螺旋の底 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933582

作品紹介・あらすじ

交通事故で自分だけ生き残った当主は、若いセラピストと再婚した。封印された墓所を地下に持つ石造りの館で新しい生活を始める二人。だが都会での生活を捨ててやってきた女には、ある計略があった。村では次々と少年たちが姿を消し、殺戮と埋葬の歴史が繰り返されなか、冥府から慟哭の真相が浮かび上がる!

感想・レビュー・書評

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  • この作者には珍しい海外もののミステリで、海外作品を読んでる錯覚も覚えた。あからさまに怪しい描写、設定が散りばめられてて、そういうことかな?みたいな予想は、ミステリ慣れしてれば当たるはず。それでも構成での引っ掛けや設定での引っ掛けと罠が細かくて、ネタばらしパートでは、あれ?となるし、その後の怒涛のネタ解説は作者の色が強く出ているように思った。まあその分、すっきり!みたいな感じでは少ないかな。

  • 第二次大戦後のフランスの片田舎を舞台にしたゴシック・ロマンス。対独協力者狩りの記憶が癒えない、血塗られた館に秘密を持った若妻が訪れる……。不気味な使用人に、当主のおぞましい秘密と、定石通りにサスペンスを盛り上げておいて、一気にうっちゃる。著者らしい仕掛け、でいいと思う。そう来るとは全然思ってなかったので、見事に嵌められた。楽しかったね。

  • 面白かったが、ちょっとヒントを出しすぎかも。どんでん返し好きなミステリファンはまず目次に日付が並んでいる時点で時系列に何かあるなと思う。他にも何気ない会話の中にそれと思しき内容が。

  • 全然分からなかった。エピローグでまんまと騙されてたことに気づいて悔しい。曜日も辻褄が合っていると思っていて、閏年には考えが及ばなかった。同じような手口で何回も騙されてるのに。
    海外が舞台な割にさくさく読めた。でも弁護士が活躍する重たい話の方が好き。

  • 何一つ真相にたどり着けずにエピローグまで来てしまった。やられた〜。もう一度読み返してみれば細かい伏線が張ってあり、その完成度に唸りました。全体に漂う薄暗い雰囲気もよい。

  • 新婚さんが田舎の豪邸で暮らし始めるお話
    旦那と奥さんの視点が章ごとに切り替わり
    話は展開していきました
    エピローグを読み始めたところで
    おや?なんか変だぞとなりそのまま
    読み進めていました
    あ、あのパターンかと思いつつ
    最後の解説のネタバレを読んでなるほど
    という感じでした
    もっと書きたいけどこれから読む人に、我慢します

  • 久々に、「やられた!」と感じた作品です。
    違う方に注意が向いてしまって、肝心の部分には気付かなかったので、ラストまで読んだ後、最初からまた読み直しました。
    気をつけて読むと、細かい伏線が色々と張られています。とある小道具だとか。

    丁寧に練られた作品だなぁ、と思います。
    全体的に漂う、『レベッカ』のような雰囲気も素敵でした。

  • フランスを舞台にした叙述ミステリー。余り得意ではない分野だった。また、デビュー作の『鬼畜の家』のインパクトが強かっただけに、あまり面白さを感じなかった。

  • 謎が解けた後に、もう一度読み返して確認したいと思うようなトリックが仕組まれていて面白い。
    犯人を追いつめる系ではないので、華やかなイメージでは無いものの、フランスという舞台に馴染んだ仕掛けになってます。
    全体的に薄暗い感じ。

  • 気に入りの深木さんの新しい文庫本が発売されたので早速購入。
    今回ははじめての海外、フランスが舞台。

    交通事故で妻は亡くなり、生き残った夫は心を病む。セラピストによって心を癒し再婚する。新妻を伴い自身の領地へ戻る。
    螺旋階段の底、地下に閉ざされた墓所のある邸で暮らすふたり。
    都会から離れ思うところのある妻と、同じ頃、村では次々と少年が行方不明になる。

    こういった物語。
    サスペンスなので少年の行方不明事件の犯人はわかっている。
    この作品の肝はそこではない。
    物語全体をしっかり注意して読めばわかる仕掛けがある。
    わたしは仕掛け自体には気づいていたのだけれど、読みが浅く混乱してしまった。

    舞台がヨーロッパで、設定が現代ではなく、邸にいる使用人の女性の雰囲気描写などが「レベッカ」を髣髴とさせる。
    いかにもミステリアスな雰囲気に包まれており、深木さんはこういった作品も書くのだなと作家深木章子の底しれなさを窺わせる。

    読んだとき、フランスで愛しいひとをシェリーと呼ぶことを知らず、名前がおかしなことになっていると混乱してしまった。
    ダーリンみたいな感じで読めば良かったのを、シェリーを人名と捉えてしまい、これ誤植じゃないのと頭を疑問符で一杯にしてしまった。
    無知なので仕掛けでないところで勝手に混乱してしまう。

    深木章子さんは何故かまだそれ程話題にもならず評価も十分ではないと感じるが、わたしは深木章子さんはもっと評価されて然るべき作家さんだと思う。
    今回も面白く読める、深木さんでははじめてのゴシックな魅力のある一冊だった。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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