図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.81
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本棚登録 : 3075
感想 : 204
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933650

作品紹介・あらすじ

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 山賤の鍛治の里、少年キリヒトは、王宮の命により、王都にある最古の図書館へ向かう。
    少年は、図書館の魔女と呼ばれる少女マツリカに仕えることになる。
    マツリカは多言語を習得し古今の書物を読み解くが、声を持たない。彼女の声となる事が、キリストの使命のひとつとなります。
    王都、王宮、図書館の描写から、ファンタジーの世界に引き込まれます。
    図書館は、書物の集積から織りなされた厖大な言葉の殿堂。作者さんの本や言葉に対する深い洞察が続きます。
    これからの、展開に期待します。


    ⚪︎マツリカは、指話と称する新しいコミュニケーションを考え始める。
    ⚪︎王都の地下に古い井戸水路跡を発見する。
    ⚪︎海峡地域の平和的均衡が揺らぎつつある。

    • 土瓶さん
      言われてますよ。1Qさん。
      言われてますよ。1Qさん。
      2023/09/26
    • おびのりさん
      そういう事でありまーす。
      そういう事でありまーす。
      2023/09/27
    • 1Q84O1さん
      まぁ、言わせておきましょう
      人としての深みが不足している人が言っているだけですから…w
      まぁ、言わせておきましょう
      人としての深みが不足している人が言っているだけですから…w
      2023/09/27
  • 「図書館こそ世界なんだよ」
    という図書館の魔女こと10代の少女マツリカと、
    その司書兼通訳兼秘書たる3人の若者が
    世界と対峙する、というお話なのかな。

    始まったばかりなのでよくわからない。
    この作品を多くの人はファンタジーという。
    私がファンタジーに求める条件は2つ。
    物語の始めから既に世界は作り込まれ、出来上がっていること。
    究極の問いが発せられ、作者が作った世界内だからこそ、鮮やかな解決で終わること。

    細かな描写は、かなりこなれていて存在感がある。
    食べ物や地下水道など。
    でもそれらは、中世から近代にかけたヨーロッパの文献から拾ってきたもののように感じられ、世界を作ったという感じかまだしない。お約束の「架空の地図」が提示されているが、「風の谷のナウシカ」や「守り人シリーズ」を想起するような地政で、まだ「おゝ」というような作り込みを感じられない。むしろ、ナウシカの「火の7日間戦争」が起きる前の世界のような気さえする。だとしたら興奮する(王蟲を作り出した知恵が図書館から発したのだとしたら‥‥)のだが、その段階まで至るにはこの時代から少なくとも数百年は必要なので関係はない。

    究極の問いは未だ発せられていない。
    よく考えたら、上下巻の未だ上の半分を読んだだけなのだ。もう少し読んでいこうと思う。

  • 全国土瓶図書協会の課題図書『図書館の魔女』です
    これの感想文を提出しないと卒業できないんです
    え?何から?
    そりゃあもちろん「この支配から」ってそれは尾崎豊

    はいもうね、みなさんのレビューも読んでるし、だいたいちょっと読めばわかりますよね
    あー説明巻だなって、我慢の巻だなって
    ただそれにしても「後でわかりますよ」ってくさびが多すぎですね
    これ耐えられない人多いだろうなって思います
    文庫化にあたって4巻に分けた編集部が悪いですこれ
    事件が起こらなさすぎです
    後になって重要な事件だったってわかるのもあるんでしょうし、そもそもキリヒトとマツリカの出会いが一番の事件だろがって言われるとその通りなんですけどね

    図書館を本の延長上にある一つの大きな本として捉える世界観なんかはちょっと面白かったし、図書館好きには刺さる設定が色々ありましたね
    「言葉」の捉え方とかね

    あと、ちょっと関係ないですけど、読書好きの人と図書館好きの人って決してイコールじゃないよねってなこと思いました
    図書館大好きとにかく本に囲まれてるのがたまらないって人と本を借りには行くけどやっぱりお家で読むのが落ち着くって人もいますよね
    中には読書はしないけど図書館は好きなんて人もいると思うんですよね、勉強にだけ利用しますみたいな
    なかなか不思議な場所ですよね図書館て
    図書館によっても雰囲気違ったりしますしね、色というか

    いずれにしろ図書館大好きな私は『図書館の魔女』もう少し読み進めてみたいと思います

    • みんみんさん
      コヨーテ飼ってます♪(´ε` )
      もう!イカツイけど雑種の女子ですよ!

