黄砂の籠城(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936774

作品紹介・あらすじ

1900年の中国。明治維新から30余年。4000人の人質を守る日本人がいた。

これぞ、驚愕の近世秘史! とにかく、面白い。―細谷正充(文芸評論家)
超人気作家、乾坤一擲の歴史エンタテインメント。―東えりか(書評家)

下巻あらすじ)
日本は世界の先陣を切って漢人キリスト教徒を義和団から救出したが、西太后は宣戦布告を決断し、公使館区域からの24時間以内退去を通告する。沿岸部からの援軍も到着せず、20万人の義和団と清国軍の前に4000人の外国人とキリスト教徒の命は風前の灯火となる。誇り高き日本人必読の歴史エンタテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • いやー、面白かった!

    各国の公使館職員やその家族4,000人を20万人の義和団から守るために戦った連合軍兵士たち。

    その中でも規律性、献身性などの特性を発揮してリーダーシップを取った日本軍の活躍が素晴らしいです。

    もちろん物語ですので、事実とは異なりますがスリリングなストーリー展開と読後感が気持ち良い。

    松岡圭佑さんの作品で一番好きです♪
    息子に読ませたい。オススメです!

  • 北京籠城戦にあたって、実質総指揮を担い、多大の功績をのこした日本人がいた― 柴五郎(陸軍砲兵中佐、北京公使館付駐在武官) その人である。 本書『黄砂の籠城』上巻の中盤から下巻の解放に至るまで、壮絶なる殺戮戦が延々と描かれているが、誇り高き日本人の勇姿を、これほどまでに奥ゆかしく語り継いだ松岡圭祐さんの歴史エンタメ・ノベルに感動を覚えた。

  •  下巻は、義和団、清国政府軍と北京の東交民巷(約1キロ四方の外国の公使館などが集まっている地域)に閉じ込められた列強11ヶ国の本格的な戦いを描いています。
     天津からの列強各国の援軍も、北京までの鉄道が義和団に爆破され、なかなか到着できない。東交民巷は、敵に包囲されているため、武器弾薬、食料などの調達もできない。日を追うごとの過酷な状況に、胸が締めつけられる思いを、何度も感じました。人間同士の銃の撃ち合い、刀などでの斬り合い。自分が生き残るために必死で、死者を葬ることもできない。松岡さんの力強く、勢いのある文章で、戦いの悲惨さ、血の匂い、死臭までも感じられます。
     私は、普段は、歴史、戦争ものの本を、あまり読みません。やんわりとした、心が暖かくなるような本が多いです。しかし、たまには、ジャンルの違う本も良いものです。今まで知らなかった、柴五郎中佐という、日本人として誇れる100年以上前の人物のことを知ることができました。
     読み終わった後も、戦争のこと、平和のこと、世の中のこと、いろいろと考えさせられる、インパクトのある本でした。

  • 面白かった
    史実を下書きとしたアクションエンターテイメントストーリ
    義和団事件をベースに実在の人物芝五郎の活躍を描く物語

    いよいよ下巻です。
    義和団は徐々に包囲を狭めてきます。
    そして、日本が先陣を切って、漢人キリスト教徒を救出。
    そんな中、西太后はついに義和団を鎮圧もせず、外国公使館から24時間以内退去を通告。
    いよいよ、戦争状態に陥ります。
    さらには、外国公使館内で行われる暗殺。
    誰がスパイなのか?
    そんな中、建設される巨大砲
    その攻撃力により、いよいよ窮地に陥ります。
    そして、クライマックスへ
    という展開です

    もちろん、エンターテイメントとしてのお決まりの結末ですが、最後まであきらめない姿、日本人としての矜持を感じさせる物語です。

    とっても満足、すっきりです。

    歴史の授業でわずかに覚えている義和団事件の裏に、こんな物語があったと思うと
    とても熱くなります。
    どこまでが史実かはわかりませんが、このエンターテイメントは楽しめました。

    お勧め!

  • 上巻を読んだあとすぐに読みました。
    ほんとにもう最高です!!

    教科書ではサラッと記載されてた義和団事件がこんなにも濃密で、大きな事件だったなんて知りませんでした。だからこそ、小説としてのこしていくことって偉大であり大切なことなんだなと思いました。もちろん脚色とかはしてるでしょうけど、それによって人の記憶に事件が残るのであればオールオッケーです!

