Aではない君と (講談社文庫)

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著者 : 薬丸岳
  • 講談社 (2017年7月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937146

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Aではない君と (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 薬丸岳『Aではない君と』講談社文庫。

    確かに途中、胸を打たれる展開もあったが、読後は暗澹たる気持ちになった。そういう意味では初めて薬丸岳に裏切られたように思う。決して、面白くなかったのではなく、余りにも終盤の展開が重過ぎて、打ちのめされてしまったのだ。どうして、薬丸岳はこうした難しいテーマを題材にしても真っ向勝負で納得のゆく決着を描けるのだろうか…本当に凄い作家だと思う。

    同級生の殺人容疑で14歳の息子・翼が逮捕される。両親や弁護士の問いにも頑なに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話していた…果たして真実は…

  • 親になり、少年犯罪への見方が変わった。
    前は被害者ばかりに意識がいっていたが、加害者側に回ることもあるのだと、本書を読んで再確認。

    子育てに正解はないと言う。
    そして今子供に接している態度や環境、教育などが
    正しいのか、間違っているのか、答えはすぐには出ない。
    恐ろしい。考えてみると本当に怖い。

    傍観している立場から見れば、『もっとこうすれば良いのに』といとも簡単に答えは出るのに、
    実際に子育てしてみて、何が正しいのか私は良く解っていない。難しい。

    人の命を何故奪ってはいけないのか、これに理屈はいらない気がする。
    どちらの立場になっても、淋しすぎるし辛すぎる。

    あぁ、久々に心をえぐられた作品でした。

  • 重い。非常に重い。雫井さんの望みとは違い、確実に罪を犯してしまった子供の親の心情を丁寧に書いている。息がつまるほど。実に読み応えがあった。
    いじめの加害者、被害者、誰にでもなりそうで、子供との会話は、仕事をしている私としては、自信がなくなってくるなあ。
    最後の方は、母親も登場させて欲しかったなあ。
    親も子もどの読者層にも読んでほしいなあ。

  • あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。

  • 前回「天使のナイフ」を読んでほかの作品も読んでみたいと思い最新文庫を購入。
    ある日突然中学生の息子が同級生を殺したと警察から知らされた親の苦悩。

    夫婦仲が悪く離婚し、そろそろ再婚も考えている能天気な少年の父親と、離婚後息子を引き取り生活していくためとはいえ仕事が忙しく自分のことで精いっぱいだった母親。
    どちらが悪いとは言えないし、息子はたとえどんなに寂しく、苦しかったとはいえ殺人が許されるわけではない。

    ≪物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ≫という文中にも出てくる一文がキーワードになっているが、事が起こってからでは遅すぎる。
    しかし人はいつだって事が起こってから後悔するものなのだ。

    子を持つ親は子供の罪を自分のせいだと感じるだろうし、一生子供とともに罪を背負って生きていかなければならないのだろう。
    殺された優斗くんは相当なクソガキだったけれど、
    しかし、たとえどんなに卑劣な人間であったとしても、殺されていい理由にはならない。
    殺された子供の親の気持ちを思うと胸が痛む。
    こちらも、立場によって思いが全然変わってくる小説だ。
    重いテーマではあるけれど、いろいろな立場によって読み方も感想も変わってくると思うので
    違う目線でもう一度読み返してみたい。

  • 一気読み。物事の良し悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ、という一文が深く印象に残った。読後感爽やか、ではないけど、読んでよかったなと思います。

  • なかなか重いストーリーでした。
    登場人物みんなが人間味があって、どちらの気持ちもわかる・・っていう感じで、考えさせられながら読みました。
    少年犯罪については日常生活でほとんど触れる機会がないので、勉強にもなりました。
    暗くて重くて切ないストーリーだけれど、子供の心の闇ってなくなることはないだろうし、大人としてはともに向き合うしかないのかなぁ・・と切ない気持ちになりました。
    読み応えがあって、考えさせられて、怖くて切なくて、すごくいいです。

  • 未成年が犯罪を犯した場合、報道などでは本名を隠され、人柄や生い立ちなどの実態は記者の言葉を介して知ることになります(後者は未成年に限りませんが)。そこには少なからず書き手の主観が混じりこみ、必ずしも真実が伝わらない可能性があって、記事で描かれたイメージなどから「少年A」という人格を決め付けているかもしれない……。

    罪を犯した息子をメディアを介して知る「少年A」ではなく、「青葉翼」として直接向き合う主人公の姿を見、そんなことを考えました。

    また「更生」「罪を償う」ということについて、一つの回答を示していることに驚きました。読み手と書き手の考えが違うと強く批判される要因になりやすいところで、多くの作品で読み手の想像に委ねられる結末になっている印象があったので、これは意外でした。

