祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934978

作品紹介・あらすじ

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

シリーズ最大の謎が決着する。
吉川英治文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • このタイトルが意味するものは何だろうと思いながら読み始めた。

    序盤から加賀恭一郎刑事の母親のことが描かれていて、そのことと事件が絡まっていき、母親の素性や人柄、加賀刑事との親子関係など気にしながらも読み進めた。

    このシリーズの登場人物とこの作品の事件に関わる登場人物が、場面ごとに現れて、気になる言動をしていく。ラストに向かって事件の真相がスピードを上げて判明していく。その心地よさと同時に犯行に及んだ登場人物の悲哀、家族の悲哀も明らかになっていき、胸が詰まる。最後は、加賀刑事の母親の愛情が伝わる場面が描かれ、この作品の温かくも切ない余韻となって訪れてくる感覚をもった。タイトルである祈りの幕が下りる時、それぞれの人物が抱えていたものが、よい意味で清算されたのではないかなと感じた。

    辛いことも含めていろいろなことは起こりうる。それでも、新たな人生は始まることを期待したいと強く感じられる作品であった。

    • yhyby940さん
      ヤンジュさん、こんにちは。東野圭吾さんの筆力には、いつも圧倒されるばかりです。大好きな作家さんの一人です。今、「魔球」を読んでいますが面白い...
      ヤンジュさん、こんにちは。東野圭吾さんの筆力には、いつも圧倒されるばかりです。大好きな作家さんの一人です。今、「魔球」を読んでいますが面白いです。30年ほど前の作品ですが、引き込まれます。
      2023/06/24
    • ヤンジュさん
      yhyby940さん、コメントをありがとうございます。私も好きな作家さんです。東野さんが描く登場人物や伏線は繊細で、読んだ作品ではその世界に...
      yhyby940さん、コメントをありがとうございます。私も好きな作家さんです。東野さんが描く登場人物や伏線は繊細で、読んだ作品ではその世界に入り込んでいく感覚がありました。「魔球」は手にしたことがない本です。コメントを読んで、興味が湧きました。
      2023/08/11
    • yhyby940さん
      ヤンジュさん、コメントありがとうございます。著者は数十年にわたり第一線の作家として活躍されているだけで才能に圧倒されるばかりです。私はテレビ...
      ヤンジュさん、コメントありがとうございます。著者は数十年にわたり第一線の作家として活躍されているだけで才能に圧倒されるばかりです。私はテレビでの「新参者」からのファンなので新前のファンですが、いろんな過去の作品を読んでいます。「魔球」「夢幻花」フォロワーの方に教えていただき読みました。面白かったです。機会があれば是非。ヤンジュさんの本棚、今後の読書の参考にさせていただきます。ありがとうございます、
      2023/08/11
  • ああー、泣けましたー!!๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
    これは切な過ぎる。。。
    ラスト何度も何度も涙腺が緩み、読み終わった今、放心状態

    私の言葉で語ると薄っぺらくなる
    どう表現したら良いのやら
    でも少しだけ

    一人で死んでいった恭一郎の母親の人生(想うだけで切ない)
    そして、犯罪を犯してしまった父と娘の深い絆と哀しい人生
    二つのストーリーを、加賀自らがパンドラの箱を開けて結び付いた紐を解いていくこととなる

    人生何が正解かなんてわからない
    でも責任をとるのは選んだ自分
    そして人生一度切りしかなく、やり直しがきかない事もあるということを、まざまざと物語ってくれている

    子供を想って自分の人生そこまで犠牲にするかって話なんだけれど、その選択が物語を面白くさせている

    事件を紐解いていく楽しさもあるけれど、そこに人の生き様や家族愛をリンクさせて来るのでいつも2倍楽しめる

    今回加賀家族の真相、日本橋署異動理由が明らかになった

    心に染みるとても良い作品でした!
    凄く良かった!
    y yさん、ご紹介ありがとうございました☆

    やっぱり加賀恭一郎シリーズ面白い
    他のも読んでみよう

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      まきさん

      30.000円?!∑(๑ºдº๑)!!
      いいな、いいな、絶対新品買います!
      単行本高いですよね、平気で2.000円越えとかありま...
      まきさん

      30.000円?!∑(๑ºдº๑)!!
      いいな、いいな、絶対新品買います!
      単行本高いですよね、平気で2.000円越えとかありますしね
      お母様や叔母様も喜んでいらっしゃるでしょうね
      2024/02/04
    • はねさん
      ハッピーアワーさん!私も大好きです!!
      大号泣。映画も2.3回見て分かってるのに死ぬほど泣きます.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.エーン

      東...
      ハッピーアワーさん!私も大好きです!!
      大号泣。映画も2.3回見て分かってるのに死ぬほど泣きます.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.エーン

      東野圭吾さんが好きですが、加賀さんのシリーズが特に大好きです。

      奥深いんですよね。どの話も。

      特にこれは何て言ったらいいのか....話も濃縮されまくってて加賀さんの過去や家族についてもふれますが、犯行を行ったその犯人ですら愛の為にと涙が止まらないです!

