殺人出産 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934770

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり村田さんの作品は当たり前の概念を覆してくる。

    本の序盤から「一途に誰かを殺したいと想い続ける」とか「命を奪うものが命をつくる役目を担う」とか意味不明なワードが出てきて、モヤモヤした気分になる。

    この本では「性」そして「死」に対する価値観が改められ、どちらに対しても恐怖を抱く可能性がある。
    読んでいて気持ちのいいものではないが、引き込まれてしまう。

  • 生殖から始まって命を後世に運んでいくという自然だと思われてる流れがむしろ不自然なのでは?という錯覚というか問いかけが頭の中に住み着くって感じで大好き 村田沙耶香さんの作品はコンビニ人間の主人公も子供に対して「人間」としか言ってなくて安心感ある うちら人間は地球に住み着いてそれっぽい社会通念作ってるけどどうにも違和感感じるって人は村田沙耶香さんの作品好きになれますよ

  • もしも「殺人出産」が容認された世界になったとしたら、私は殺意とどう向き合うのか?

    殺意ってもの凄いエネルギー量だと常々思う。

    今まで生きてきた中で怒りを通り越して殺意を持ったことはあるけど、 実際に殺そうと思ったことはない。 何よりも道徳に反しているし、 殺意を持っただけで疲れ果ててしまうからだ。実行に至るまでの衝動的なエネルギーは湧いてこない。 だからこそ殺人事件の報道を見ていると犯人の衝動的思考や殺意のエネルギーに恐怖する。

    本書は 10人赤もゃんを出産すれば1人殺すことができる 「殺人出産」 を政府が容認している世界の物語。主人公の姉は 「殺人出産」をしており、 現在妊娠中でその胎児を出産できれば10人出産したことになり、1人の殺人が許される立場になる。姉は 約20年この殺人出産のために時間を費やしてきたそうだ。

    読み始めは 10人産み終えるまで最低 10年それまで続く殺意って相当なものだと思っていた。だけど、根気強い殺意だけじゃない気がする。

    出産は自分の命を削って行うものだ。連続して妊娠出産すれば母体にはかなりのダメージがあると思う。作中では主人公の姉は何度も死産を繰り返していて、本人も死の問際を何度もさまよっている。

    何十年もの時間と自分の命を危険にさらしてまで殺したい。 それはもはや根気ではない。

    もしも「殺人出産」が容認された世界になったとしたら、私は殺意と真正面に向き合って「殺人出産」をするのだろうか。きっとしないだろうな。 現実の世界で殺人をせずに踏みとどまっているように、殺意をもって出産に挑もうとはしないと思う。

    そこまでの殺意のエネルギーを私は生み出すことができない。

  • 胸糞悪くて最高!!!!!!!!!!!!!!!
    気持ちを暗くしたい時、興奮してるのを落ち着かせたい時、落ち込みたい時、いつも笑顔が素敵で活発なあの人へのプレゼントにピッタリの一冊!!!!!!!

    殺人出産とはまあインパクトのあるタイトルやなと思って手に取って正解だった。
    世にも奇妙な物語とかでドラマ化して欲しい見たい

  • 両手を大きく広げ、これが当たり前の世界です!
    と言わんばかりのヘンテコな世界観も、圧倒的描写により説得力が産まれる。流石、クレイジー沙耶香。痺れる。

    殺人出産、トリプル、純潔な結婚、余命
    からなるオムニバス。

  • ずっと読みたいと思いつつ読んでいなかった念願の作品。
    令和の今、こんなミステリーが現実化してしまったら…人のアイデンティティは大きく変わるだろう。けど、それが想像できる時点で、令和を生きる私たちの感覚に近いのかもしれない。

  • コンビニ人間が好きだったので読んだ。
    どの話も全部今の価値観からしたら設定がぶっ飛んでいるけれど、『殺人出産』にもあったように100年経ったらどうなってるか分からないよなと思った。
    私も『余命』のように自分で選んで死にたい。

  • 一気に読んだ。村田沙耶香さんワールド、想像できない設定に引き込まれた。10人産んだら1人殺せる…そんな世の中になるとは。何が本当なのか正しいのか私が生きている今の世の中が本当に正しいのか?倫理観が根底から覆るお話ばかりでした。

  • かなり好き。村田紗耶香の中ではコンビニ人間レベルに好き。4つ作品あるけど、全部好き。清潔な結婚は、最後のオチがよくわからなかったけど。殺人出産は、今信じてる倫理観や価値観を反転させる。気持ち悪いんだけどなんか爽快。

  • 性と命の常識を思いきり覆される短編4篇。だけど「こんな世界になるわけない」とは言い切れないことで、今ある常識が思いのほか脆いところに立っていることに気付かされる。
    10人産んだら1人殺していい、3人で性を営むトリプル、性だけを排除した結婚、死に期を自分で決める世界。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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