ムカシ×ムカシ REMINISCENCE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 673
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936040

作品紹介・あらすじ

東京近郊に広大な敷地を持つ百目鬼家は、大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。その息子夫妻が屋敷内で刺殺され、遺産の整理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの小川と真鍋、アルバイトの永田は新たな殺人に遭遇する。古い河童の絵と謎めいた文の意味するものは。Xシリーズ、待望の第4作!

感想・レビュー・書評

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  • 血筋が起こした切ない一家騒動。
    秘密を知ったが最後という怖ろしさがあるのに、儚くて美しくて、切ない。

  • いつものとおり小川さんと真鍋くんが何となくがんばります。まあそんなことより各務さんが出てくれたことが1番驚きました。「ドルで?」ってやりとり、なんかいいですねえ。

  • 本シリーズでは今のところ一番面白いと思いました。文学的でロマンティックでそして悲劇的なストーリーで、そんな雰囲気がとても好きでした。
    そして結末ですが...いろいろ思うところがあり、考察を検索していて、衝撃。なるほど全てが腑に落ちたという感じでした。読み直してみると伏線もところどころに散りばめられていました。

  • 220521*読了
    XシリーズはGシリーズとは違い、あの人の気配をそこまで感じない。
    殺人は起こっているのだけれど、平和的というか…。

    今回は資産家の夫妻の殺人から物語が始まり、小川さん、真鍋くん、そして永田さんのやりとりと共に進み…。
    いつもの人たちのいつものような会話に安心する。
    今作のキーワードは河童、そして一葉。樋口一葉でもあり、資産家夫妻の孫である一葉さんであり、一葉さんにとっての曽祖母である百目一葉であり…。

    女性は若さを売り物にする、若くなければ何者かになれない、というような部分は胸にぐさっときました。
    私も小川さんに近い年齢なので…。
    一番親近感が湧くのは小川さん。ちょっとせっかちで、うっかりものなところも自分に似ていて…。笑
    だから、小川さんには幸せになってほしい。死にたくならないでほしい。

    いつの間にか、森博嗣さんの小説でもスマホらしきものが出てきていて、「すべてはFになる」から読んでいると、時の流れを感じる。


  • Xシリーズ4弾。真鍋の芸大の同級生永田絵里子が登場。百目鬼家を巡る殺人事件。孫君坂一葉の鬱的な話。作家としてうまくいかない、先祖の女流作家百目一葉の話。祖父の百目鬼は養子であり先祖との血縁がなく、自分が誰か分からなくなり事実を無にするために家族を殺す。森博嗣っぽい話。百目鬼家にあった絵で儲けた椙田と各務アキラも出てくる。新キャラの永田は天真爛漫な感じで真鍋とのやり取りもなかなか面白い。
    椙田から永田に対して、秘密を共有しているという感覚を味わわせることで自分も仲間になれたと感じやる気を出せるというテクニック。人を使うときには重要らしい。

  • Xシリーズの文庫は、帯が太めで、紙がざらりとした質感で好きです。本編を読む前に、表紙の絵と、帯の質感を楽しんで、それから中に入っている栞の詩を読むのが好きです。SMシリーズからずっとそうしてきているので、森先生の講談社文庫の小説を読むときの、一種の儀式のようにも思ったりします。

    Xシリーズの1巻目を読んだときは、えらくあっさりしているな、いやSMシリーズもVシリーズもあっさりしていたけれど、と思ったものでしたが、だんだんと色が変わってきました。タマムシ色というか、ある角度から見ると驚くほど透明で、またある角度から見ると濁っているように思うほど濃厚で、毎回それを体験しては、ううむさすが!と唸っています。

    猫目トーチカさんが解説の部分でもおっしゃっていますが、これまで森先生が培ってきた読者との「信頼関係」をあますところなく使っていて、特にエピローグの会話は鳥肌ものです。たぶんXシリーズから入るひとにも理解できるような造りにはなっていると思うのですが、SM・Vシリーズを体験してきていると、まるで走馬灯のように、つまり自分自身が経験してきたように、あああのときの事件の、あのときの彼の行動はつまり…と、ふいに過去の体験が現実に繋がって意味をなす瞬間を感じます。

    どかんと突き飛ばされるような衝撃ではなくて、どちらかといえば、あと数時間遅れてこの場所に来ていたら、私も事故に巻き込まれていたのかも…とうすら寒くなるような、そんな衝撃がじわじわと心を侵食するのが、恐ろしくもあり楽しくもあり。

  • 『常軌を逸した短絡的な判断だが、自分の命よりも大切なものを守ろうとした。』

    Xシリーズ第4弾。タイトルからエピローグまで、首尾一貫してリーズニングの連鎖で描写されている。森作品の大部分は、ファクトベースで話を展開してこの辺りの解釈をオープンにする傾向が強いため中々新鮮。

    「血」というコンディションは、「性」というそれと、非常に類似した性質を有する。いずれも「命」とともに授かるものであり、「生」に多大なる影響を与えうる。これらが「命」よりも大事なものになってしまったとき、できることは「生命」を断ち切ることだけ。なんとも皮肉な話である。

  • 面白かった。
    探偵役としては頼りないけど、小川さんは今までに読んだシリーズの中で一番魅力的な人物だな、、、。

  • 第4弾
    もう何度目の読了か。 何回読んでもラストが切ない。 いつも、そんなことで?と思うこともあるけれど、 それがその人にはとても大きなことなのだと、結局思ってしまう。 何回も読んでいるから泣かないようになったけど。 そしてやはりあまり好きになれないキャラはずっと変わらないのだ。

  • 小説として面白いという評価はあまり無さそうだけど、久々に読んだXシリーズでは、この本が一番好きだなと思った。
    ジェンダーの話も森作品でズバリ触れられるのは、やや珍しい。あ、森作品では、ジェンダ、ですが。

    この本が好きだなと思えたのは、小川さんが周りの人たちを観察して、好意的に評して、自身のことも、明るい諦めの境地で言及している様子に好感がもてたから。
    武道をはじめたキッカケは萌絵なのかな?
    小川さんが亡くした、大切な人って誰なんだろう。私が既読分を全部忘れてるだけかもしれないけど、この先が楽しみだな。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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