      また読みたいです!
      2024/03/01
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      はねさん

      初めまして
      コメントありがとうございます⸂⸜(*^^*)⸝⸃⸃

      東野圭吾さんの他の作品は読んではいたのですが、レビューの様に私...
      はねさん

      初めまして
      コメントありがとうございます⸂⸜(*^^*)⸝⸃⸃

      東野圭吾さんの他の作品は読んではいたのですが、レビューの様に私は紹介して頂いて、加賀恭一郎シリーズが大好きになりました
      めっちゃ!良いですよね〜⸜(◍ ´꒳` ◍)⸝

      はねさんの様に私もストーリーわかっていても何回読んでも観ても涙してしまうでしょう
      良い作品とはそういうものなのでしょうね〜
      このシリーズまだ読んでいない作品があるので、少しずつ読んで行こうと思っています
      2024/03/01
  • 年末、『VIVANT』の一気見をした。あんなにハマっていた日曜劇場が、ここのところわたしには刺さらず、平日の忙しさもあって、この超話題作も長いこと録りためたままにしていた。不覚だった。加賀恭一郎と半沢直樹の「掛け算」の出来栄えに、久々に唸った。

    最近、新装版の加賀恭一郎シリーズ2作を楽しんだが、年末一気見で、より加賀節が恋しくなった。本作は、公開当時に映画で観ているが、記憶も薄れ、活字もまた沁みた。加賀の生い立ちにも関わり、強く心を揺さぶられる。『新参者』にこんな壮大な伏線があったことを改めて認識した。

    従弟の松宮は、捜査が進展していくなかで、加賀の「日本橋」へのこだわりに気づく。
    「恭さんは日本橋署に来て、変わった。ものすごく街に溶け込もうとしている。街の隅々に気を配って、ここに住む人たちのことをすべて把握しようとしているように感じる」

    加賀も、真相が明らかになるにつれ、時折、普段あまり見せることのない感情が顔をのぞかせる。
    「…だけどもし、俺たちに対して何らかの思いを抱いていたのだとしたら、それを汲み取るのが俺の役目だと思う。なぜなら、あの人がいなければ、俺はこの世に生まれてこなかったからだ」

    日本橋に加え、震災前後の東北という舞台も郷愁を誘う。過去に心の傷を負った田島百合子と綿部俊一が仙台で出会い、身を寄せ合う。多くは語られない二人の思いに人間の深い情念を予感させ、最近こうした男女の関係性の物語に弱い。JUJUさんの『東京』を聴きながら、連休を終える。

  • 加賀恭一郎シリーズの10作品目。
    今回はある殺人事件が起こり、失踪し亡くなる迄の加賀の母親と親しい人物がその事件と脈絡してくるという物語。

    事件の捜査が進むにつれ、博美親子の切なくて悲しい過去と現在も露になってくる。
    それと同時に加賀の母親が何故失踪したのか?
    「赤い指」で亡くなった父親との真相の因果関係等が明らかになっていく。

    「祈りの幕が下りる時」
    タイトルが秀逸すぎる。その時何が起きるのか?その時とは何なのか?その幕とは何を意味しているのか?

    博美の手掛けた明治座での舞台「曾根崎心中」、博美の複雑で暗い過去、父娘の約束と決意、そして2つの殺人事件の幕が同時に下りる。
    なんとも言い表せない感情が込み上げてくる。一言で表すなら「尊い」

    そして加賀にとってはこの事件がなければ両親に対しての「祈りの幕が下りる時」はなかったのではないだろうか?
    しっかりと整理されてこの先加賀が歩んで行くのだろうと推測できた。
    捜査一課への配属転換がその証で、きっと登紀子と家庭を持つ事にもなるだろうと。
    そういう意味で加賀にとってはこの幕が下りた時とは、刑事としても家族としての価値観も大きく前進するに違いない。

    次作「希望の糸」新な加賀がそこにいるような気がしている。楽しみ。

  • 加賀恭一郎シリーズ。
    手にした時は、結構分厚いなと思ったのですが、読み始めたらページをめくる手が止まらず、1日で一気読みしてしまいました。
    すごい話でした。
    涙が溢れて止まりませんでした。

  • R1.12.31 読了。

     先に映画を観た。やはり原作の方が断然良い。幕開けは殺人事件。その後は犯人探しメインというよりも、せつない父娘の物語。真相に近づくほどに心が締め付けられる思いがした。父と娘の絆が強いだけに。守りたい者を守る難しさも考えさせられた。
     どういう展開なら、良かったんだろう?