    個人的には本作の結末は「アリ」かと。ちゃんと被害者家族と向き合う翼と彼を支える吉永の言動。翼の告白を聞いたユキオの反応。被害者遺族の藤井の態度。全てに共感するわけではありませんが、それぞれの人物なりの考えに基づいた行動と感じられたので、納得感がありました。

    自分はどちらかというと厳罰派ではありますが、周囲に謗られながらも腐らず、真摯に贖罪を続けていく翼たちのような人は、いずれ救われてほしいとも思いました(被害者遺族の救済の方がが優先とは思いますが)。

  • 「提起された問題は読み手の許に届き、読者それぞれが『つけられない結末』を共有出来る仕組みを作り上げた」。京極夏彦氏は(この作品を)このように高く評価している。(京極氏の言葉は西上心太氏のあとがきで紹介されている。)
    『つけられない結末』かあ…きっとこれ以上の的確な言葉はないだろうな。わたしも子の親。ずっしりとおもい宿題を受け取ってしまったようだ。
    作者の薬丸岳氏とはどんな人なのだろう。こわいほどすばらしいと思うだけで、つけられぬ結末の中で本作品読了の感想はなかなか言葉にならない。
    しかしこの本はすべての親と子が読むべき小説に違いない。

  • 離婚した妻と暮らす14歳の息子が同級生を殺した。建設会社での仕事も順調で、部下である恋人との再婚も間近という順風満帆な人生を歩んでいた主人公に突然訪れる事件。
    序盤は自分への被害がなるべく少なくなるようにとか、なるべく職場にバレないようにと考える主人公が妙にリアル。
    息子がどうして同級生を殺してしまったのかが明らかになっていく過程も読み応えあるが、本作のメインは加害者である息子がどうやって罪を償うのか主人公が悩むところであろう。もちろん答えなんてなく、とても重い結末だった。
    被害者少年は、殺されたこと自体はかわいそうではあるが、自業自得な側面も感じてしまう。そういう意味でもスッキリしない終わらせ方だったが、逆に真実味がある。

  • 本屋で何気なく手に取った本。
    ページをめくる手が止まらなくて、短時間で読み終えてしまいました。
    自分が吉永だったらどうするか、翼だったらどう思うか……、そんなことを考えながら読みました。
    吉永の父親が言った「物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ」。
    この言葉が胸にきました。

  • 殺人を犯してしまった少年を持つ父親視点のお話。
    なぜ彼は友達を殺してしまったのか。半分くらいまで動機が見えて来なかったが、焦らされているというよりは、その読みやすさから、徐々に気持ちを昂らせてくれたようで、遅いとは思わなかった。

    動機に関して、主人公がたどりついた答えが、急に覆るところがある。
    私も「そうだったのか」と思って納得してしまっていたので、衝撃だった。
    しかし、だからこそリアルというか、人間なんだよな、と思えた。

    あの時、気付けていたら。そう後悔するところもたくさんあるだろうけれど、そこまで考えられる人なんて少数だろう。
    もっと一つ一つ、気にかけないといけない。大事に過ごさないといけない。

    余談だけれど、主人公の彼女のまさかの行動に好感度急落。
    彼女については、このために好感度を上げていたのかな、と思うほど。
    こんなことをしても不思議ではないと思えるところが、女ってこわい。

  • テーマ、文体はすごく良かったが、息子の動機がちょっと弱かったような…。変なドラマチックさを期待したんだろうか。

    でも終盤の展開も良かったし、全体的にきれいにまとまった良い小説でした。

  • 心にズシリとのし掛かる重みのある内容でした。

    心を殺された少年が、友達を殺めてしまい少年Aとなる。 苦しくて辞めてくれと泣き叫んでも、判決ごっこで判決を言い渡されるたびに殺される心。

    「心と体とどっちを殺した方が悪いの?」

    自分の息子が加害者になってしまった父親の葛藤。
    人はみな、いつ加害者になり被害者になるか紙一重のところで生きている。

    子供が何を感じ、人を殺すまでに至ったのか。
    親が思う気持ち。 子が親を思う気持ち。
    殺人を犯してしてしまった息子と、正面から向き合い、何が正しいのか、どうしたら子供と心を通わせていけるのか模索していく父親の姿。

    ぜひ、子供から大人まで幅広い世代に読んでもらいたい作品です。






  • どこの家庭にも起こりうる、ほんの少しのボタンのかけ違いで。心を殺すのと、身体を殺すのはどちらが悪いかという問いに、もし自分が聞かれたらなんと答えられるだろうと恐ろしくなった。綺麗事ではない、実際にこのような状況に置かれた時に出された父親の答えに、最も感動した。

