五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936231

作品紹介・あらすじ

メフィスト賞受賞シリーズ第三弾!

有り得ぬ館と哲学者の遺言とが惨劇を呼ぶ。
本格、館、密室殺人、秘された過去。メフィスト賞の香り、最高潮!
全編加筆改稿、「文庫版あとがき」追加!
解説では青柳碧人(『浜村渚の計算ノート』)が周木律とシリーズを見事に読み解く。

放浪の数学者、十和田只人は美しき天才、善知鳥神に導かれ第三の館へ。そこで見せられたものは起きたばかりの事件の映像――それは五覚堂に閉じ込められた哲学者、志田幾郎の一族と警察庁キャリア、宮司司の妹、百合子を襲う連続密室殺人だった。「既に起きた」事件に十和田はどう挑むのか。館&理系ミステリ第三弾!

感想・レビュー・書評

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  • 五角形の館で繰り広げられる密室殺人、トリックが凄すぎる。十和田只人のトンデモ館 堂シリーズ第3弾。

    シンプルかつ綺麗にせ入れされた構成、よくまとまっている本格ミステリーです。特に今回の館トリックはトンデモすぎでしょ、わかんねーよっ まあそこが最高なんですけどね。

    ただ折角良いトリックも、深みや繋がりがなくてどうも重厚感が得られないんすよね… そのあたりが少し残念です。

    ただ本シリーズは数学者たちのキャラクターは強烈で素晴らしい! 今後どうなっていくか楽しみです。館モノが好きな本格ミステリー好きにはおすすめの一冊です。

  • 思わせ振りな終わりかたで、直ぐに続きを手に取らずにはいられない。
    本格的に物語が動きはじめた感じがする。宮司兄妹、なかなか曲者の毒島。登場人物も個性派が揃いはじめてどんどん面白くなってきてる。
    館物は、クラシックで正統派ミステリーのイメージが強かったけれど、この「堂」シリーズは正統派なところを残しながらも個人的にはとても前衛的なものと感じられる。

  • ちょっと実生活でものすごーーーーく色々あったので、読んでから感想書くまでに間が空いてしまいました…。
    (ちなみに本当にまさかの出来事でした。みんな!健診で引っかかったらすぐ病院に再検査に行こうね!!!)

    読むたびになんだか洗練されていくのがわかるような、そんな作りです。
    てか、どんどんと数学蘊蓄少なくなってる?笑
    苦手な私としては心のドアが少しずつ開きつつあるんだけど。笑

    今回は妹ちゃんがメイン(パートもある)。
    妹ちゃん、探偵素質バリバリですねーー!!
    こりゃ将来が楽しみ!(どの目線)

    トリックはえ!!!っていうようなものでありましたが、眼球堂ほどツッコミどころがなくきれいでございました。


    最近全然読めてないけど、少しずつ少しずつまた読書を再開していけたらと思います。




    @手持ち本

  • ○ 総合評価
     シリーズ第3弾。前作,双孔堂の殺人に出てきた警視庁警視正の宮司司と,その妹の宮司百合子が再登場。百合子は,同じゼミの志田悟と一緒に,志田悟の相続に立ち会うために,沼四郎が設計したという「五覚堂」に行く。
     同じ頃,十和田只人は,善知鳥神に呼ばれ,五覚堂で起こった惨劇の映像を見せられる。善知鳥神は途中で去り,最後は宮司司と十和田只人が事件を解決する。
     非常に凝った仕掛けがされた本格ミステリである。
     まず,仕掛けられたトリックとして五覚堂が全部で5つ存在するというものがある。善知に呼ばれた十和田が映像を見ていた五覚堂以外にも4つの五覚堂が存在する。十和田が見ていた映像は,十和田がいた五覚堂で過去に起こっていた映像ではなく,別の五覚堂でリアルタイムに行われている惨劇だった。
     次に叙述トリック。志田悟は盲目だった。志田悟が盲目であるということは,はっきりと書かれていない。最後に,犯人を絞る条件として,志田悟が盲目なので連続殺人を実行できないとして消去される。分かってみれば伏線はあり,そもそも百合子が悟の付添人として五覚堂に来たのは志田悟が盲目であったから。他にも改めて見ると志田悟が盲目だと分かる描写,伏線が仕掛けられている。
     しかし,志田悟が盲目であったという叙述トリックが作品の中であまり効果的に生かされていないのが難点。読者を驚かしたいのは分かるが,消去法で犯人でないと推理する決め手にはなっているものの,作品の中でやや浮いている。というより,いろいろな要素を詰め込み過ぎているために,この叙述トリックが,効果的に生かされていない。
     志田正胤と志田万里殺しの密室トリック。これは氷を利用した古典的なもの。凍らせたスポンジを利用した密室トリックとなっている。氷を解かすための仕掛けとして,殺人があった部屋に日光の光が集まる仕掛けになっている。五覚堂が回転するのもそれを効果的なものにしているという仕掛け。これも大掛かりなトリックではあるが,氷か…。密室トリックの物理トリックとしてはあまりにも古典的。これがメイントリックというのはちょっと残念。
     二つ目の殺人,志田胤次,志田大人,志田三胤殺しの密室トリックは,壁の隙間を五覚堂を回転させることで大きくして入るというもの。このトリックで大柄な二人を容疑者から外すという消去法にも利用している。これは密室トリックとしては斬新ではある。とはいえバカミスチックでもある。そもそも,館が回転するという仕掛けそのものが,ややバカミスチックでもあるのだが。
     犯人は,辻弁護士。そもそもミスディレクションになる人物がいないため,意外性はそれほどでもない。手がかりとしてバンドエイドをキズバンと言っていることは仕掛けてとしてもチープだし,簡単に見抜ける。携帯電話を預かっていたことが,明かりとして利用しているという傍証になっているのは少し面白い。小山内亜美がライターが無くてたばこを吸えなかったというところが伏線になっているところも面白い。
     総じてみてどうだろう。周木律らしい作品だと思う。堂が回転するという仕掛けを利用した大掛かりでバカミスチックなトリックと小技の組合せ。その上で,意外性
    ある犯人を出そうとしているが,ミスディレクションが上手くないので意外性がそれほどない。伏線は結構あからさまでこれも上手いまで言えず。
     要はトリックは結構面白いが上手くいかせていない。小説が下手なのである。面白いかというとそれほどでもなく…総合評価は★3で。