  • 加賀恭一郎シリーズ第10弾。
    恭一郎と亡くなった母親の真実、作中に登場する父娘の犯した悲しい犯罪と生き様。この2つのストーリーが必然的に繋がっている秀逸な展開には感動。
    前作に続き、不器用な親子の愛と絆が切なく苦しく愛おしく描かれている。

    また、過去のシリーズから読んできた私としては、恭一郎親子の真相、捜査一課への復帰を拒み、所轄の日本橋署への異動を希望した真相も描かれていて納得の読了感だった。

  • 久しぶりの加賀恭一郎シリーズ。適当に選んで読んでいるので順番が前後してしまう。
    加賀の母親の失踪から始まる。亡くなった母親の遺品が加賀に渡るが、忘れられたかのように次の事件が起きる。事件を担当するのが従兄弟の松宮。松宮からの情報で加賀の母親からの遺品に繋がって行くが、読んでいて中々真相に迫れない。
    次々と失踪者が現れ、これまた誰が誰やら混乱が深まる。
    母親と子供、父親と子供、夫婦の関係、幾つもの家族が複雑に絡み合う。全ての疑問が解決した時に、哀しさが湧き上がるが、加賀の恋愛らしきものがちょっとだけ和らげてくれる。

  • 【感想】
    加賀恭一郎シリーズの前作である「麒麟の翼」同様、本作品もこれまでに何度も映画やDVDで観た作品。
    なので、大まかな内容はもう全部頭に入っている上でこの本を手に取りました。
    それだけネタバレしていても尚、読んでいてとてつもなく面白く感じるのだから、本当にこの作品の完成度は高いんですよね!

    今まで何十冊も東野圭吾の作品を読んできた上での感想として、(あくまで主観ですが)東野圭吾作品のクオリティは大きく4段階に分けています。

    1.ハズレ
    2.普通
    3.アタリ
    4.レベチ

    勿論、東野圭吾の作品はいずれも構成がしっかりとしているので、やばいレベルの「ハズレ作品」なんてほぼ全くありませんが、前回レビューを書いた「危険なビーナス」等々、作品全体の完成度の高さにはどうしても多少の偏りがあると思っています。

    ちなみに、各カテゴリに属する作品は以下の通りです。(※あくまで私の主観です)
    1.ハズレ:変身、私が彼を殺した、ブルータスの心臓
    2.普通:人魚の眠る家、どちらかが彼女を殺した、ラプラスの魔女、ガリレオシリーズ他作品、加賀恭一郎シリーズの他作品 他
    3.アタリ:幻夜、さまよう刃、夜明けの街で、聖女の救済、真夏の方程式、手紙、時生、流星の絆、宿命、赤い指、麒麟の翼 他
    4.レベチ:白夜行、悪意、新参者、希望の糸、容疑者Xの献身

    そして本作「祈りの幕が下りる時」は、文句なしの「レベチ」作品でしたね!!
    父娘の絆であったり、加賀恭一郎の過去であったり、複雑なトリックや状況証拠が、色んな悲劇と奇跡が重なって事件が解決していく。
    その様は、犯人である浅居博美が演出した舞台劇のように鮮やかだった。。。
    あらすじに、「悲劇なんかじゃない。これが私の人生。」という一文がありましたが、浅居父娘や加賀恭一郎の各々の人生を垣間見ることが出来、読んでいてとても心にグっときました・・・・


    ちなみに、冒頭で挙げた映画版もとてもオススメです。
    阿部隆は勿論、浅居博美役の松嶋菜々子や浅居忠雄役の小日向文世が本当にイイ味を出していて・・・・
    思い出すだけでも涙ぐんでしまうくらいの名作。
    まだ見ていない人は、是非ご鑑賞下さい!


    【あらすじ】
    悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
    加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。

    明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。
    捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。
    それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

    シリーズ最大の謎が決着する。


    【引用】
    1.うちを出た後、お袋がどんな思いで残りの人生を過ごしたのかを、どうしても知っておきたい。
    俺や親父の事を忘れ、完全に新しい人生を送っていたのなら、それはそれでいい。
    だけどもし、俺たちに対して何らかの思いを抱いていたのだとしたら、それを汲み取るのが俺の役目だと思う。
    なぜなら、あの人がいなければ、俺はこの世には生まれてこなかったからだ。

    2.「人には色々と事情というものがあるんです。生きていくために必要な時には多少の嘘だってつきます。でも加賀さん、もしあなたの推理が当たっていて、父が夜逃げ先で死んだとして、私は何かの罪に問われるのでしょうか?」

    3.「つい最近、知り合いの看護師からこんな話を聞きました。死を間近にした人が言ったそうです。
    子供たちの今後の人生をあの世から眺められると思うと、楽しくて仕方がない。そのためには、肉体なんか失ってもいいと。
    親は子供のためなら自分の存在を消せるようです。それについて、どう思われますか?」
    この言葉に、博美は一瞬目眩がしそうになった。だが懸命に堪えた。

    4.「彼女の成長と成功を見守る事が唯一の生き甲斐だったというわけか」
    「そして彼女が成長し、成功すればするほど、浅居忠雄自身は自らの運命を呪っただろう。自分の存在が世間に知られれば娘は破滅する。いわば彼自身がパンドラの箱だったわけだ」
    「パンドラの箱か・・・」松宮が呟いた。「押谷道子は、それを開けてしまった。だから殺された、というわけか。30年間、誰一人として開けなかった箱を」
    箸で餃子をつまみかけていた加賀が、その手を止めた。「果たしてそうかな。本当に、誰一人として開けなかったんだろうか?」