    下巻では櫻井伍長がどんどんどんどんカッコ良くなっていく様子が描かれていて、私はとても満足です。元々責任感のある人でしたが、戦争の経験や戦場においての人との関わりによって、あらゆるものを背負う人間となっていった姿がもう感動ものですよ!人のために行動できる、そして自分の愚かさを省みることのできる素質があった櫻井伍長は、私の目標です。まだまだ自分は自分のための行動ばかりでお子ちゃまですが、いつかは人のために行動できる、まっすぐな大人になっていきたいです。

  • 小説としての史実の世界、の一冊。
    援軍も到着せず、どんどん包囲されていく公使館区域。
    武器も食料も足りない、怪我人続出、医師達の謎の連続不審死とミステリアスな部分も盛り込みながら小説として史実に触れられた一気読みの時間だった。
    日本人としてどう戦うのか。柴五郎の冷静な判断、奢ることない姿は軍人故に培われたものなのか、魅了される。
    読後、この時代にこの英雄が存在したことに、やっぱり同じ日本人として誇らしげに思う。
    人だって国だって、理解不能でも相手を受け入れ認め互いに尊重し、協力し合うこと、その大切さをしみじみ感じた。

  • 1900年春、北京の東交民巷で起きた籠城戦(義和団事件)を、史実に基づき描いた物語。

    本書の冒頭は2017年春、商談のため北京を訪れていた櫻井海斗は困難な取引を請け負っていたが、先方の重役であるエリック・チョウ(イギリス人と中国人のハーフ)は何故か好意的で、日本人であるあなたがたと仕事がしたいと言う。更に彼は、まさにその場で起こった義和団事件について語り、櫻井は高祖父である櫻井隆一やその上官である柴五郎が残した功績について知る。

    本編では、義和団の暴徒化から始まり、外国公使館区域である東交民巷に列強11カ国(ベルギー、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、オーストリア=ハンガリー、日本)が義和団や清政府により籠城戦を余儀なくされ、各国同盟千数百人VS義和団およそ二十万という絶望的な闘いを、多くの犠牲者を出しながら援軍が到着するまでの二ヶ月間闘い抜く。
    その中でも、柴五郎中佐や櫻井隆一ら日本人の存在感は大きく、その知性や勇気だけでなく、敵に対しても思いやる仁の心を持ち合わせていた。





    国民性からか、忘れられていた日本人の誇りを取り戻させてくれる一冊。

    この本をきっかけに、知らなかった義和団事件の内容や、柴五郎という偉大な先人について知ることが出来た。

    自慢しない謙虚さも大切だが、日本人なのに世界に誇れる日本の功績があまり知られていないことに疑問を持った。教科書を作り直した方がいいと思う。

    内容では、冒頭に登場した櫻井海斗の物語が、後半にも出てきて過去と繋がる展開を期待したが、義和団事件で終わってしまったのは少し残念だった。

    しかし、籠城戦後半に明かされる裏切り者の存在や、櫻井のライバル的立ち位置にあったロシア兵のラブロフとの共闘、童貞か!とツッコミたくなるような櫻井の硬派な性格など、史実だけでも面白いストーリーがより魅力的に描かれていて、充分楽しめる内容だった。

  • 戦闘の激しさや援軍が来ない不安なんかは、史実に基づいていると分かっていても、あまりに過酷で逆に作り話かと思うぐらいだ。
    作中で日本人の真面目さや規律正しさが欧米人に褒められると、普通のことなのにと思うこともあれば、日本人の行動を大袈裟に描いているんじゃないかと感じることもあって、私の感覚や考え方が当時の日本人と変わらないところもあれば違っているところもあるんだなと思った。
    思いやりとかそういう意味でだけじゃなく冷静に、どんな時代でも自分たちのことばかりでは良いようにはならないと忘れないでいたい。

  • 歴史小説というより冒険小説。

    この小説にも登場する柴五郎中佐、当時は各国から称賛を得たようですが、帝国主義の時代に列国から称賛を得たのであって、清国から見たらどういう評価になるのでしょう。

    なぜ義和団の乱を取り上げたのでしょう。
    最近よく目にする日本人偉い、凄いに乗ったのでしょうか。
    政治家の推薦を腰巻に着ける講談社、どうなんでしょうね。

    • eefuさん
      柴五郎は自分の部下に略奪凌辱を許さず、ツァイターレン(柴大人)と慕われていたと聞きますよ
      柴五郎は自分の部下に略奪凌辱を許さず、ツァイターレン(柴大人)と慕われていたと聞きますよ
      2017/05/26
    • eefuさん
      途中で送ってしまいました
      柴が會津藩出身で戊辰戦争の會津落城の時に、女家族がほぼ全員自刃して果てたこと、斗南に流されたことなどが、その行為...
      途中で送ってしまいました
      柴が會津藩出身で戊辰戦争の會津落城の時に、女家族がほぼ全員自刃して果てたこと、斗南に流されたことなどが、その行為の底辺に流れているのだと思います
      2017/05/26
  • また一つ、歴史上の事件が勉強できました。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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