      コヨーテ飼ってます♪(´ε` )
      もう!イカツイけど雑種の女子ですよ!

      2022/10/21
    • 土瓶さん
      イケメン女子だね~。
      あ~撫でたい。代わりにおねがいしまっす^^
      イケメン女子だね~。
      あ~撫でたい。代わりにおねがいしまっす^^
      2022/10/21
    • ひまわりめろんさん
      今更どうでもいいですが
      有料物件じゃなくて優良物件ね
      老眼だと誤字脱字が多くて困るわw
      コヨーテて!コヨーテの雑種て!インディアンか!
      今更どうでもいいですが
      有料物件じゃなくて優良物件ね
      老眼だと誤字脱字が多くて困るわw
      コヨーテて!コヨーテの雑種て!インディアンか!
      2022/10/22
  • 困ったなぁ。

    おもしろくないのだ。
    全4巻のファンタジー大作。
    以前から気になっていた一冊。
    期待し過ぎていたのかもしれない。
     
    登場人物はラノベ感。
    図書館の塔に暮らす口のきけない少女、マツリカ。
    師により特殊な教育を施された少年、キリヒト。
    日光を浴びることができない白い司書、ハルカゼ。
    南方系で男性的な褐色の司書、キリン。
    名の通り三つの首が垣間見える宰相、ミツクビ。等々。
     
    しかし展開は遅い。というか、あまり人と人の関わりに重きを置いていない様に感じられた。
    文字に、言葉に、政治に、太古の地下水道に多くのページが割かれている。
     
    自分の勉強不足のせいもあるが、難しい単語がやたら出てきて、調べながらの読書となった。
    大伽藍。
    渉猟。
    穹窿。
    睥睨。
    あたうならば。
    一丁字もない。
    稠密。
    篆刻。
    などなど。なんとなくは分かるが、なんとなくしか分からない。
    作者は難しい単語を使うのが好みのようだ。
     
    他の方々のレビューによると中盤から一気におもしろくなるようだ。
    普段ならば続きを見合わせるところだが、どうしようかな……。
     
    困ったなぁ。

  • 文庫版1/4巻。

    異色な雰囲気を感じるファンタジー。
    描写が丁寧でありがたい。
    登場人物がとても魅力的。会話もコミカル、シリアス、シュールが良いバランスでミックスされているので退屈しない。物語は始まったばかり。この後の展開が楽しみ。楽しい読書になりそう。

    以下、ネタバレ有り。(備忘録)

    高い塔は図書館。
    マツリカ、キリヒト、ハルカゼ、キリン、イラム。ミツクビにヒヨコ。
    ハルカゼとイラムが好きです。口が悪くなっていくマツリカも笑ってしまう。

    キリヒトを育てた先生に只ならぬ大物感。黒石からもらったナイフの今後も気になる。

    聾唖者のマツリカ。それを支えるハルカゼとキリン。
    キリヒトはマツリカの希望を叶える。それを実現できるのはキリヒトだけだから。通訳の新たな形が作られようとしている。それはマツリカの衝動的とも言える欲求だった。

    政治的な要素に、水の枯れた地下の世界に、文字や言葉の魅力がいっぱい詰まった物語。

    本を読むことが楽しいと改めて感じさせてくれる作品。

    続けて二巻へ。

  • タイトルと帯の煽り文句を見て、「私は間違いなくハマる」と確信していた本書。
    文庫本で4巻組だし時間ができたときのお楽しみに…と本棚で寝かせていましたが、我慢ができなくなって読み始めたところ、期待以上のおもしろさ!
    読みながら静かに興奮していたため、普段より体温高かったのではないかと思うくらい、引き込まれていました。

    舞台は大国・一ノ谷。
    王都にそびえる”高い塔”に仕えることになった一人の少年が、山間の里を出立するところから物語は始まります。
    彼の勤めることになる”高い塔”は、古今の書物が集められた図書館、そしてこの図書館を統べるのは「図書館の魔女」と人々が呼んで恐れる1人の少女なのでした。

    描かれるのは剣と魔法のファンタジーではなく、智慧と策謀が渦巻く政の世界。
    図書館の魔女・マツリカの中に広がる知識の海、そしてそこから生み出される言葉に酔いしれてしまいます。
    表面上の会話や手紙の裏に隠された真意や微妙な駆け引き…それを年若い少女が華麗にこなしていく様から目が離せません。
    新たに図書館の一員となった少年・キリヒトをはじめ、一ノ谷の面々も個性的で、はたして腹の底が見えているのか、いないのか…。

    物語にがっつり鷲掴みにされて2巻へ!