    5.あの時、加賀に会いに行ったりしなければ、現在の窮地はなかったのかもしれない。
    まさか彼によって自分たち父娘の秘密が暴かれることになるとは、夢にも思わなかった。
    だが博美は後悔など全くしていない。
    加賀と会い、語らう事で、彼の母親つまり忠雄にとって大切だった女性の人柄を窺い知れたからだ。

    きっと素晴らしい女性だったに違いないと、加賀に会って確信した。
    忠雄の人生が絶望的に暗い事はよく知っているので、幸せの気配を感じられただけでも嬉しかった。

    振り返ってみれば、小さな過ちを数多く犯している。加賀はその一つ一つを拾い集め、真実という城を築き上げたのだろう。
    大した人物だ、と心底思う。




    【メモ】
    p46
    上司たちには言えなかったが、二つの事件に繋がりがあるように感じるのは、発生日時や距離が近いからだけではなかった。
    もう一つ、印象という重要なファクターがあった。
    越川の部屋の捜索には松宮も加わり、すべてを調べても越川が何者なのかを示すものは見つからなかったが、その暮らしぶりだけはよくわかった。

    それを一言でいえば、典型的な「その日暮らし」だった。

    将来に対する夢や展望が感じられず、代わりにいつでも死を迎える覚悟を窺わせた。
    食べ物にしろ雑貨にしろ、備蓄してあるものが何もない。何しろ冷蔵庫がないのだ。
    松宮は室内を見回し、ここは部屋であって部屋でない、と思った。そして思い浮かべたのは、ホームレスたちが作る青いビニールシートの小屋だ。
    越川睦夫は、この部屋で息を潜めるように生きてきたのではないか?


    p128
    「恭さんは日本橋署に来て、変わった。ものすごく街に溶け込もうとしている。街の隅々に気を配って、ここに住む人たちのことをすべて把握しようとしているようにも感じる」


    p145
    「伯父さんは、どうして捜さなかったのかな」
    加賀は口の片端を曲げて笑った。
    「去る者は追わず、その方がお互いのためだと思ったってさ。だが仮にうつ病が原因だったとしても、その事に気付いてやれず、精神的負担を取り除いてやれなかったという点において、すべての非は自分にある、百合子は何も悪くない。親父そう言った。」

    「さらに、こう付け加えた。死ぬ前に、一目でいいから我が子に会いたかったはずだ。それを思うと胸が痛む、と」
    松宮がその言葉を聞くのは初めてではなかった。何年か前のことを思い出した。
    「伯父さんと恭さん、約束してたんだったな。たとえ伯父さんが危篤状態になっても、恭さんはそばにいないって。伯父さんは一人で死んでいくと決めてたんだろ?」
    「それがお袋に対する、せめてもの詫びのつもりだったんだろうな。男の意地でもあったかもしれない。気持ちはわかったから、俺も付き合う事にしたが・・・」
    あの時の行為が正しかったのかどうか、加賀は未だに答えが出せないでいるのかもしれない。


    p146
    「うちを出た後、お袋がどんな思いで残りの人生を過ごしたのかを、どうしても知っておきたい。俺や親父の事を忘れ、完全に新しい人生を送っていたのなら、それはそれでいい。だけどもし、俺たちに対して何らかの思いを抱いていたのだとしたら、それを汲み取るのが俺の役目だと思う。なぜなら、あの人がいなければ、俺はこの世には生まれてこなかったからだ」


    p182
    「どれだけ無駄足を踏んだかで、捜査の結果が変わってくる・・・だな?」
    加賀は松宮を見て、にやりと笑った。
    「まぁ、そういうことだ」
    松宮が言った言葉は、亡くなった加賀の父親の口癖だった。


    p320
    「お父さんの死亡が確認されるのは、おそらく遠く離れた土地での事だ。死亡届はその場で出され、遺体もまたそこで荼毘に付された。だから学校の同級生などは何も知らないままだった」
    「苗村教諭はあなた方が夜逃げした事はわかっていて、そのうちにお父さんの死亡を知った時も生徒たちには伏せていた。さらに、どうしてもそれを明かさなければならないケースでも、夜逃げ先ではなく地元で自殺を図った事にした。夜逃げしたという悪いイメージがあなたに付くのを恐れたからです」

    博美は加賀を見返し、軽く拍手した。
    「大した想像力。刑事さんって、どなたもそんなふうなんですか」
    (中略)
    「人には色々と事情というものがあるんです。生きていくために必要な時には多少の嘘だってつきます。でも加賀さん、もしあなたの推理が当たっていて、父が夜逃げ先で死んだとして、私は何かの罪に問われるのでしょうか?」


    p321
    「つい最近、知り合いの看護師からこんな話を聞きました。死を間近にした人が言ったそうです。
    子供たちの今後の人生をあの世から眺められると思うと、楽しくて仕方がない。そのためには、肉体なんか失ってもいいと。
    親は子供のためなら自分の存在を消せるようです。それについて、どう思われますか?」
    この言葉に、博美は一瞬目眩がしそうになった。だが懸命に堪えた。


