妻が椎茸だったころ (講談社文庫)

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著者 : 中島京子
  • 講談社 (2016年12月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935500

妻が椎茸だったころ (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけで本を買うことはたまにあるけれど、この小説はタイトルに惹かれた2016年の1位かもしれない。
    「妻が椎茸だったころ」…これが気にならずいられるものか。

    5編の作品からなる奇妙な短編集。
    すべて温度が低いというか、変なんだけど淡々としているというか。
    表題作は、定年退職直後に突然妻を亡くした男の話で、妻が書き残したレシピ集+雑記のようなノートに「私が椎茸だったころに戻りたいと思う」という一文を見つける。
    だけど男はとくにその言葉に思いを馳せないところが温度が低いと感じる所以で、その後あるきっかけから男は、自分が椎茸だったころのことを思い出せるようになる、というところに着地する。
    …ものすごく、説明するのが難しい。奇妙な物語が好きな人は、読んで確かめて欲しい類。

    ぞっとする奇妙、少し切ない奇妙、インチキ臭い奇妙、ファンタジックな奇妙、と様々な奇妙さが漂う作品群なのだけど、すべてオチがすごく鮮やかなところが印象的だった。
    オチというのはこういうことか、と思わされる。
    「ラフレシアナ」と「ハクビシンを飼う」が私は好きだった。

    干し椎茸を戻す、という作業をしたことがなかった表題作の主人公が、固いままの干し椎茸を無理やり切ろうとして怪我をし、そのまま醤油で煮込んで焦がし、その焦げを取るためにたまたま水を鍋に入れたままにしていたのが功を奏して椎茸が戻る。
    そのときに男が発した「おまえたち、戻ったのか!」という台詞がとても好き。偶然の産物とは、なんて素晴らしい。

  • 興味深いタイトルに思わず衝動買い。なるほどそういう意味か。僕も自分が椎茸だったころを思い出していた。そして今度、妻が椎茸だったころの話を聞いてみたいと思った。
    あらすじ(背表紙より)
    亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在をユーモラスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて愛おしい」五つの「偏愛」短編集。泉鏡花賞受賞作。

  • 短編集。
    どの話も「で、続きは?」と思うものだった。
    後は読者が色々想像してね、ということなのかもしれない。

    「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」が一番面白かった。
    「妻が椎茸だったころ」も面白かった。お料理教室の先生がいつかどこかでといったのは最後の一文の寄り添って揺れる椎茸のことなのかなぁ?

  • 椎茸とハクビシンの話がよかったな。

  • 短編集。「ラフレシアナ」が一番好き。

  • ショートフィルムを見た後のような不思議な満足感。いやほんとに不思議。

  • ちょっと不思議な余韻の漂う短編5作品。
    どれもラストでドキリとしたりヒヤリとしたり。短編ながらも中身は濃い。

    一番印象深いのは、タイトルがインパクト大の表題作。
    亡き妻のレシピ帳で見つけた謎のメモ。
    不思議に思った夫は、妻のレシピ帳により今まで知らなかった妻を発見する。
    レシピ帳を読みながら妻の姿を追い妻に寄り添う夫の姿に、読んでいて優しい気持ちになる。
    そしてラストの一行には泣けた。

    彼の妻は「椎茸」だったけれど、では私は何かな、とふと考える。
    …私は若布かな。海の中をゆらゆら漂いながら海上の柔らかい光を感じたい。

  • 面白かったです。不思議でかわいい短編集でした。表題作は再読でしたが、再読でも旦那さんがかわいくて好きです。わたしは何だっただろう、と考えたりしました。1番初めのお話と、ハクビシンのお話も好きでした。1番初めのお話は、最後に物語の世界が変わって驚きました。これまでクスクス笑いながら読んでいたのは何だったのだろう…怖い。なんだか白昼夢を見ていたような読後感でした。好きな空気です。

  • 中島京子さん「妻が椎茸だったころ 」読了。中島さん独特の不思議感が満載の5つの短篇。この感覚好きです。☆4つです。性的なエピソードも、不思議なテイストになり、いい感じ。あっ、第42回泉鏡花賞受賞作か‥なるほど

  • どれも癖のある短編で、逆に表題作だけほっこりとした終わり方をしていて違和感を覚えてしまって面白かった。この本のタイトルを知ったとき、「妻が椎茸だったころ、私は○○だった」というフレーズを頭の中で反復してしまっていたが、その答えはジュンサイだった。ジュンサイ。料理をしないからそれが何か分からない。
    この短編集に一貫したテーマがあるとすれば、食べる女、だろうか。ラフレシアナは自分が喪女なのもあって読後感がしんどかった。

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妻が椎茸だったころ (講談社文庫)の作品紹介

妻との死別の後、泰平は自炊を始めた。残された妻のレシピメモを見ながら格闘する日々、やがて泰平は料理教室に通いはじめるが……。亡くなった妻を思う男の気持ちを少しユーモラスに、切なく綴る表題作「妻が椎茸だったころ」のほか、温泉宿とその土地に纏わる物語、偶然出会った石の収集家との会話の中から浮かび上がるもうひとつの物語「蔵篠猿宿パラサイト」、亡くなった叔母の家に突如現れ家族のように振る舞う男が語った叔母との関係をコミカルに描いた「ハクビシンを飼う」など、日常の片隅に立ち上がる「ちょっと不思議な」五編を物語。

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