  • 図書館が内政や外交戦略の中枢の一角を担う国のお話。。
    "ペンは剣よりも強し"を地で行く少女マツリカがとても勇敢でかっこいいんです。
    と言っても隠しきれない拙さや人間味もよく描かれていて、。
    言語と言葉をメインテーマに添える作品なだけあって、私たちが普段よく使う言葉にも、改めて温かみを感じたり涙するシーンも多々ありました。

  • レビューは4巻にて。

  • 初期の感想は、読む人を選ぶ(描写がくどくて話が進まない!と投げだしてしまう人が多そうな)本だなあという印象でした。かくいう私も買って数ページ読んでから数年じっくり寝かせた。後に、人から「2巻の中盤からどんどん面白くなってくるから頑張って!」と言われなければ寝かせたままだったかも。

    鍛冶の里で生まれ育った、物静かで淡々とした少年が、“師匠”の命に従い、図書館の魔女に仕えるようになるところから物語は始まります。この世界で“高い塔”と呼ばれる図書館は、国の中心部や国外からも一目置かれるほど大きな影響力を持っており、魔女と少年はやがて国内外の権謀術数に巻き込まれていく…というストーリー。

    図書館の魔女という、そもそも本好きなら心躍るタイトルなのがニクい。その図書館の魔女たるマツリカは、まさにその二つ名に相応しい鋭い頭脳と豊富な知識(作中では「読む力」)を持っており、マツリカから放たれる言葉の海に、少年キリヒトを含む登場人物達も、そして読者も、みな舌を巻いてしまう。ファンタジー小説というより、異世界の政治外交駆け引きスペクタクルといった方がしっくりくる物語です。

    ただこの作者さん、(特に1巻の)描写がくどくて展開が遅く、もう少し省いても良かったのでは?と思う部分もあります。それがこのどっしりした物語の骨組みであり、展開にすごみを持たせ、キャラクターに深みを与えている訳でもあるのですが……。

    個人的には、指輪物語の世界観説明や、京極堂シリーズ恒例の妖怪・宗教がらみの解説を読めるなら大丈夫だと思います。会話文メインの小説を好む人にはおすすめしませんが、地の文がしっかりしている方が嬉しい、世界観にグイグイ引き込まれたい!という人は、頑張って読んでみてほしい。

  • 気持ちが波に乗るのに時間はかかる本かもしれない。でも、中盤から面白くなってくる!今は色々な登場人物の目論みやマツリカの作戦の伏線が張り巡らされている、そんな段階だということはやんわりと掴めるけれど、一体それが何かはわからない.... これはまだ第一巻で四巻まで続くとは... そこまでこの緊張感はワクワクは続くのか...?

    この本の中で全部が第一部なんだけど、節となる段落の題名が毎回始めの分の冒頭というのも面白い!この作者はよっぽど題名で物語をくくりたくなかったんだな、って思った!そして、作者を調べてみたらきちんと言語について学んだ人らしく、だからこんなに深くに言葉について言及、探求した本ができるのか、と納得。表面的知識で物語を描いているのではなく、その道を貫き博士過程までとった人が言語、言葉という抽象的で私たちが欠かせないツールへの愛を詰め込んだ物語、そんな気がした!

  • 難しい言語が使われていて、最初はかなり苦労しました。しかし物語は自分好みで最後の方はその言語が心地良く感じられました。

  • 最初は展開が遅いなと思って読んでたけど、だんだん引き込まれていって、最終的に完全にハマりました!
    とても細かく作り込まれた世界観で、細かな描写の説明も最初はくどいなと思ったけどだんだん必要不可欠なものになっていくところに高田さんの凄さを感じました!