    p332
    「原発はねえ、燃料だけで動くんじゃないんだ。あいつは、ウランと人間を食って動くんだ。人身御供が必要なんだよ。わしたち作業員は命を搾り取られてる。わしの身体を見りゃあわかるだろう。これは命の搾りかすだよ」
    野沢は両手を広げた。シャツの襟元から、あばらの浮いた胸が見えた。


    p380
    「正体がばれないためには、人間関係が広まるのを極力避けねばならない。辛く孤独な人生だったと思う。あの似顔絵の表情が、すべてを物語っている」
    「そんな彼を支えていたのが娘。彼女の成長と成功を見守る事が唯一の生き甲斐だったというわけか」
    「そして彼女が成長し、成功すればするほど、浅居忠雄自身は自らの運命を呪っただろうな。自分の存在が世間に知られれば娘は破滅する。いわば彼自身がパンドラの箱だったわけだ」
    「パンドラの箱か・・・」松宮が呟いた。「押谷道子は、それを開けてしまった。だから殺された、というわけか。30年間、誰一人として開けなかった箱を」
    箸で餃子をつまみかけていた加賀が、その手を止めた。「果たしてそうかな。本当に、誰一人として開けなかったんだろうか?」


    p410
    あの時、加賀に会いに行ったりしなければ、現在の窮地はなかったのかもしれない。まさか彼によって自分たち父娘の秘密が暴かれることになるとは、夢にも思わなかった。
    だが博美は後悔など全くしていない。
    加賀と会い、語らう事で、彼の母親つまり忠雄にとって大切だった女性の人柄を窺い知れたからだ。

    きっと素晴らしい女性だったに違いないと、加賀に会って確信した。
    忠雄の人生が絶望的に暗い事はよく知っているので、幸せの気配を感じられただけでも嬉しかった。

    (中略)

    振り返ってみれば、小さな過ちを数多く犯している。加賀はその一つ一つを拾い集め、真実という城を築き上げたのだろう。
    大した人物だ、と心底思う。


    p411
    ・曽根崎心中のラスト
    「つまりお初は死にたかったんだ。いつも死に場所を探していた。そこで現れたのが徳兵衛だった。お初は思った。どうせ死ぬなら心の底から惚れた男に刺し殺してもらいたい、とね。それを察したから、徳兵衛は刺した。こっちもまた、命がけで惚れた女の夢を叶えてやりたかったんだね」
    お初を刺した徳兵衛は躊躇うことなく今度は自らの命を絶つ。お初を抱くように息を引き取った後、静かに幕が下りていった。


    p427
    「いずれ押谷さんの遺体が見つかる。警察は、越川睦夫という男を捜すやろ。もうこの歳や、逃げ切れるわけがない」
    「そんなの、わからへんやないの。私が隠したげる。絶対に見つからない場所を探してあげる」
    忠雄は薄い笑みを浮かべ、「無理や」と弱々しくいった。
    「博美、もう勘弁してくれ。もう疲れたんや。何十年も逃げ回って、身を潜めて生きてきた。もう逃げたり隠れたりする生活には疲れた。楽になりたい。楽にさせてくれ。この通りや」
    忠雄は正座し、頭を下げてきた。
    「誤解するなよ。辛いこともあったけど、今日までの人生を後悔はしてない。楽しい思いも沢山できた。何もかも博美のおかげや。博美、ありがとうな」

    • トミーさん
      いつも、いいねをありがとうございます。
      恐縮ですが
      傾向が近いようで勝手に喜んでおります。
      いつも、いいねをありがとうございます。
      恐縮ですが
      傾向が近いようで勝手に喜んでおります。
      2020/06/06
    • きのPさん
      トミーさん
      こちらこそ、いつもいいねやコメントありがとうございます!
      東野圭吾、湊かなえ、宮部みゆきなど、小説の趣味嗜好はトミーさんと近...
      トミーさん
      こちらこそ、いつもいいねやコメントありがとうございます!
      東野圭吾、湊かなえ、宮部みゆきなど、小説の趣味嗜好はトミーさんと近いものがありますね(*^^*)

      また何か掘り出し物の良い小説があれば、また教えて下さい!
      2020/06/12
    • アールグレイさん
      きのPさん、初めまして。
      先日は私のレビューにいいねを頂き、ありがとうございました。きのPさんのレビュー、読ませて頂きました。あんなに簡単...
      きのPさん、初めまして。
      先日は私のレビューにいいねを頂き、ありがとうございました。きのPさんのレビュー、読ませて頂きました。あんなに簡単な私のレビュー、お恥ずかしいです。気が向いたら目を通してみて頂ければと思います。
      2021/03/22
  • アパートで中年女性(押谷道子)が絞殺された。アパートの部屋に掛かっていたカレンダーには、各月毎に柳橋、浅草橋、左衛門橋、常磐橋などの日本橋にある橋の名前が書き込まれていた。その数日後、近くの河川敷でホームレスの焼死体が発見されたが、死体には扼殺された痕跡が…。二つの事件の関連性を疑う松宮。アパート住人と焼死体のDNAは一致するが…。道子殺害には、道子が殺される直前に会っていた中学時代の親友で舞台演出家・脚本家の角倉(浅居)博美 の関与が疑われる。また、加賀の亡き母親とアパート住人との間にかつて繋がりがあったことも浮かび上がってきて、事件は複雑さを増していく。

