる。
    男の子はかなりの確率で、いっとき考古学に
    関心を持ちますから。

    …では私はなぜ、作家ではないのでしょう。

    私は「夢見る夢男くん」でいられる環境では
    成長しませんでした。
    両親は普通の人たちで
    私を公務員か教師にしたがった。
    現に…出版社を辞めて教師になった私は
    両親の敷いた見えない軌道から
    脱線することもはみ出すこともなく
    ここまで生きてしまったのですね。

    でも。

    あの当時、どこの家にも置いていたらしい
    ジャポニカなどの百科事典を
    隅から隅まで夢中で読んで、
    自分の知らないことを探しては
    頭に詰め込んでいた、あのあふれる好奇心は
    どこでどのようにして
    消えてしまったのでしょう。

    自分の中の炎を消さずにいられた人の軌跡が
    この本には書かれています。
    たくさんの偶然が上橋さんの周りで起こり
    作家への道が見えてゆきます。

    私は自分の背中を蹴らなかったんですね。
    上橋さん自身が上橋さんの生きる道を
    きちんとつないでいったのだと思います。

    今の私にはもうないものを、上橋さんは
    持ち続けてこられたのですね。

    上橋さんと私の子供時代は
    多くの点で重なります。
    有り体に言えば、そっくりです。
    私が作家になって、上橋さんが教員でも
    おかしくないくらい。

    だからこそ、この本は尊いです。
    夢に向かって 最初の一歩を
    踏み出そうとしない自分の背中を
    「靴ふきマットの上でもそもそしてるな!
    うりゃっ!」
    と蹴り飛ばしてくれる自分を
    心に持ちさえすれば 作家にも医者にもなれる。

    現実世界で読むファンタジー作家の言葉は
    ファンタジーよりも多くの子供たちの夢を
    ふくらませてくれるものでした。

  • これは、「上橋菜穂子」という物語。
    彼女がどんな子どもだったのか、どうやって作家になったのかが描かれている。子どものころ、時を忘れて物語にのめりこんだように、彼女はいまも、物語を生きるように、自分の人生を生きているという。

    この世界は、思っているよりずっと広いっすよ!
    なんていう上橋さんの語りかけに、ふふふ と思わず笑みもこぼれてしまう素敵な一冊。

  • 実質的な著者の半自叙伝である。著者への私のイメージが変わった。私は文化人類学が本来彼女のやりたかったことで、著作業は趣味が発展したものだと思ってた。そうではなかった。小さい頃から、一貫して彼女は「作家」になりたくて、そのための準備作業としてやってきたことが発展して文化人類学者にもなったのである。

    世の作家志望の若者が通る道を、彼女は真っ直ぐに通る。例えば私などとは違っていたのは、大人になってもその夢を強く持ち続けていたことだろう。どこかで「いまのままの自分でいい理由」を探して逃げ道を見つけてしまった私などとは、結局そこが違っていたのである。

    人は誰でも「ものがたり」の魅力に取り憑かれて、直ぐにそれを自分でもつくってみたいと思う。私が小学生の時ショウワ学習ノートに幾つも連載マンガを始めたのもその例に倣ったものだし、ヒトはそもそも何千年も前から物語ってきたのである。そうでなければ、土器の形に意匠が出来るはずがない。

    著者のとっておきの話は、とても有意義だった。最初に書いた物語が千枚を超える大長編だったこと。細部にこだわること。古武術など自分で体験してみること(バルサの描写に大きく活かされた)。推敲を大事にする(なぜならば、たったひとつのシーンにじつに多くのものが眠っているから)こと。その他、著者の代表作の背景がたくさん指摘されていた。

    また、様々な愛読書を紹介してくれていたのも参考になった。宮部みゆきは「ペテロの葬列」でトールキン「指輪物語」を「悪は伝染する」という風に紹介していたが、上橋菜穂子は「多様な者たちが、ある一つのルールによってすべてが縛られてしまう世界に反抗して、その指輪を捨てに行く物語」だと説明している。思うに、宮部が「人」に視点を置くのに対して、上橋菜穂子は「人々」に視点を置いているのだろう。

    2016年4月読了

  • インタビューした瀧 晴巳さんが文章にした本。上橋さんが "書いた" のではないけれど、インタビュアーの眼差しと一体になった作家の姿がここにある。たくさんの同意とほんの少しの違和感、そこにこそ作品を読む面白さがあるのだと思う。思いもよらない見方を見つけることや、一生経験しないであろう体験をしたように感じること、本当に、読むことは楽しい♪♪

  • 守り人シリーズなど作品や上橋菜穂子の原点が語られる。読んでいると、子供時代、本当に突き動かされてい本当に本当に好きなことを思い出し、洗い直し、今の自分にどう根付いているかを確認したくなる。

  • ブックリストありがたい

  • 『獣の奏者』、「守り人」シリーズ、『鹿の王』。作家・上橋菜穂子が生みだす唯一無二の物語世界の源泉は、その人生にあった。祖母の語るお話と、イギリス文学が大好きだった少女時代。研究者を志しながらも、常に小説が心にあった。「夢見る夢子さん」は、いかにして作家となったのか。愛読書リスト入り。

  • 上橋さんのやさしくやわらかな、それでいて芯のある語り口がそのまま。
    良かった。

  • 著者の作品は読んだことがないのに、本書をすっと、呼ばれたかのように手に取った。不思議な引力がはたらいていたように思う。

    帯には「どうしたら作家になれますか?」という大きな文字が躍る。決して著者の上橋菜穂子さんがその問いに対する一般論を示すような本ではない。
    上橋さん自身がどういう人生を過ごしてきて、どうして作家になったのかという一人の女性の物語を、こちら側が静かに聞くような本である。

    空想の世界と思われるファンタジーの中にも、著者のリアルな経験が息づいているということ。物語は、一言では現せなかったことや捨ててしまったことを拾い上げて、本当に伝えたかったことを形にするものだということ。
    何より著者が、自分が「夢見る夢子ちゃん」だと自覚しながらも、その夢を現実にしたということ。
    そういった、苦労も交えた著者の人生物語は、読者である私を勇気付けた。

    含みのある、素晴らしい本と出会えたことに感謝したい。

  • 精霊の守り人シリーズの上橋さんの本。上橋さんに対するインタビューを元に、上橋さんが過去に読んできた本や、創作の手法などが書いてある本。何故あれだけ豊潤な物語が作り上げる事が出来るのか、の一端が分かって非常に面白かった。薄い本だったので一気読みでした。ファンなら読んで損なしだと思います。

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物語ること、生きること (講談社文庫)の作品紹介

『獣の奏者』、「守り人」シリーズ、『鹿の王』。作家・上橋菜穂子が生みだす唯一無二の物語世界の源泉は、その人生にあった。祖母の語るお話と、イギリス文学が大好きだった少女時代。研究者を志しながらも、常に小説が心にあった。「夢見る夢子さん」は、いかにして作家となったのか。愛読書リスト入り。

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