  • 面白いけれど言葉が難しかった。でも文章の流れや漢字からなんとなく想像出来る言葉が多かったので面白く読めました。
    全4巻の1巻目なので、まだ本題には入ってないのかな?前半はキリヒトという少年が図書館で働き始める初日の丸1日の話がほとんど。1日でこのページ数だと全4巻は何日分の話なのだろうか…と思っていたら後半はサクサクと進みました。
    多少の読みにくさは感じるけれど、それよりも話の続きが気になります。2巻目からはどういう風に話は進むんだろう。

  • 山育ちのキリヒトは師の元を離れ、一の谷の「高い塔」に住む、図書館の魔女ことマツリカに仕えることになった。海峡地域の一大勢力である一の谷の政治を左右するほどの実力を持つにもかかわらず、マツリカはキリヒトと同じ年頃の少女だった。キリヒトの使命は、言葉を発することの出来ないマツリカにつき従い、その意思を伝えること。出会ったその日から二人は、一の谷の王宮と議会、辺境領を巡る陰謀、海峡地域に戦乱をもたらそうとする野望の中に投げ込まれる。

    タイトルに惹かれて手に取ったのだが、魔法のないファンタジーだった。丹念に情景を描写してゆくので、初めは物語の展開がもどかしく感じられるかも知れない。その流れに身を任せていると、この世界のイメージが豊かになってきたところで、ストーリーは急速に展開してゆく。全4冊の大長編にもかかわらず、終わってしまうのが残念に感じるほど、面白かった。

  • 序盤の序盤。説明の巻って感じ。
    言葉も難しくて、なかなか読み進められなかったけど、後半は気になる終わり方。
    井戸が今後どう関わってくるのか続きが気になる!

  • 既に内容については皆様が書かれているので、これから読む方への注意点を。

    設定が長い…とにかく細かい。
    しかし、それを読んだものには楽しい物語が待っている。
    そう、第1巻は設定解説編です。

    飽きた?…耐えてください。
    つまらない?…物語は2巻からです。
    言い回しが…慣れます。慣れて!

    この1巻さえ読み終えれば、2〜4巻は物足りないくらい。
    そして、あなたも感想にこう書くであろう。

    「1巻目は耐えて…」

  • キリヒトとマツリカの出会い編ってところでしょうか。2巻に続きます。

  • タイトルに惹かれて。

    物語も言葉も図書館も幼い頃から大好きで、特別。

    登場人物の人間性が見え始めたのが少女マツリカと少年キリヒトが出会ったあたり。

    知識や説明に尽くされる文字数が多く、一巻を読み終わっても人物に対してや物語がどう転がっていくのかわからない部分も多い。

    世界情勢についてもまだ理解が追いついていない部分が多い。何度か読み返す必要がありそう。

    「包丁の歴史」を託され喜ぶキリヒト
    声を持たないマツリカが従者に与える名前
    二人のためだけの指話
    このあたりのシーンが特に好き。

  • 全4巻読了。とても丁寧に書かれていて世界観も良かった。途中あまり自分的に興味がない場面が長々続いたりするけれども、全体を通してみると好きな作品。

  • 好きなストーリーなんだけど、とにかく言葉が難しい!最初は調べながら読んでたけど一向に読み進まず、とりあえず読んで、またいつかちゃんと調べながら読みたいと思います。
    正直途中積読しそうになって、もっとわかりやすい言葉にしてくれたらもっと世界観掴めるかも、とか読みやすいのにとか思ったけど、読み進めるうちに、ひとクセあるのも個性的でいいかなと思うようになりました。と、思うようにしている。

    追記:
    むしろ他の本がすらすら読めるようになった

  • 面白かった‼ 言語の認識などの話になったりするので、難しいが。
    探求心をくすぐる物語は、面白い。

  • タイトルと帯に惹かれて購入。
    確かにファンタジーだし、図書館だし、少年少女だけど、、!
    ハリポタをイメージしていた自身の予想をめっちゃ裏切られた。

    権謀術数うずまく東西の要に位置する一ノ谷の頭脳である図書館の魔女、マツリカ。
    そこに山の鍛冶の里よりやって来た、文字を読めないキリヒトが仕えることになる。

    一番薄い第一巻なのに、何回単語を検索しただろう!
    何か挑まれているような気になり、いちいち調べたら読むのに時間がすごくかかった。
    著者はカタカナを使わない縛りでもしているのかと疑うくらい、使用する単語が難しかった。
    (素馨そけい=ジャスミン、厖大 ぼうだい=膨大 、猖獗しょうけつ=猛威をふるうこと、喞筒そくとう=ポンプ、肉桂にっけい=シナモン…etc)