    アパートの住人は誰だったのか? 加賀の母親の恋人ワタベ? 失踪した道子・博美の中学校の恩師苗村? 事件を追う中で、家族の元を去った加賀の母親の一人息子・恭一郎への思いも明らかとなる。

    地道な捜査の積み重ねで事件の真相が徐々に暴かれていく。その中で群を抜いて光る加賀の捜査センス。追い詰められていく犯人の姿も淡々と描かれていて、どぎつさもなく、ミステリーとして単純に楽しめる作品だった(欲をいえば、加賀と母親の心情や心の葛藤などをもっと描いて欲しかったな)。

  • 頁をめくる手が止まらなかった。加賀恭一郎シリーズではお馴染みの人々が登場して、彼らが本格推理を働かせるからだけではなく、恭一郎の親子関係の謎がやっと解き明かされたからである。

    私は東野圭吾の作品の中でも加賀恭一郎シリーズが1番好きだ。ガリレオシリーズとは違って、しっかりと地味な事件を追っているので、より人間の心理面が焦点になっているからである。初期のものは恭一郎は最後の方に登場するだけで、事件そのものが主人公だったが、最近は恭一郎の人生にもスポットが当たるようになった。それはそれで面白い。しかし、文庫の煽り文句「加賀恭一郎、最大の謎が明らかになる。」というのには異論がある。今回恭一郎が日本橋署に移った理由は明らかになったが、そもそも何故警部補で優秀な恭一郎が所轄にいたままになっていたのか、その原因になっていたはずの浅岡美緒とのいきさつはどうなったのか、今回恭一郎が金森登紀子という別の女性にアプローチしたのは何故か、というある意味恭一郎の「人生にとって最大の謎」が残されているからである。次回こそ、それがテーマになる気がしてならない。

    2016年9月30日読了

  • ここ最近東野作品読み耽っておりますが(特に加賀恭一郎シリーズ)本作も素晴らしかったです。
    映像作品を観たような気はしてましたが、ただ、結果的に観てないんだなと。読んでる途中で全く真相や結末に気付きませんでしたので。
    本作も家族の絆・愛がテーマです。登場する人物達の様々な家族模様が表現されています。子を思う親の気持ち、親を思う子の気持ち、その気持ちが強ければ強い程、起きてしてまう取り返しのつかない過ち。
    そして加賀恭一郎自身の家族も例外ではなく、明かされる母の本心。
    小さな点(伏線)が、見事に一本の線となる回収、本作でも見事です。
    橋、見事でした。なるほどそういうことかと。
    自分は日本橋くらいしか画が浮かばず、Google mapで位置と写真見ながら読みました。その中には何気なく素通りしている場所も幾つかありましたが、改めて散策するのは面白そうだなと思いました。
    この後アマプラで映画の方を観ます。多分泣く気がします。

    • はねさん
      映画も何度観てもボロ泣きの号泣でした!!!この作品、本も映画も最高です!!!!
      映画も何度観てもボロ泣きの号泣でした!!!この作品、本も映画も最高です!!!!
      2024/02/25
    • 太郎さん
      コメントありがとうございます!
      いやー、小日向さん出てきて以降はもう涙腺崩壊ですね。本もかなりヤバかったのですが、自分の想像を超える俳優さん...
      コメントありがとうございます!
      いやー、小日向さん出てきて以降はもう涙腺崩壊ですね。本もかなりヤバかったのですが、自分の想像を超える俳優さんの演技力、見事でした。本当、素晴らしい作品ですね!
      2024/02/25
  • 加賀恭一郎シリーズは、重い題材が多いが、この1冊もまたズンッと重い。
    自分勝手な行動で、結果的に周りの幾人もの人間の人生を暗転させた厚子。すべての不幸の源。
    東野さんの小説では、こうした『女の怖さ』がよく出てきますね。

  • 東野圭吾は、やはり読ませるのがうまい作家だ。
    伏線が巧みに埋め込まれており、何気なく読み進めたあと、ついまた最初から読み返したくなる。
    加賀が、何故父親と相克するのか謎の部分があったが、この作品で母親の最期の様子が記されることによって、やっと明らかになった。
    加賀の家族の問題が一区切りし、今後は、金森登紀子との関係がどうなって行くのか、まだまだこのシリーズから目が離せない。

    『夢幻花』に続き、この作品でも原発が、「3.11」とともに、作業員の就労問題として、告発的に取り上げられている。著者の一つのスタンスか。

  • 本を読みきって拍手した。
    最初から面白いし、とにかく読みやすかった。
    全部の作品読んだ方が面白いと思う。
    特にシリーズ「卒業」「赤い指」「麒麟の翼」は必須。
    「親子って何だろう」って考えたくなる作品。
    このシリーズは終わらないで欲しい。
    加賀恭一郎さん大好き。