  • これはすごい。ドラマ化か3時間クラスの映画化を今すぐ。ストーリーも心情も。そして何より、このタイトルが秀逸。素晴らしい。

  • 重い。
    思い。
    想い。
    オモイ。
    全部背負って
    前へ進む。

  • 父親ないしは親と子の在り方とはなにか?ひとつの出来事をきっかけにその在り方が代わる様子を目撃者として、まさに被告人の付添人のように寄り添いながら感じることができる。これはミステリーなのか?と思わず疑ってしまうほど、確かであってほしい、不確かであってほしいという葛藤が読者の中で繰り広げられる。

  • すごい話でした。少年犯罪、被害者と加害者、親と子。父親が主人公ですが、とても感情移入出来ます。深い。

  • ここまで深く少年犯罪に迫った作品を読んだことがない。どんなに「いい子」でも殺人を犯す可能性がある、どんな生き方をしていても当事者になる可能性はある。
    そう思うとただの傍観者ではいられない。

    「物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ」
    小説の中の一節が心に突き刺さった。しかし、親だけでは足りない。親だけではなく、すべての大人が考えるべきだと思った。

  • 息子が殺人容疑で逮捕された父親が主人公のホワイダニット系推理小説。

    仕事も恋愛も順調なバツイチ中年吉永のもとに離婚後妻側に引き取られた14歳の息子が友人を殺した容疑で逮捕されたことが伝えられる。しかし、息子はなぜ殺人を犯したのか一言もしゃべらない。主人公で父である吉永は息子とのそれまでの関わり方などを後悔しながら息子のために奮闘していく。


    一括りに少年犯罪とはいっても、各犯罪における性質は大きく異ることが多い。非行に走っていたわけでもない息子の翼は、突然殺人という罪を犯してしまう。

    こどもは周りの環境、特に家族の影響を受けやすいものである。両親の不仲、離婚、家庭内でのちょっとした出来事でさえ心のバランスを簡単に失ってしまい、その影響は学校や友人関係にも及ぶ。

    仕事が忙しい、自分のことで手一杯、大人というのはそこまで立派なものではない、他の人に気を回すことができない時も多い。しかし、事が起きてからでは遅い。そうなる前にきちんと子どもと向き合っていく必要がある。その責任が私たち大人にはある。



    「こころを殺すのとからだを殺すのどちらが悪いの」
    作中で出て来る翼の言葉だ。人を殺してはいけない。誰もが言われ続けていることだと思う。しかし、なぜ殺してはいけないのだろうか。こころを殺され続けている人は、どんなことをしても耐えなければいけないのか。つらい思いをさせられた人は、何をされても黙っていなければいけないのか。

    ことを起こしてからは一生十字架を背負って生きなければならない。反省しているかどうか、ということの意味がわからない。「大変なことをしてしまった。」、「相手に悪いと思っている」。ゴールが決まっている上での議論など何の意味もない。

    もちろん理由がある殺人を肯定しているわけではない。しかし、何か違うと私の心が言っている。

  • "物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ"

  • 分かりやすい文章で、淡々と物語が進んで行くが、
    たどり着いたところは、
    心を殺された少年の、その心の世界 

    切ないねえ・・・・・・・・

  • 物語自体もおもしろく、すごく考えさせられる話でした。しかし、自分には正解を見つけられず、苦しくも思いました。
    心と体どっちを殺した方が悪いの?
    その言葉の深さを感じずにはいられない作品です。

  • 今まで感じた事がないような、言葉で言い表せない感情を持ちながら読みました。
    少年犯罪と親子をテーマに書かれており、内容はかなり重いです。ですが、文章は読みやすくあっという間にこの世界に引き込まれ、一日で一気読みしてしまいました。
    読後は決してすっきりはせず、色んな感情がごちゃごちゃしますが、読む価値ありです。

    かなり重めの内容なので、疲れている時や気分が沈んでいる時は、読むのを控えた方が良いかもしれません。

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Aではない君と (講談社文庫)の作品紹介

第37回吉川文学新人賞受賞作

*選考委員のコメントより

伊集院静氏
思わず唸った。
薬丸岳という小説家の力量と才能に頭が下がった。

大沢在昌氏
より道のないまっすぐな物語は、最後まで密度を失わず、
重く暗い話でありながら、目をそらすことを許さない。
名状しがたい感動を私は味わった。

京極夏彦氏
提起された問題は読み手のい許に届き、
読者それぞれが「つけられない結末」を共有できる。

恩田陸氏
もし自分が主人公の立場に立ったら、と
胸が痛くなるような心地でハラハラしながら読んだ。

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