    言い方1つで子供でもわかる言葉になるし、難解な文学にもなると思い知った。。。

    キリヒトが故郷を出て行くときの不安感や、別れの挨拶の様子から、これから彼を主人公とした冒険でも始まるのかと思ったら違った(笑)
    マツリカ自身が聴唖(この言葉も初めて知った)であるため、手話での会話がメインで進む。
    政治的な思惑にて色々と干渉してくる周辺諸国の斥候に対して、司書達と共に対策を話し(?)合うマツリカの様子は、まるで試合中の棋士のような感じだ。

    人伝てであるがゆえに、対話にタイムラグが発生することが彼女のストレスになっていたが、機知に富み、優秀な耳を持つキリヒトが現れたことで、彼女の表現の幅を広げる可能性が高まる。
    図書館でのキリヒトの教育が始まる。

    後半は、キリヒトの指文字特訓として始まった一ノ谷の遺構の分析調査。
    歴史、遺構の状態、気候、地質、色々な観点から紐解かれていく600年前の一ノ谷の姿を読むのは面白い。
    マツリカの説明は偉そうだけど、確かにすごい。
    あ、帯のとおりに言ってしまった。

  • 長い話、読了しました。
    面白かった。冗長な部分もあったが豊富な知識の吐露と理解して読み進めた。
    マツリカとキリヒトのふたりの秘め事的なからみはかわいかった。まるでちいさな恋のメロディみたいに。根気が必要だが読んで損のない傑作。

  • 「言葉」というものを改めて考えさせられる作品。
    ストーリー自体は大きく進むことは無い。
    この後の話のための情報を撒き散らしている感じ。

  • 何かものすごいものを読み始めてしまった。
    難しい。
    言葉が空から降ってくる地から湧いてくる。
    言葉の海に放り込まれたみたいだ。


    『図書館の魔女 第一巻』 高田大介 (講談社文庫)


    辞書を片手に読書をしたのは初めて。
    時には広辞苑にも載っていないような専門用語に苦戦する。
    でも面白い。
    作者は言語学者なのだ。
    手加減なしだなーと苦笑しながらも、何だかとても楽しい。

    一読目はただただ難しく、読み進むのに時間がかかった。
    ところが再読で突然、劇的に色々なものが色彩を持ち始め、嘘みたいに物語世界に頭から落ちていくような、何とも不思議な体験を今回初めてしたのだった。

    この得体の知れない力は何なんだろう。
    難しくて読むのをやめた人に、二度目がすごいよと声を大にして言いたい。


    鍛冶の里で育った少年キリヒトは、王宮の命により、一ノ谷の「高い塔」に住む“図書館の魔女”マツリカに仕えることになる。

    古今東西の言語に明るく、文献学や書誌学を修め、あらゆる書物を有し人々の尊敬と畏怖の対象である図書館を統べるマツリカはしかし、自らの声を持たないまだ年端の行かぬ少女だった。
    手話で話すマツリカの通訳として、キリヒトは高い塔に呼ばれたのだった。


    「高い塔」は王宮において絶対的な権威を持ち、マツリカは先代のタイキの後継者として周辺諸国との外交を担い、政を行っていた。

    「権謀術数が渦を巻く」と本の帯にあるが、それはどうやらこれから先の話のようで、ライバル国ニザマの宰相ミツクビとの会談のおりの駆け引きや、マツリカの手紙などにその片鱗が垣間見えて、これからがすごく楽しみだ。

    暗闇で蝋燭の灯りに浮かぶコーラルピンク。

    私が最初に感じたこの物語世界の色のイメージだ。
    ほの暗さや閉塞感をもちながらも、あるいはマツリカの幼さがピンク色を連想させるのだろうか。

    自由奔放でプライドが高く、幼いゆえの気難しさと危うさを併せ持つ。
    人を惹きつける一方で厳しくはねつける。
    この小さな“魔女”は実に魅力的だ。

    そこに現れたのが字も読めない田舎育ちのキリヒトなんだから、これはもう面白くならないわけがない。
    ちょっぴり異色のボーイミーツガール。


    マツリカは、キリヒトだけに通じる全く新しい手話を考案する。
    お互いを見ずとも会話ができる、手から手へ直接触れて伝える“指話(ゆびわ)”である。


    ここでは、手話についてかなり詳しく書かれている。

    「手話というものは本来『声の代替物』ではない」

    「手話はそれ自体で独立した一つの言語」

    私は昔、手話を少し習ったことがあって、その時に言われたのが「手話は第二言語ではない」ということだった。
    音声言語ありきで考えると、最初から間違えてしまうのだ


