きなりの雲 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936200

作品紹介・あらすじ

大切な恋を失い、生きる気力さえなくしていたさみこ。ある時、アボカドの種の水栽培を始める。白い根が伸び、葉が出て……ここから、彼女の“蘇生の物語”が始まる。古びたアパートの個性的な住人たちや編み物教室の仲間たちとの交流。そして、仕事の編み物にうち込んでいくうちに、彼女の心の中に光が射し込み始める。静謐で美しい文章が、日常の中のかけがえのないものを描き出す。著者初の長編小説。第146回芥川賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • これからどうなるかはわからない。
    でもたぶんやっていける。
    ひとりではない。

  • 「大切な恋を失い、生きる気力さえなくしていたさみこ。ある時、アボカドの種の水栽培を始める。白い根が伸び、葉が出て……ここから、彼女の“蘇生の物語”が始まる。古びたアパートの個性的な住人たちや編み物教室の仲間たちとの交流。そして、仕事の編み物にうち込んでいくうちに、彼女の心の中に光が射し込み始める。静謐で美しい文章が、日常の中のかけがえのないものを描き出す。著者初の長編小説。第146回芥川賞候補作。」

    「作者が紡ぐきれいな言葉の中からあふれる音、移り行く季節の美しい風景、淡くて素敵な人間関係、ちょっとした会話の優しさ、この物語に詰まっているさみ子が過ごした半年間を全てお伝えしたい。」
    (『小泉今日子書評集』の紹介より)

  • じんわりじんわりしみてくるお話でした。編み物を久しぶりにしたくなりました。糸えらびにいくことがシンプルに楽しみです。

  • 登場する人物が多い割に一人一人に対しての心理描写が少なく一体誰に感情を傾ければ良いのか分からなかった。状況的背景としての表現は、やはり石田千さんだと感心。エッセイの様に鮮明だが、小説としては少し物足りないというか全体的にボヤけた文章だった気がする。

  • じろうくんとの仲はどうなるの、
    じろうくんの店は繁盛するの、
    玲子さんたち夫婦はどうなるの、と「〜はどうなるの」づくしの最後ですが、同時に「きっとこうなったんだろうな」と思い、「そうだよ!」とキャラたちが一緒に笑ってくれている気がします。

    ひとりひとり、考えがあって、変わっていく。それは何一つ当たり前ではなくて、今日この瞬間にも変わっていくかもしれない。期待した通りに日々が進まないこともある。
    それでも、ひとはひとと繋がって生きている。
    そう教えてもらったような小説でした。素敵な作品でした。

  • 失恋で生きる気力を失った主人公が徐々に癒されていくストーリー。アパートの住人の松本さんと、手芸教室の生徒のちさちゃんが大好き

  • 《再読本》失恋して生きる気力を無くした女性が、水耕栽培していたアボカドの種から根っこと芽が出たのをきっかけに、徐々に日常を取り戻して行くお話。物語の中に出てくるご飯が美味しそうだった。
    日常の中に小さな喜びを見つけたり、大事なこと、大切なことに気づいたりしていけるのって良いなぁ。

  • 出てくる人たちの言葉ひとつひとつが染み渡るような、
    暖かい小説でした

  • 主人公は、編み物を生業としている。
    そこにとても共感を持った。
    自分より年上の生徒に「先生」と呼ばれると、シャキッとするなんていうのも、頷きながら読んだ。
    勿論、編み物の話だけではない。
    恋人に振られた主人公が、落ち込み、悩み、成長していく様子も描かれている。
    時間が、人の成長を、人と人との関係性を育んでくれるのだろう。
    これといった事件が起きるわけではない平凡な日常が、丁寧に描かれている。
    編み物をする人は、きなりが好きな人がきっと多いんだろうな。
    私も、楽しいことだけ考えながら、編み物をしたい。

  • まったく筋とは関係がないアボカドの成長と共に進む物語。
    何かと何かを重ね、リンクさせて物語が進んでいく作品は多いけれど、ここまで自然で邪魔にならないのは初めてかもしれない。
    そこに気持ち良さを感じた。

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著者プロフィール

石田千(いしだ・せん)
福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。「あめりかむら」、「きなりの雲」、「家へ」の各作品で、芥川賞候補。16年、『家へ』(講談社)にて第3回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。16年より東海大学文学部文芸創作学科教授。著書に『月と菓子パン』(新潮文庫)、『唄めぐり』(新潮社)、『ヲトメノイノリ』(筑摩書房)、『屋上がえり』(ちくま文庫)、『バスを待って』(小学館文庫)、『夜明けのラジオ』(講談社)、『からだとはなす、ことばとおどる』(白水社)、『窓辺のこと』(港の人)他多数があり、牧野伊三夫氏との共著に『月金帳』(港の人)がある。

「2022年 『箸もてば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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