スペードの3 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936132

感想・レビュー・書評

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  • 人間の"浅ましさ"が絶妙に描かれた作品。

    私小さい頃1番最後に線香花火やりたくて、最後まで隠し持ってる子供だったなあ。

  • 秀作。
    誰もが思う10代から20代の悩み。感受性が高すぎる。
    朝井リョウさんの真骨頂。よく小さい頃ことを覚えていると感心する。

  • 面白かった。女性間関係を描いた書籍はホラーやミステリーが多いけど、これはからくり小説や処方箋として良い。人間関係にお困りの女性に。そして小説家養成学校の学生講師におすすめ。次回の朝活の教材に。/本来読んでたらわかることだけど、一夜明けて「あれ?じゃああの記事は‥はっ!?」ってなった(遅効性の醍醐味)。読み返すと帯の「それぞれ革命の時を伺う」とあるのが違った意味で良い。大貧民最強の2もそれ以外最強のAも何かに気づけないと幸せになれないんですね。憧れと嫉妬、そして配られたカードと自分の話でした。

  • 何かの中心になりたいし、何かに固執して無駄に執着してしまう。俺も18ぐらいまで地球人の主人公だと思ってた。

  • こんな感情あったなぁと3人の女性それぞれに少しずつ共感するところがあり、自分の醜い部分を改めて思い出した気がした。

  • 朝井リョウさんの女子視点の話は女の私よりも女子のドロドロとした感情を良く捉えて描写されていると思う。今回の話もよかった。
    今回は3つの連作短編集。
    ・スペードの3
    学級委員、ファンクラブのリーダー。集団を率いて、時に人の嫌がることを率先してやることにより自分は集団を動かせるほどのすごい人間だと思い込みたい女の感情が露になっている。終始仲良くしていた子達を「取り巻き」と呼んでいたのが印象深かった。美千代にとってはあの子たちは自分を持ち上げる人間A、人間B程度のものだと思っているのだろう。最終的に、呼び名を上司に伝えることで、プライドを捨てきれないけれどそれでも1歩踏み出した美千代。終わり方がいいと思った。

    ・ハートの2
    中学時代のむつ美の話。弟を助けるためという大義名分を得ることによりようやく思い切り進みたい道へと進めたむつ美。愛季と再会した時の「神様はいる。むつ美はそう思う。神様はこうして、たまに、忘れられないようにしてくれる。自分が生きていくべき場所を、勘違いさせないようにしてくれる」という文が好きだ。くれるを使うことにより、むつ美が世界の在り方、視点をどうしようもなく冷静に見ていて、自分は愛季のようなキラキラとした女の子にはなれないしなってはいけないということに自覚的なことが伝わってくる。

    ・ダイヤのエース
    つかさ様の話。果たして、むつ美が思った通り、つかさはむつ美に似ていた。同期の、人々に憐れみを誘う物語を背景にゆらめかせる円に、嫉妬を抱かせていた。確かに順風満帆な人よりも、悲劇的な背景をもつ人物の方が世間では評判をうみやすい。安易な不幸話はその人を見る目に物語を育ませることはよく共感出来たので、ずるいというつかさの気持ちには何度も頷いた。ずるいことを自覚していることが1番ずるいと思うのもよく分かる。ただの不幸な女の子なのではなく、不幸で、だけどそれに甘えることなく確かな実力と努力をも併せ持つ円は本当にずるい。全体的に特に共感する部分が多い話だった。

  • 劣等感で自分をゴリゴリ削って自分が被害者であることで悲劇のヒロインぶっても何も変わらないから、自分で変えろ、自分で動け、自分の人生を周りの人に譲るな、というメッセージを受け取った。私も小さなことでいいから、変化、進化し続けていきたいと思った。

  • 誰しも誰かに認められたくて
    生きているのかもしれないと感じました。
    こう思われたいという理想があって、
    その理想と現実のギャップに
    時に苦しみ、悩み、
    周りの人を妬んだりするのだと思いました。

    完璧になんてなれない。
    完璧になろうとしなくていい。
    少しずつ成長していこうと思える作品でした。

  • 読後、「もう読み返すことはないだろうな」と思った。この物語たちを100%フィクションとして楽しめる、愛季や円側の人もいるのだろう。けれど、わたしにはできなかった。とっくに割り切ったと思っていた「あのこには勝てない」という気持ちが、劣等感が、胸のなかでどこまでも膨らんでいく。

    それでも、いま自分が持っている手札で戦って生きていくしかないのだと、覚悟を決めようと思える作品だった。

  • 正確に書くと星3.8。
    連作短編集なので繋がりがあり、その視点で書くんだ!というのもあった。
    一つ目の話は伏線が途中で完全に分かったのでその驚きはなかったが、それでも面白く読めた。
    だんだん朝井さんの書き方というものが見えてきた。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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