ムカシ×ムカシ REMINISCENCE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936040

感想・レビュー・書評

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  • 220521*読了
    XシリーズはGシリーズとは違い、あの人の気配をそこまで感じない。
    殺人は起こっているのだけれど、平和的というか…。

    今回は資産家の夫妻の殺人から物語が始まり、小川さん、真鍋くん、そして永田さんのやりとりと共に進み…。
    いつもの人たちのいつものような会話に安心する。
    今作のキーワードは河童、そして一葉。樋口一葉でもあり、資産家夫妻の孫である一葉さんであり、一葉さんにとっての曽祖母である百目一葉であり…。

    女性は若さを売り物にする、若くなければ何者かになれない、というような部分は胸にぐさっときました。
    私も小川さんに近い年齢なので…。
    一番親近感が湧くのは小川さん。ちょっとせっかちで、うっかりものなところも自分に似ていて…。笑
    だから、小川さんには幸せになってほしい。死にたくならないでほしい。

    いつの間にか、森博嗣さんの小説でもスマホらしきものが出てきていて、「すべてはFになる」から読んでいると、時の流れを感じる。

  • 『常軌を逸した短絡的な判断だが、自分の命よりも大切なものを守ろうとした。』

    Xシリーズ第4弾。タイトルからエピローグまで、首尾一貫してリーズニングの連鎖で描写されている。森作品の大部分は、ファクトベースで話を展開してこの辺りの解釈をオープンにする傾向が強いため中々新鮮。

    「血」というコンディションは、「性」というそれと、非常に類似した性質を有する。いずれも「命」とともに授かるものであり、「生」に多大なる影響を与えうる。これらが「命」よりも大事なものになってしまったとき、できることは「生命」を断ち切ることだけ。なんとも皮肉な話である。

  • 面白かった。
    探偵役としては頼りないけど、小川さんは今までに読んだシリーズの中で一番魅力的な人物だな、、、。

  • 今回は保呂草さん改め椙田さんが仕事をしてたみたいです。


  • そして、好きな音楽は、ずっと同じもので、思い出すシーンも、ただ一つで、その失われた一番大切なものが、今も一番大切だと思っているのだった。もしかしたら、失っていないのではないか、と思えるほどに。
    第4章 人間の夢 より

    Xシリーズのプロローグ的な立ち位置にある短編『ライ麦畑で増幅して』の存在感がひしひしと感じたシリーズ4作目でした。楽しく読了。
    本シリーズ、レトロやノスタルジィ、リアリティをテーマに掲げられているようですが、椙田を除くレギュラのメンバが比較的(他シリーズと比べて)一般人が多いのが珍しいなと今さら思いました。また、話として、というよりかはこういう文章を書ける作家だったのだな、とも。

    2010年代前半に書かれているものですが、ジェンダの話題もちらりと出ていて、固有名詞も思いの外多かった気がします。S&M,V,G,よりも自由に書かれている気がしました。ブログか何かでXシリーズの登場人物は今後どうなるかが決まっていないからX2もあるかも、と言っていたことがあったので(結局WWが始まりました)、未確定故の自由さが垣間見えます。

    本作の引用分は『樋口一葉集』より。小説以外にも評価が高いと言われている日記も収録されているみたいなので、河童の日記はここから取ったのでしょうか。樋口一葉、芥川(短編に河童があります)、からの井戸、河童、日記と、見切り発車感は否めないですけれど、良質で美しい文章が多かった気がします。
    解説では猫目トーチカさん。ワンシーン、コミカライズされていましたが、真鍋って眼鏡だったんですかね。

  • 2018/5/8読了。シリーズものの1冊としてではなく、純粋に面白い。トリック等のミステリーとしての要素ではなく、登場人物の感情の揺らぎ、人間模様の表現が秀逸。

  • 森博嗣ミステリイ、Xシリーズ。探偵が「どーん」と解決みたいな派手さはないけど、小川さん、永田さん、真鍋君のやりとりが面白い。
    犯行の動機や、表紙の意味など、感慨深いところも多い。面白かったっす。

  • 東京近郊に広大な敷地を持つ旧家・百目鬼家の屋敷内で老夫婦が刺殺される事件が起きる。老夫婦の遺の整理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの面々は新たな事件に遭遇する。Xシリーズ第4作。

    SYアート&リサーチに新たなメンバーが入り、少しにぎやかになります。森博嗣作品は刊行順に読むと、登場人物の関係や動きがわかりやすくなります。

  • 再読。Xシリーズ4作品目。お金持ちのお屋敷で起こった殺人事件……ではなく、そこの遺産整理をする小川さん達。近作の「歌の終わりは海」に少し似ているように感じた。以前読んだ時よりしんみり。再読っていいもんだな。

  • 森博嗣Xシリーズ第4弾

    樋口一葉と河童の関係がどうもよくわからないが、ストーリーは面白かった。今回は、前3作と少し展開が違っているのが印象的で、椙田の出番がかなり多かったと感じた。今回のメインの登場人物である一葉が、小川と同じような年齢で、親近感を持っていたためか、小川の心理描写が多く、なかなか胸にグッとくるものがあった。
    真鍋と同級生の永田とのやりとりも面白い。やはりこのシリーズもミステリーというより、物語中の人間模様が魅力的なのではないだろうか。真鍋くんと永田さん、いい雰囲気。真鍋くんの、早とちりして恥をかくのはちょっと、という気持ちに共感する。
    この事件の結末は結構意外に思ったが、椙田はわかっていたのだろうか。最後はやはり、以前のシリーズを読んでいると、おまけの楽しみが付いてくるといったかんじだろうか。
    解説が漫画家の猫目トーチカさんで、漫画の入った解説というのはちょっと新鮮だった。この人の真鍋くんと永田さんはこういうイメージなのか。

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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