図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933872

感想・レビュー・書評

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  • 全4巻中、3巻での出来事
    元儀仗隊アキームとイラムの心の機微
    魔術書のニセモノぶり
    印刷技術の普及による本の物理的価値の低下
    特定の書物を禁書扱いする行為の無意味さ
    戦役回避の布石としての技術復元
    マツリカ襲撃とその結果
    荒れるマツリカ
    ニザマ帝との交渉


    前半は書物を禁書扱いする無意味さについてのあれこれ
    この辺は現代の表現規制とかデマの取り扱いに繋がるものがあるなぁ
    間違っている事を広めたくないなら、間違っている事をそれ以上に広めればいいのでしょうけど
    現実問題として、理解出来ないものより自分でも理解できるものを信じてしまう人が一定数いるわけで
    そんな人達の目に触れないように情報を制限するというのは言論統制として正しいのかどうか

    デマも深度があって、最初から最後まで荒唐無稽なものと、一部事実に即しているけど大部分が間違っているものがあるわけで
    じゃぁ、何が正しくて何が間違っているのかという絶対的な評価とうのは本質的にはできないんですよね
    となると、どんなデマであろうと言論そのものを封じる事はできないのではなかろうか


    後半に関しては、これまでの展開の繋がりに驚く
    地下水道の探索からの渋鞣の設備がこう活かされ
    さらにそれが戦役を納めるための技術として用いられるという展開がね
    知識ってすげぇなぁと改めて思う

    そして、船旅でのマツリカの弱気デレ加減がよろしい(笑)

  • 2021.1.5
    これまでに比べて格段に読みやすく、事態も動いた。
    フィジカル派の自分には向かない知能戦な物語だが、マツリカとキリヒトのこの人なしではいられない感が胸をうちます。

  • 何が凄いってもう、何一つ無駄のない文と知識に裏付けられた内容構成である。一つ一つのセリフに意味があるからだ。しかとも、「このときはまだ、ミツクビの凶手が迫り来ることに気がついていないのであった」という続きが気になる文言も折々に差し込んでいるため、読むことを止められないのである。更に内容を構成する謎は全て知識に基づいて練り上げられ、解説もされるため、私を魅了してやまないのだ。ラストがどうなるのか非常に楽しみである。すぐ第四巻を読もうと思う。

  • 途中でやめられなくなって、深夜に一気読み!!^^; 綿密に練られていく戦いと、まったく反対のところにあるかと思われる図書館、言葉が順にちりばめられていたのが、見事に ニザマ帝との宴席の会話につながっていった!? 偽書にまつわる2つの違った場面(図書館とニザマ領)でのマツリカの話は、ものすごく興味深かった。 いよいよ物語はクライマックス!? 3国同盟(?)はうまくいくのか? そして、マツリカの言葉は取り戻せるのか? 四へ急ぎます!

  •  自分が知らない日本語がこんなにもあったのかと思い知らされながら、逐一辞書を引いていては話にのめりこめないので、とにかく雰囲気だけ感じて先へ先へと読み進めます。だって面白いんだもの! 現実に引き戻されずにドップリ浸りたいんだもの!(地団太) これだけの語彙を自在に操れたらいいだろうなぁと羨望しつつ、一般人との会話では碌に通用しなさそうですね(笑)

     語彙や言語学に限らず、政治戦略・地質学・農学・商学と、筆者の学の深さには恐れ入るばかりです。どれも単なる知識のひけらかしではなく、全てが密接に絡み合って話の展開に活きてくるところが凄い。凄すぎて全くついていけない自分が情けない……(涙) 話の骨太さに押しつぶされそうになりつつ、時折挿入されるマツリカとキリヒトのエピソードや、衛兵たちとのやりとりに心和まされています。
     次はいよいよ最終巻……ぶ……分厚い……(汗)

  • ■剣でも魔法でもない、少女は”言葉”で世界を拓く

    深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接する大国ニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、敵は彼女の“言葉”を封じるため、利き腕の左手を狙う。キリヒトはマツリカの“言葉”を守れるのか?

  • 衛兵たちを図書館付きの護衛として迎え、賑やかになった高い塔。
    刻一刻と戦の火蓋が切って落とされそうな国境を戦火から救うべく、マツリカの考案した奇策の準備が着々と進む中、敵国の刺客が再びマツリカを襲い…

    事がうまく運びすぎていて、きっと何かよくないことが起こるぞ…という予感を抱いていたのですが、案の定…という展開の第3巻。
    しかし、無用な戦を避けるため、各々の勢力に利益をもたらす奇策を引っ提げて敵国に乗り込んでいった一ノ谷使節団が何をやってくれるのか、結末を見届けるのがますます楽しみになりました。

    禁書をめぐるマツリカの講義がとても面白かった!
    著者は印欧語比較文法・対象言語学がご専門とのこと。
    言葉や書物に対する思い入れの強さが人一倍感じられました。
    それに加えて、各国の政治情勢や地理なども徹底的に練り上げられているので、読み応え抜群。
    もう夢中です。

    さあ、深呼吸をして、いざ4巻へ。

  • 『これはすべて、もとはといえば書物を読むということの価値が広く知れ渡ったからだというのに、結果はまったく矛盾したものとなる。

    書物が一介の消費財となる上に、複製すべき書物を選ぶのに人が人生を賭すほどの意味が無くなる。その帰結として起こることはもはや自明だ。この世に駄本が満ちあふれて流通することになる。愚書が蔓延る。』

    複製技術の進歩が、書物を書き写すという労力をゼロにしてしまい、価値のない書物まで増え、何が価値があるのか分かりにくくなってしまった。
    まさに同感。たまにそういう本に当たってしまいがっかりする。

    ものすごく惹きつける作品でいよいよ最終巻へ。ニザマ帝国に乗り込む緊張感がたまらない。

  • 2週間おいての第3巻。再び物語は嵐の前の静けさに戻る。
    これまでの側近に図書館付きとなった元近衛兵者を加えた“高い塔”の中で進められる情勢分析と戦争回避の企て。
    ジルジリするような、一歩間違えば一触即発の空気の中、来るべき有事に備え静かに布石を打っていく緊迫感だけが物語を支配する。
    そこに油断大敵、見えない敵がマツリカの“言葉”を封じるために放った奇策。
    互いにまみえることなく繰り広げられる虚々実々の駆け引きに息も詰まる。
    船旅の描写に続くニザマ帝との丁々発止の会談の帰趨に、姿を消したタイキや先代キリヒトの謎、これまた最初に登場したきり姿は見せねど存在感を示すミツクビの見えない策略が絡まって、いよいよ最終巻へ突入。
    どのように決着するか、これは楽しみ。

  • ニザマの刺客により、マツリカは手話による「言葉」を封印されるも、一ノ谷とニザマ、アルディシュ三国間の緊張を解くべく出立する。

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著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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