  • いろんな人物が出てきて混乱するところが何回かあったけど、後半から次々と謎が明かされていって驚かされてばかりでした。

    父娘の関係、娘を想う父の気持ちなど、博美の過去の回想は少し涙が出ました。

  • 加賀恭一郎シリーズ
    吉川英治文学賞受賞作

    仙台のアパートで、孤独死している女性が発見された。
    それから十年以上の月日が流れ、東京の荒川近くのアパートで女性の他殺体が発見された。
    犯行日と思われる日から数日後には、そこから五キロほど離れた場所でホームレスの焼死体が発見されている。
    警視庁捜査一課の松宮は、この二つの殺人に繋がりがあるのではないかという印象を持つ。

    一方、加賀恭一郎は捜査一課に戻らないかという話があるにもかかわらず日本橋署勤務を志願し続けていた。
    それは亡くなった母に関する謎を解き明かすためだった‥

    複数の殺人事件と加賀の母親に関する謎。
    発端は数十年前に遡り、複雑に絡み合う。

    一旦狂った歯車は、もう元に戻すことはできないのだろうか。
    殺人という手段以外に方法はなかったのだろうか。
    何か釈然としない、辛くやるせない気持ちで一杯になった。

    どんなに困難なことでも、粘り強く対処し、決して諦めない加賀の姿勢が解決への足掛かりとなっていく。

    辛い過去を持つ加賀には幸せになってもらいたい。
    それは、加賀を知る人みんなが思うことだろう。その兆しが垣間見えたラストだった。


  • 新参者の舞台が、私の職場の近くと
    知って、卒業から読み始めて、
    最後にこの本に出会えてよかった。

    著者の
    真夏の方程式も良かったけど、
    この話もとても良かった。

    映画も見たいと思った。

    いつかまた、卒業から読み直そうっと。

  • 加賀恭一郎シリーズ。
    ↑このシリーズはあんまり好きじゃなかったけど、この話は面白かった。

    赤い指は相当前に読んだものだったので、登場人物もすっかり忘れていた為、ウィキペディアで少々調べながら(笑)

    途中、自分なりにいくつか推理して、何パターンか考えてみた。
    うーん、こんなの簡単じゃん!って思ったのだが、予想とは全く違った(^-^;
    いい意味でガッツリ裏切られて大満足(*^-^*)

    やっぱり私は純文学よりも、こういう作品が好きだなぁ~。
    解決しちゃうのが勿体なくて、最後2割くらいは読みたくなくなるくらいだった(笑)

  • 【加賀恭一郎シリーズ 10】
    本書でシリーズ完結か⁈と言われただけはあった。

    事件の真相と、加賀のルーツの真実が描かれていた。事件はアパートの押し入れから見つかった女性の絞殺死体。
    滋賀県から東京へ週末出掛けて行った理由は? 
    同時期に見つかったホームレスの遺体は誰なのか?『明治座』の舞台、日本橋の橋巡りなど、謎がいくつも層を織りなす。

    事件より、加賀恭一郎の人生ドラマが先を急がせる。親子の情が切ない。
    そして、加賀にも、どうぞこれからは、幸せになって、と願いが募った。

  • 加賀恭一郎シリーズを知ってはいたものの今回、初めて読んだ。
    面白かった、文句なしに。

    ありとあらゆる伏線はラストでものの見事に回収され、全てが腑に落ちて読了。
    内容は明るいものではないけれど、親子の愛情や人が人を想う切なさ、祈り(まさしくこの本のタイトル)を垣間見た作品だった。

  • 読み終えて切ない気持ちに身悶えするような感情に浸ってしまった。親が子を思う気持ちが前面に出ている。その気持ちを全面に押し出すために、とんでもない人物まで登場している。とんでも無いのだけれど、東野さんは少しだけでも救いを与える事を忘れてはいなかった。

    親が子供を思う気持ちを描くために数々の過ちを犯してしまうストーリーが少し残酷に思われてしまう。

    作品の中で、一心に子供のことを思いながら亡くなっていった父親と同じ様な年頃に近づき、その気持ちがわかる様な気がしてくる。

    事件を解明したものの、自分の母親の真実を知ってしまうかもしれない加賀刑事が最後の手紙に対してどのような行動に出るのか?思わせぶりな最後の締めくくりがとても良い余韻を残してくれた。

    この作品を読む前に、「希望の糸」を先に読んでしまっていた。この作品を読んでいて、希望の糸は加賀刑事シリーズのスピンオフだということがよく分かった。(シリーズの読む順序を間違えても、それなりに楽しめました。)

    そして、どうして加賀刑事が日本橋署にこだわっているのかが深く理解できた。東野さんは本作のストーリーの最後の展開まで見据えて加賀刑事シリーズを書き始めたのだろうか?

