- Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062938464
作品紹介・あらすじ
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」
無断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社に掛けてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく――。
「罪」に期限はあるのか――乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く、史上最速の受賞後第一作、大藪春彦賞候補の文庫化。
感想・レビュー・書評
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ステマもどきのお時間がやって参りました。今最も推している作家さん、呉さんのデビュー2作目の作品です。
推している割にはまだ5冊目という体たらくですが、読みたい本が山積みじゃけーのー(引きずる岡山の呪い)
実際は単行本で拝読したので474ページという大作ですが、少しも長いと感じない圧巻の筆力!
カレーを煮込みながら立ち読みしていたのですが腕が痺れて鍋にぶち込みそうになった危機を乗り越えつつ、一気に読み終えました。
本作はコールセンター勤務の下荒地、芸能プロダクション社長の安住、警察の麻生警部と鍋島巡査部長の4人の視点で物語が交互に展開して行きます。
その他もかなりの登場人物が出て来るのですが、デビュー作『道徳の時間』の選評にて「登場人物の書き分けが出来ていない」と評された後にこれをぶっ込むのか!と呉さんの不屈のチャレンジ精神に感服しました。
実際にきちんとキャラ立ちが出来ていたので混乱する事もなく読み進められました。
物語は下荒地の下でアルバイトをしていた村瀬梓を誘拐したので身代金1億円を用意しろとコールセンターに電話がかかってくる事件から始まります。
ところが、この誘拐がどうもおかしい。
何故か犯人はコールセンターに電話をかけてくる。何故か警察官100人を身代金の運び役に要求する。(しかも1人に100万ずつに分けて運ばせる)何故か運び役の警官の何人かには絶対に間に合わない時間設定を設ける。
もちろん、こんなに謎の多い要求に麻生はこれは誘拐の裏に何かあるのではないかと疑いつつ捜査を進めて行きます。
こんなに多くの謎を破綻する事なく読者に解かせて行く力量…。更に呉さんはプロットを作られないと後で知り驚愕しました。
本作の紹介に本格ミステリーとありましたが、どちらかと言えば社会派ミステリーだと思います。
生きて行く道が限られてしまった女性達を、己の贖罪の為に救い続ける安住。嫌悪感を抱く方も多いでしょうが、私は登場人物の中で1番好きでした。
人間臭い安住と対照的に感情が欠落している麻生。彼もまたペアを組む事になる三浦のおかげで徐々に今まで知らなかった感情に芽生えて行きます。
麻生に影響を与えた一番の要因である三浦の死生観を語るエピソードが大好きで、これにより麻生が思い切った行動を取った結果、真犯人に迫れる流れは本当に嬉しかったです。
さて、謎が謎を呼ぶ展開が少しずつ紐解かれ、何となくこの誘拐劇の全体像が分かってくるのですが、本当の動機が分かるのは最後の最後。
しかも読者に想像させるような形で明らかになります。
これが非常に悲しい…。こちらに委ねられてはいますが、恐らくこの悲しい結末が真実なのでしょう。
今回のテーマも『犯罪により傷を負った人間は加害者も被害者もどう向き合って行けば良いのか』
ミステリーとして読ませてくれた後に、ずしんと来る読後感…。最高!!売れろ!!(もう爆弾が売れまくってるけど)
無事に出来上がった二日目のカレーを食しながら、感慨に浸っていたのでした。(カレーは二日目が最高ですよね) -
『白い衝動』『道徳の時間』がおもしろかったので続けてこの作家の作品を読んだ。
私の理解力の問題か、日をまたいで読んだせいか、誰が誰だかわからなくなったりもしたが、めちゃくちゃおもしろかった。
ぜひ、映像化してほしい。
別の作品でも思ったが、少し前に書かれたにもかかわらず未来を予言していたかのような内容が見られる。
この作品だと、最近の騒動の渦中にいる某芸人さんなんかが読めばいいのになあ。 -
断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社に掛けてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく――。
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1億円の身代金と100人の輸送役、ピュアホワイトを名乗る誘拐犯の不可解な要求の真意とは?読了後まずは、複雑に入り組んだ物語を構成した呉氏の構想力と構成力に脱帽。縦横に織り成す炙り出される事実とともに目まぐるしく切り替わる場面展開はまるで映画を観ているよう。600ページ超の大作だが圧倒的な疾走感があるエンターテイメント作品に仕上がっている。ひとつの罪が生み出す不可逆的な罪の連鎖。贖罪とは存在し得るのかを問う。
一方で登場人物が些か多すぎ、一人ひとりの人物描写が粗い。ゆえに動機や固執する気持ちの背景も読み難い。また、様々な伏線や思わせを散りばめているものの、回収せぬまま放り出しているのはいただけない。レトリックを成立させるための後付けの事柄が幾つかある。ミステリーやサスペンスとしては気になる部分が多々あるものの面白いのは間違いない。 -
読んでいて楽しいミステリーだった。
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二段構えの構成にまずは驚く。それに加えて複数の視点や場面が交錯し、メインとサイドの物語がいい距離感で描かれる。それぞれの終幕を少しうかがい知れるエピローグも含めて、すごく映画的だと思った。誘拐だけで終わらない誘拐小説。これは新しい。
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2018年47冊目。類を見ない誘拐の手口にわくわくする。視点人物が変わっても面白さは保たれているし、長さをあまり感じさせないのは良かった。
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呉勝浩『ロスト』講談社文庫。
評判倒れも良いところ。余りにも酷いプロットに途中で読むのを止めた。『道徳の時間』も大したことが無かったし、この作家とは相性が良くないようだ。
“贖罪”の白いミステリー
“裏切り”の黒いミステリー、下村敦史『叛徒』の圧勝! -
一億円の輸送役は百人の警官。気鋭の誘拐ミステリー
コールセンターに営利誘拐の犯行電話が。身代金の要求額は一億円、輸送役は百人の警官。警察と「関係者」たちは、犯人に翻弄されていく。罪に期限はあるのか。乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く王道ミステリー。
何個燃やすことになるんだろう!笑
1Qさん印のお守りは効きますからね!
あ、こっちが真面目な方でした?!また混乱し...
何個燃やすことになるんだろう!笑
1Qさん印のお守りは効きますからね!
あ、こっちが真面目な方でした?!また混乱してきた…笑
それと、こっちが真面目な方です!
間違いない!w
それと、こっちが真面目な方です!
間違いない!w
認識しました、こちらが真面目なコメントですね(о´∀`о)
ではこれからも真...
認識しました、こちらが真面目なコメントですね(о´∀`о)
ではこれからも真面目に行きましょう笑