    この新しい指話が、彼女にとっていちばん生の声に近いものとなっていく過程に感動する。

    「ずっと望んでいた品物を贈り物の包みの中に見いだした子供みたいに、目を輝かせてあのマツリカが笑っていた」

    手話では語れなかった叙事詩をマツリカがキリヒトの手の中で語る場面、ちょっと遠出の市場デート(もうデートとしか言いようがないくらい二人が可愛い)、井戸の底での大冒険。

    権謀術数が渦巻いていようが何だろうが、この微笑ましい二人の未来が明るいことを願わずにはいられない。


    一方で字の読めないキリヒトも文字を習い始める。
    生まれて初めて文字に触れた感動と戸惑いが、とても瑞々しく描かれている。
    じっと見つめていると字がほどけてしまうように見えたり、記号が言葉になる瞬間を突き止めようと頑張ってみたり。

    この物語は“言葉”で創りあげられたファンタジーだ。


    「言葉は一方通行で不可逆」

    「文字そのものは言葉ではない。文字はすでに言葉ではなく、いまだ言葉ではない。」

    禅問答のようなマツリカの言葉。


    「膨大な言葉の織りなす全体、膨大な書物が結びあう脳髄の宇(ところ)と宙(とき)、一つの片言は行間に数々の異本を呼び寄せ、一つの行文は紙背に万巻の言及を孕む」

    何なのよこの美しい文章は。
    まるで漢詩を読んでるみたい。
    もう意味なんてわかんなくていいやと思ってしまう。
    いや、調べたけど(笑)

    調べるもよし、調べないのもまた楽し。


    音の組み合わせが音節になり、音節の組み合わせが語になる。語が変化して句を成し、句を組み合わせて文ができ、文の集まりが書物となる。

    そういうことなんですよつまりこの物語は。
    スケールという意味で。

    豊潤な言葉の海に楽しく溺れながら読み終えた。

    いやあすごいわ。

    二巻へ続きます!

  • 初めましての作家さん。
    魔女と言っても、魔法ファンタジーではないです。
    頭脳を駆使した推理と深い洞察力で導き出される予見が
    まるで魔法のように見えるってことからでしょう。

    図書館から始まる言葉と、国盗りというより、
    戦いを避けて国を守る物語ですかね?
    図書館の魔女マツリカと司書のキリンとハルカゼと
    鍛冶の里で生まれ育った少年・キリヒト。

    蘊蓄とワクワクと緊張と発見が次々と押し寄せるので
    飽きる暇がない(^◇^;)
    本を愛し、言葉の力を信じるすべての人に!っていう
    紹介が、正に!って感じです。

  • ちょっと長いので、読むのに疲れてしまうところもある。でも、ドキドキハラハラで面白かった。4巻の後日談もそのうち出ないかな。

  • 以前に1度読んだのですが、再度読み直すことにしました。これは中学生の時に読んだ作品なのですが改めて読み返してみると以前は気付かなかったことに目が行ったり、よりいっそう理解出来たり、新たな発見があったりと、再びこの作品の奥深さを認識しました。

  • 架空世界のファンタジーでありながら、「言語」について考察することのできる小説。それだけ聞くと難しそうですが、物語としても、圧倒的な読み応えがあります。魅力的な登場人物の誰かに感情移入できるでしょう。興味のある人は、実在世界の元ネタ探しも試みてください。

  • ファンタジーなのに、魔法も武器も使わない。どういうこと?最後まで読めるだろうかと疑いつつ読み始めました。なかなか物語が進まず、理解するのに頭使い読むペースもゆっくり。中だるみするも、やめようとは思わずやっと後半へ。気になる。気になる。気になるところで次巻へ。
    ということで、もっと理解するために再読チャレンジ。

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著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田大介の作品

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