    本作は全て通勤電車の中で読んだので、最後に深呼吸は必要ではあったが、涙は滲ませるレベルで何とか持たせることができた。

  • 加賀恭一郎シリーズ 全10作品の最終作!(今のところ)
    知らずに読んでしまいましたが、できれば刊行順に読むのがオススメです。

    東京・日本橋署に勤める刑事:加賀恭一郎。
    幼い頃に別れた母親への想いが今回の事件解決の原動力になっているのは間違いない。行動力や高い集中力を持ち、観察力や推察力も抜群。仕事のできる人だ。

    仙台で亡くなった加賀の母親の死と東京で起きた事件が巧妙に交わっていて、その展開に引き込まれ、一気に読み進めたくなった。

    例外はあるけれど、親の子供に対する愛情ってすごい。また逆も然り。
    加賀の両親それぞれの想いや母親の息子に対する想いが最後に知れてよかった。
    また、作中に登場する父娘に起きた悲劇や生きるための選択が切ない。

    その当時に気づけていればもっと良い方向で解決していたかもしれない。
    あの時に違った選択をしていれば今のような状態にはなっていなかったかもしれない。後悔しても戻れないけれど真相に近づくにつれて胸が締め付けられるほどに切なかった。

    • yhyby940さん
      初めまして。とても深く読み込んでらっしゃいますね。
      初めまして。とても深く読み込んでらっしゃいますね。
      2022/05/27
    • satokoさん
      yhyby940さん

      はじめまして。コメントありがとうございます^ ^嬉しいです。
      私も数年前まではビジネス書や自己啓発本を読んでいました...
      yhyby940さん

      はじめまして。コメントありがとうございます^ ^嬉しいです。
      私も数年前まではビジネス書や自己啓発本を読んでいましたが、最近は小説の魅力に気づきハマっています。
      yhyby940さんは映画もよく観られてるんですね!わたしも韓国映画はじめ好きなので、参考にさせていただきます。
      2022/05/27
    • yhyby940さん
      コメントに感謝いたします。私も小説か、好きです。最近は映画が、多いですね。コメント参考にさせていただきたいと思っています。よろしくお願いしま...
      コメントに感謝いたします。私も小説か、好きです。最近は映画が、多いですね。コメント参考にさせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
      2022/05/27
  • ひたすら切ない。
    加賀恭一郎の深い愛情に心が温かくなる作品。 
    映画も素敵。
    阿部寛と松嶋菜々子さん、最強です。

  • 加賀恭一郎シリーズ10作目。今作はより一層加賀にスポットライトがあたり、いつもは分かりづらい加賀の内面について触れることができました。また、これまでの加賀シリーズでの出来事が随所に現れていて、加賀が住む世界がそこにあるんだなと感じて嬉しく?なります。次作は個人的に待望の殺したシリーズ3作目、「あなたが誰かを殺した」です。加賀の推理に自分は追いつくことができるのか、読むのがとても楽しみです。

  • 複雑なところもあったけど、親子の絆ということを考えてしまいました。
    最後、話の内容と題名を考え、この題名
    いいな、と思いなんだか落ちつきました。

  • 切ない物語。
    父親から娘へ、母親から息子への無条件の不器用な愛がなんとも切ないです。
    隠し事を抱えて、それでも生き続けるのは辛すぎると感じました。

  • 一言でとにかく【最高】です。素晴らしいです!
    本も素晴らしいけど、映画も2.3度見るほど本当に素晴らしい。
    本より実は映画の方が様々見るのですがこのストーリー自体日本の映画の中でも私はトップ10に入れてます!!

    加賀さんご家族の過去に触れながら、犯人の真相にも近づいていく。
    ドキドキしながら1ページ1ページを丁寧に持ったいぶりながら読みました。
    読みやすいからスラスラ読めちゃうし、この先はこの先どーなる?って思いながら読めるから楽しくて笑

    特に加賀恭一郎シリーズを読んでる方には共感して頂けるとは思いますが知らない方でも犯人がなぜ犯行を実行してしまったのか?涙無しでは読めないと思います。

    とにかく大好きですー!!!

    ※本の概要※
    悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
    加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。

    明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

    シリーズ最大の謎が決着する。
    吉川英治文学賞受賞作。

  • 家族の幸せ
    夫婦の離婚、負いきれない借金、子育てを諦め、家族を捨て逃亡など家族での問題が家族全員の人生を一変させ事件を生み出すミステリー小説だ。貧困の家族での事件事故はやむなく発生するのが悲しく哀れだと思う、がしかたがない。小説では不運にも起きた殺害事件を隠す為、正体を隠し、偽名を使い、極力人間関係を避け孤独を貫くなどどうにもできない環境が人生を狂わせることが多々あるのだと、努力だけでは報われない場合もあると、この小説を読んで思った。

  • 加賀シリーズ最高です。
    親子の絆。
    自分にも子供がいるので、お父さんの気持ちが伝わってきて号泣しました。
    東野圭吾さんは、なんでこんな素敵な話を考えられるのか…。いつも感動します。

    ちなみに、読み終わってすぐ映画も視聴。長編だったので映画で頭を整理しようと思っただけだが、予想以上に役者さんたちの演技が良くて見入ってしまった。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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