生きている理由 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937832

作品紹介・あらすじ

「男装の麗人」の少女時代。川島芳子はなぜ男になったのか?
史実の「はいからさんが通る」は多感で危険、恋少なからず謎多し。

滅び行く清の王女は国を去り、日本で川島芳子として育てられた。後に日本の大陸進出を邁進する闘士として、東洋のジャンヌ・ダルクと持て囃された彼女が、なぜ十代で女を捨てて男になると宣言し、「男装の麗人」に変貌したのか? 国家を巡る思惑の狭間で生きる少女の数奇な恋と運命。激動の青春篇!

歴史小説の醍醐味とは〈あり得る〉の積み重ねなのだ。最も意外で最もドラマティックな、そして最も説得力のある〈辻褄合わせ〉は、この〈あり得る〉にかかっている。〈あり得る〉創作に沿って、物語は手に汗握るアクションへとなだれ込む。密室に入り込んだ敵という本格ミステリばりの事件も起きる。クライマックスの舞台にあれを持ってくるあたり、いつしか歴史云々はすっかり忘れ、ただただ物語の面白さと迫力に翻弄された。 ―大矢博子(解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 清朝末期、満蒙独立運動の先駆者・川島浪速(1866-1949)が、粛親王第14王女・愛新覚羅顯玗(1906-1948)を養女としてもらい受け<川島芳子>と名付け、日本人として育てた。しかし芳子は入籍させておらず、戦後、中国国民党により国賊として逮捕され、銃殺されたと言われている。・・・十代で女を捨て男になると宣言し ”男装の麗人” として一世を風靡した川島芳子の謎に充ちた数奇な運命を、激動の史実を背景に描かれた、興奮の歴史ミステリ。
    清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀、芳子の初恋の相手・山家亨(陸軍士官)、与謝野晶子、市川房江など実在の人物が登場し、歴史小説のリアリティと面白みを感じた。 帝都・東京が関東大震災で崩壊する情景描写にも、緊迫感あふれる仕上がりに緊張感を覚えた。

  • 松岡さんの 歴史もの 好きですね。

    推理物も 面白いですが このジャンルも 最高です。

    主人公が 女性なので どうかと 思いましたが。

    いっきに 読むことが 出来ました。

    黄砂の籠城の 続きみたいな感じで

    今後の 作品が 楽しみです。

  • 途中まで読んでやめようか、と思ったが、踏ん張って読み続けているうちに少しは面白くなってきて読み終えることができた。
    まず、主人公が話のようにそんなに美貌の持ち主なのか、ネットで見てしまったら、どうもで・・・。そのあたりで話に入れなくなってしまった。
    続いて、話の展開があまりなく中心になるものもない。最後まで読むと、男装するようになった訳が分かって終わる。
    部屋に男が入り込んで騒ぎが起こった件も、近親相姦のいきさつも結局はっきりしなかったし、なんだかよく分からないところもあって、期待していたのに・・で終わる。

  • 人生に翻弄される。戦国の時代も、近代
    戦争の時代も、民は、国民は、人生に
    翻弄されて切ないものか。

  • 川島芳子、本名は愛新覚羅顯シ(王へんに子)。清朝末期、粛親王善耆の第14王女として生まれながら、日本の養父の元で育てられ、男装の麗人として一世を風靡した。
    東洋のマタ・ハリやジャンヌ・ダルクとも呼ばれ、太平洋戦争終結時に中国でとらえられ、スパイとして死刑判決を受けたという彼女の確定した史実は極めて少ない。

    映画「ラストエンペラー」や「李香蘭」に登場する芳子は決まって美しく謎の男装の麗人として描かれる。彼女は何故、男性として生きる道を選んだのか、彼女の数奇な人生の幼少期から青春時代にかけてを史実から発想されたフィクションとして描いた物語。

    そこには、王女として運命を定められた彼女が、政治に利用され、中国人としても日本人としてもアイデンティティを得られず、「生きている理由」を見いだせない息苦しいほどの渇望と慟哭がある。
    唯一の救いである陸軍少尉・山家亨とのロマンスが軸となって描かれ、ロマンスあり、歴史あり、アクションありの読み応えあるエンターテインメント作品。

    今年は、続編も出るらしいので、そちらも楽しみです。

  • 最初の方はだるかったけど最後は結構盛り上がった。

    なんでそんな選択しちゃうのかな、と思いつつも彼女なりの精一杯なんだろうなぁ、と。

    続きが発売されるようなので楽しみにしてます。

    2018.10.13

  • ★3.5
    愛新覺羅善耆の第十四王女として生まれながら、日本人の養女となり"川島芳子"の名を持つことになった顯㺭。16歳の少女に背負わされた運命の重さ、そして中国人でも日本人でもない自身の不安定さ、そんな中で彼女が渇望するのは"生きている理由"。本当は、王女としてではなく一女性として望む人生を歩んでほしかったけれど、心の優しい顯㺭には悲しいかな、無理な相談なのだと思う。ただ、浪速だけは本当にどうしようもなかった…!なお、本書は"義和団の乱"の終焉から始まるので、著者の「黄砂の籠城」の後に読むのが良いかと。

  • 面白かった。
    史実の「はいからさん」などと帯に書いてあったが、話はもっとシリアスで重いが、キャラが立っていて読みやすい。
    川島やカンジュルジャムが登場時と最後は180度印象が違うのはどうか?

  • 男装の麗人「川島芳子」を主題にした小説。もう少しノンフィクションぽいものを想像していたが、只のアクション小説であるように思う。
    取りあえず読了したが、最後まで違和感が残った。

  • いたたまれない。
    山家さんの存在に救いがあったのかな?

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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