    ○ サプライズ ★★★☆☆
     志田悟が盲目であったという叙述トリックと,辻弁護士が犯人であるという意外な犯人。この2つはもっと小説が上手ければ,より意外性が高い仕上げにできたと思う。小説がさほど上手くないために,そこまで驚けず。★3止まり
     
    ○ 熱中度 ★★☆☆☆
     冗長。五覚堂内のシーン,十和田と善知鳥の二人のシーン,宮司司のシーンの3つが交互に描かれるのも没入館を削ぐ。小説が上手ければもっと引き込まれると思うだが,そこまで熱中できない。

    ○ インパクト ★★☆☆☆
     志田悟が盲目であるという叙述トリック,館が動いてコンクリートの壁のひずみが広がり,そこから密室に入るというトリックなど,それなりにインパクトがある仕掛けてがあるはずなのに,印象に残らない。見せ方が下手だからだと思う。

    ○ キャラクター ★★☆☆☆
     十和田忠人はそれなりに面白いキャラクター。しかし,善知鳥神や,宮司司,宮司百合子はさっぱり魅力的でない。個性が見えてこない。そのほかの人物は犯人も含めてさっぱり描けていない。このキャラクターの薄さがインパクトの無さや熱中度の低さにつながっているように感じる。

    ○ 読後感 ★★★☆☆
     次につながるという終わり方。いよいよシリーズ全体の黒幕である藤衛が死刑判決を受けた裁判の再審を行い,無罪を勝ち取って出所するという。よって,この作品そのものには読後感というものは感じない。まだ途中という印象

  • 最高!!!!!
    自己相似性(フラクタル)
    数学と芸術を重ねたような作品が次々と出てきてめっちゃ面白い
    後半は一気読み必須
    『眼球堂の殺人』同様に、最後の怒涛の追い上げが最高
    続きが早く読みたくなる。

  • 堂シリーズの3作目。
    私は一番面白く読めました。
    次回以降を強く読みたいと思いました。

  • びっくりするほど読み易かった。

    十和田が現場にいないだけで、こんなにあっさりするものかと。

    前二作で身構えて突入しただけに、肩透かしをくらった気分。

    そうか、自分はもうあの全く理解できない数学の世界で繰り広げられる『沼地獄』に嵌ってしまってしまっていたのだな。

    今までの現実離れした建造物だからこそできるトリックと比べると、今作のトリックはみみっちく感じてしまったけど、相関図が出来上がってきた点では面白みが広がった。

    どこまで広がるのか次の段階への関門。この関門を抜けるか、引き返すか、悩みどころではある。

  • ■有り得ぬ館と哲学者の遺言とが惨劇を呼ぶ。

    放浪の数学者、十和田只人は美しき天才、善知鳥神に導かれ第三の館へ。そこで見せられたものは起きたばかりの事件の映像――それは五覚堂に閉じ込められた哲学者、志田幾郎の一族と警察庁キャリア、宮司司の妹、百合子を襲う連続密室殺人だった。「既に起きた」事件に十和田はどう挑むのか。館&理系ミステリ第三弾!

  • 堂シリーズ第三弾。
    やはり理系ミステリー、数学は面白い。普段謎解きすることなく結果・結論を楽しむ派の私にも、この五覚堂の謎は読んでいる間に解け、それが十和田の解答と当て嵌っている度に嬉しいものだった。
    第三弾にして、大分人物相関図が定まってきたように感じるこの堂シリーズ。
    中でも天才、善知鳥神の存在は巻を積む毎に不気味さと謎目気を増している。

  • 放浪の数学者は天才数学者に招かれ山中の五覚堂へ。 そこで見せられたのは五覚堂で行われた殺人の記録。 すでに起きた事件に対して十和田が示す解とは・・・

    数学×理数×ミステリ。 今回は色々と解説もついてマイルドな出来ですね。 探偵役が直接現場に会さないタイプのミステリということである単純な事柄が隠蔽されていますがそれは読んでからのお楽しみということで。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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