光二郎分解日記 相棒は浪人生 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936750

作品紹介・あらすじ

「加速する面白さ! 読者は皆、光二郎が好きになる」
――相原透(解説より)

二宮光二郎七十五歳、元理科教師で趣味は分解。大抵の故障はすぐ直す。ただし最近頭の調子がイマイチで、家族はちょっと困ってる。そんな俺のじいちゃんが、芝刈り中の老人を刺したって!? クセありじじばばも巻き込み、浪人生活まっさかりのかけるは、真犯人を捜せるのか。「二人で一人」の迷探偵が大活躍!

感想・レビュー・書評

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  • 二宮光二郎(75)は、元理科教師で趣味は分解。最近少し記憶があやしい。そんな光二郎が、草刈り中の老人を刺したという話家族のもとに飛び込んできた。冤罪を晴らすため、孫であり浪人生のかけるは家族と、周囲のじいさんばあさんも巻き込んで光二郎と奔走する。

    大山さんのお話は、どれもキャラクターが魅力的です。
    この本の主人公の光二郎とかけるもそうですが、世間ずれしていなくて、皆どこか生き辛そうに見えるのに、不思議とするすると世の中を渡っていて、優しく希望があって。読んでいるほうまで優しい気持ちになれます。
    光二郎は自分の興味に正直で奇矯なふるまいをする自由人ですし、かけるはいまいち覇気のないふわふわした浪人生ですし、その他の登場人物もそれぞれ欠点もあるのですが、根本はみんな善人なんだろうなと思え、突出した悪がいないのが癒されます。
    私はかけるの母(光二郎の息子の嫁)の雪絵が好きでした。おおらかで素敵なお母さんです。

    キャラクターの話ばかりになってしまいましたが、ストーリーもパズルのピースがすっきりはまったようにあるべき所に収まって気持ちがいいです。
    序盤はスローペースでしたが、終盤にかけて、絡まったひもが解けていくような爽快感が魅力的でした。

    祖父と孫のコンビのミステリはこんなのも。安楽椅子探偵ものです。
    →『交換殺人はいかが?』(光文社文庫)/深木章子

  • 理科や数学の先生で、良い意味で変った人を何人か思い出す。
    頭の中に独特の回路を持っているのだろう。

    二宮光二郎・75歳は、元中学校の理科の先生で、なんでも分解して直してしまう。
    無口だが、たまにしゃべると何言ってるのか解らないし、突然猛ダッシュしたりする。
    行動は奇矯だが、一本筋の通った人間で、そしてとても優しい。
    いいなあ、好きだなあ、大山さんの描く、こういう“変わり者”キャラ。

    いろいろ秘密を抱えている、シルバー人材センターの老人たちも個性的。
    “老人の勝ち組”って、あまり考えたことがなかったが、自分は負け組みだと思う人からは、勝ち組はまぶしく見えるのだろう。
    当たり前に受け取っている時には気づかないことがある。
    光二郎も、何か思うところあったのだろう。
    新しい旅立ちを応援したい。

    おじいちゃんやおばあちゃん、プラス、浪人生の男の子の孫って、とってもいい取り合わせ!
    しかし、相棒…って言うほど役にたっていたか、かけるよ!もっと頑張れ!(笑)
    嫁の雪絵さんや、杉波署の警察官たちも良かったです!
    続編が出ているので、早く読みたい。

  • 憎めないけど自己中の分解おじいちゃんももちろん魅力的やけど、私はお母さんが好きやなぁ。
    こんな太陽みたいなお母さんがおるから、孫はおじいちゃんを慕うし、あったかい家族になるんやろうな。

  • 大山さん好きの友人が貸してくれた1冊。
    読み易いのでなんとなく読んでいるうちに読み終わった感じ!笑
    頼りなげなかける君はなんとなく「イーヨくんの結婚生活」のイーヨくんを連想させる。
    でも内容は「イーヨくんの結婚生活」の方が好きだったなぁ。

  • 主人公の光二郎老人の行動がなかなか掴めなくて、前半はどうにも乗り切れなかった。行動は読めないし、何言ってるかわからないしね。中盤以降は面白かったな。

  • 元中学校の理科教師で、最近記憶や言動がちょっとあやしい二宮光二郎75歳。気が付いたら公園で血の付いたカマを持っていた。冤罪をはらすため、浪人生の孫・かけると奔走する。登場人物が個性的で楽しいシリーズです。
    (YA担当/なこ)令和4年5月の特集「探偵小説を読もう!」

  • とにかく、自分の興味のまま動く光二郎じい。
    そのぶれない姿勢に、周囲も光二郎を受け入れている。

    光二郎が理科の先生ということで、若干のガリレオ風味もありながら、巨悪や凶悪犯がでてこない、普通の町で起きた事件から、事情や心情を考慮しない(ようにみえる)光二郎によって、関わる普通の人の事情と心情が明らかになる。

    光二郎は、このどうなる?次が気になる。
    光二郎を追い出した形になった、五七五口調が混じる雪江の今後の行動も気になる。

  • ミステリーの部分より登場人物のキャラクターに惹かれて読んでしまったって感じです。みんなのその後が気にかかるので次巻も読みます。

  • 光二郎が物静かなのに破天荒で愛らしい。
    故障しているのを自覚していて、苦しく思っていたりもするのに、自分を磨いて光らせようとするのを止めない。素敵な人だなと思います。

  • 七十五歳で、元理科教師の二宮光二郎。趣味は分解。
    近頃、短期記憶があやしくなってきており、本人もそれを自覚している。
    そんな光二郎が、傷害事件の容疑者に…。

    人の優しい目線があふれている。
    年のせいか、やさしさに触れると、すぐにウルウルしてしまう。

    人、生きものは究極の孤独な存在だ。
    「ワタシ」は「アナタ」に、「アナタ」は「ワタシ」になれない。
    「ワタシ」の中に誰かが入り込んで、「ワタシ」の思考を読み取ってくれたとしても、
    「アナタ」の思考にはならない。

    そんな、限界のない孤独の中にいる生き物たち。

    昔、「ウサギは寂しいと死ぬ」という話があった。
    これは、間違いなのだそうだ。でも、人は寂しすぎると死ぬ、と思う。

    孤独の中で生き延びていくには、その孤独を受け入れる強さを持つか、
    少しでも、人とつながって、そのやさしさに触れて、孤独を薄めていくしかないと思うのだ。

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著者プロフィール

東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。2011年、『猫弁~死体の身代金~』にて第三回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー、TBSでドラマ化もされた。著書に『赤い靴』、『通夜女』などがあり、「猫弁」「あずかりやさん」など発行部数が数十万部を超える人気シリーズを持つ。

「2022年 『犬小屋アットホーム!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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