バベルノトウ 名探偵三途川理 vs 赤毛そして天使 (講談社タイガ)

  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940665

作品紹介・あらすじ

地上に舞い降りて楽しく遊び過ぎてしまった三人の天使達。天界に帰る力が溜まるまで身を隠すべく、彼女達が人間にもたらしたのは「言語混乱」という災厄だった…! この世で誰も使っていない言語しか、話すことも理解することもできなくなった青年実業家・椿を助けるために呼ばれたのは、輝く瞳に赤毛の高校生探偵・緋山燃と、彼をライバル視する極悪探偵・三途川理で……!?

感想・レビュー・書評

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  • 結構な消化不良。
    天使が落ちてきて、天界に帰るパワーを充電するため、とある建物の屋上にいたらその建物の住人に姿を見られてしまい、そのことを他の人にバラされないために言語混乱という奇跡を仕掛ける…って話。
    相変わらず、三途川はイヤな奴なんだけど…途中の哲学めいた説明が苦手。
    ファンタジーとミステリが混ざってなんとなく中途半端。
    ただただ三途川がイヤな奴ってだけの感想でした。

  • ● 感想
     天使を登場させ、「言語混乱」という奇跡による特殊世界で、密室殺人事件を取り扱っている。緋山と三途川という二人の探偵が登場するが、推理合戦、多重解決があるのではなく、協力して未知なる言語、シムニャゼク語の翻訳をしたり、リルーレ語の解読をしようとする。特殊な印象のミステリである。
     特に、言語に関する緋山の見解は読みごたえもある。一方で発生する密室殺人がいただけない。トリックは窓からロープを垂らしたというもの。ロープを張るためにラジコンを使ったという仕掛けはあるが、これはチープなトリック。犯人は自白し、緋山に誤った推理をさせ、殺害しようとした三途川の方が墜落するというオチ
     面白くなりそうと感じさせる要素はあっただけに、密室トリックのチープさと、終盤の展開の早さにより竜頭蛇尾感が否めない。
     言語混乱の奇跡を活かすには、もうちょっと重厚なミステリであった方が読み応えがあったように思う。惜しい作品である。★3で。
    ● メモ
    椿という引退した起業家が、偶然、天使を目撃したために、「言語混乱」という奇跡によって、シムニャゼク語しか理解できなくなる。その原因等の捜査が、緋山燃と三途川理に依頼される。
     三途川理がリードする形で、シムニャゼク語の解読を始めるが、「空、子ども」という言葉の翻訳ができた段階で、天使の手により、三途川理にも「言語混乱」の奇跡を与える。三途川理の言語の一部がリルーレ語になる。
     そんな中、東浦という使用人が殺害される。東浦は、3つの点「∴」というダイイングメッセージを残す。この殺人事件、ダイイングメッセージの推理では、東浦が、未知なる言葉を使い始めていたという仮定での推理も行う。…実際は、天使達は「言語混乱」の奇跡を使っていないのだが。
     東浦殺害の容疑者は20歳前後の男性の花谷とその一回りくらい年上に見える女性の塚越。外部犯の可能性は低い。
     緋山は三途川との捜査の中で「レロリャ」という単語の意味が分からなくて悩む。緋山と三途川は、名詞や動詞を利用した、幼児でも共有できる話しかできない。
     花谷と塚越の事情聴取を終え、緋山の推理。緋山は言語混乱が起こった場合の推理をするが、実際は言語混乱は起こっていないので無駄だった。
     そんな中、緋山は、タマゴとチキン、ミルクティーといったものから「レロリャ」の意味を紐解く。「レロリャ」は不可逆性を示す言葉だと考える。
     東山は密室で死んでいたが、緋山は窓からロープを垂らし、忍び込んだのではないかと推理する。建物の作りから、これを実現するには、ラジコンが必要
     三途川理は、ラジコンを持っていた。「∴」は三途の川の三を表しているともいえる。
     ここで、花谷が自分が犯人だと自白。三途川は緋山に間違った推理をさせ、さらに緋山を墜落死させるために、一芝居うち、結果、自分自身が墜落する。
     小さな奇跡、言語混乱は1週間程度で効果が切れるという。
     天使達は、「∴」はハナタニと書こうとした跡ではないかと推理して地上を去る。

    天使ユニカル
     語り手の天使
    天使セネアル
     血のように赤い髪の天使
    天使ヒャヒャテル
     骨のように白い肌の天使。ヒャヒャテルの「天使の愛」が足りなくなったことから、天使3人は地上に足止めされた。
    椿
     天使を目撃したことから、「言語混乱」の奇跡によりシムニャゼク語しか話せなくなる。
    水島
     使用人のリーダー。緋山燃に、椿が言語を解さなくなった事件の捜査を依頼する。
    東浦
     三途川理に、椿が言語を解さなくなった事件の捜査を依頼する。
    緋山燃
     探偵
    三途川理
     探偵

