- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062936590
作品紹介・あらすじ
独特の色気を湛えた商品で人気を博し、ロンドンに店を構える靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。それは幽霊の靴なのか? 十三年前の父の死に不審を抱く若き靴職人の知略が、斎藤のどす黒い野心の前に立ちはだかる。人間の深淵を描く異色ダークミステリー!
感想・レビュー・書評
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シューメーカー、靴を作る職人、という知らない世界を見せてくれるという意味では、非常に丁寧で面白い作品だった。
ロンドンに店を構える、人気の靴職人斎藤。
そんな斎藤に挑むのは、日本で靴の修理をしながら細々と靴作りをする若者の智哉。
前半の、隙がなく清濁併せのみながらのし上がっていく感じの斎藤が、後半はどんどん変化していく。
靴作りの大切さとして挙げられた「痛みと快適さ」をはじめとして、「写実と創造」「野心と礼節」など正反対と思われることが、実は同一線上にあったり、入れ替わったりが面白い。
職人、ビジネス、ミステリー、色々な味付けの、やはりハードボイルド小説という印象でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
野心vs復讐。狭い世界の物語にも係らず大きなスケール。長い歴史と伝統、そして職人の飽くなき情熱がそう感じさせるのだろう。靴作りのノウハウ、日本人と英国人の考え方の違いなどとても興味深い。何よりも才長けた二人の男の執念に胸が躍る。そしてどんでん返しのラスト。人としての道を誤ることと職人の魂を奪い尊厳を汚すこと、どちらが罪深いことなのだろう。僕は結末に憤りを覚えたが他の人はどう感じるのだろうか。複雑で大人のミステリといった雰囲気。傑作です。ぜひ読んでみてほしい。
あらすじ(背表紙より)
独特の色気を湛えた商品で人気を博し、ロンドンに店を構える靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。それは幽霊の靴なのか?十三年前の父の死に、不審を抱く若き靴職人の知略が、斎藤のどす黒い野心の前に立ちはだかる。人間の深淵を描く、異色ダークミステリー! -
ロンドンに高級な靴店を構える靴職人、斉藤良一の元に、
ある日、不気味な靴の修理の依頼が舞い込む。
その靴は、13年前のある出来事を思い出させる靴で、
良一はその靴を見るなり、驚愕し,
恐怖を覚えたのだった。
高級なオーダーメイドの靴職人のこだわりや、
靴についての様々な事が書かれていて、
知らない世界を垣間見れる。
一足、40万、50万のオーダーメイドの靴を作る靴職人たちには、
こだわりがあって当然なのだが、
それにしても、大変そうな仕事だと思った、
そんな靴業界での、ミステリーだけど、
靴について、いろいろ知ることができるのも面白い。 -
前半は洒落た雰囲気の中にも野心を持つ主人公が魅力的に描かれており、面白かった。後半は、前半に描かれている主人公の姿からすると迂闊過ぎで、結末も綺麗にまとめ過ぎという感じ。
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「欲」か「智」か?
ミステリーの概念を変える逆転劇 独特の色気を湛えた商品で人気を博す靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。若き靴職人の知略が、斎藤の野心に立ちはだかる。人間の深淵を描くダークミステリー!