  • 言語論についてが大部分を占めていたな(苦笑)
    今回は少し読みづらかったかも。
    もう少し薀蓄は減らして、ストーリーやキャラについて書いてほしいかな。
    設定やキャラはいつも通り面白かった。

    三途川はほんと頭キレるわ。
    椿とのやり取りで関心した。
    “マキ”を引き出して、推測するまでが凄かった。頭の回転ほんと速い。
    燃の言う通り、こういうのは三途川の得意分野だよなとつくづく思ったよ。
    最後はまあいつも通りで苦笑したけどさ(笑)
    三途川、ああいうところがなければ名探偵になれるだろうに勿体無い。
    対して燃はほんと良い子だよなぁ。
    三途川の影響を受けて、やや理屈っぽさに磨きかかってしまってるかな?という印象はうけたけども。

  • 〈言語混乱〉によって架空の言語しか話せなくなった依頼人、そして探偵。
    我が道を征き過ぎな三途川は謎を解き明かす探偵役にも、謎役にもなる。
    犯人役もきっと似合う。
    緋山くんはどこまでも正しいがゆえにどこまでも可哀想な役回り。
    いつも通りの論理遊戯。
    言語パズル遊戯。
    レローリャ。リョラレール!

  • うーん!相変わらずこのシリーズは面白い!!!
    異色ミステリー。ミステリー?って感じですが。
    論理ゲームとかロジックとか好きならオススメです。
    探偵の性格はヒドいですが(片方)(笑)

    ヒドいといいつつ割と今回三途川まともだったのでは??と思うのは私だけだろうか。
    ラリってた(言語的な意味で)分可愛く思えた。
    そして緋山くんもなかなか付き合いが長くなってきて三途川の扱いに慣れた様子が面白い。

    バカ、のくだりはなにか三途川には「別の言葉」に聞こえてるオチかと思ったけどそのままフェードアウトしましたね。
    バカはバカってことかな??

    犯人でも容疑者でも探偵でもそもそも人間でもない「天使」の高みの見物視点が新鮮でよかった。口調が荒くて笑える。どうでもいいけど私と似ている。

    そして地味にイラストが好きだ。かっこよさと可愛さを兼ね備えていて且つ世界観にあっている。
    次は飛ばしちゃったトランプのやつを読もう。

  • 「言葉」を奪われた探偵達――推理は天へ届くのか!?
    ゲスな天才探偵・三途川理と宿命のライバル、緋山燃の推理対決!
    勝気な天使はヒトから「言葉」を取り上げた……知の輪郭に迫る、本格ミステリの極北!

    地上に舞い降りて楽しく遊びすぎてしまった3人の天使達。天界に帰る力が溜まるまで身を隠すべく、彼女達が人間にもたらしたのは「言語混乱」という災厄だった…! この世で誰も使っていない言語しか、話すことも理解することもできなくなった青年実業家・椿を助けるために呼ばれたのは、輝く瞳に赤毛の高校生探偵・緋山燃と、彼をライバル視する極悪探偵・三途川理で……!?

  • 殺人事件はおまけのようなもので、今回は未知の言語に対する推理の話だった。三途川の言語が封じられたためにいつものゲスな感じが半減。相手が天使じゃね…。

  • 今回は言語という特殊設定ミステリ

    しかし、トリックやロジック云々よりキャラ小説としての側面が強い印象。
    今まで本人以外誰にも名探偵扱いされなかった三途川がとうとう名探偵足り得た1作。ゲスさはキープしたままで名探偵達成!
    あと思ってたより、緋山は人間味あるのね

  • 今作もまたお馴染みの特殊設定モノです。さらに作中発生した殺人事件の扱いが二の次な辺り(この事件、発生しなくてもこの作品のプロット成立するよね?)、なんか私が期待してるのとどんどん違う方向へ進んでるな、この作家さん。

    緋山主人公の、ベタベタに普通のミステリ書いて欲しいんだけど、この作家さん、特殊設定が先に浮かぶタイプっぽいから無理かなー。

    で、ワスレロモノのあの中途半端な終わり方の続きはどうなったんでしょうか……。

  • 言語混乱は面白い試みだったのに、後半はたまに三途川がリルリル言ってるだけの死に設定になってしまってるのがなぁ。ダイイングメッセージも中途半端だったし。三途川の企みなゲスさはブレてなくて良い。

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著者プロフィール

1984年、香川県生まれ。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。京都大学推理小説研究会出身。2010年『キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』(講談社BOX)でデビュー。〈名探偵三途川理〉シリーズは他に『スノーホワイト』『踊る人形』(以上、講談社文庫)、『ワスレロモノ』『トランプソルジャーズ』(講談社タイガ)。近著に『そのナイフでは殺せない』(光文社)。

「2020年 『死者と言葉を交わすなかれ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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