魔法使いの願いごと (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 150
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940863

作品紹介・あらすじ

私の瞳は、なにも映さない。お母さんのタルトは美味しいし、家の裏にある森はいい匂い。ひだまりは暖かい。でもいつか、皆が夢見るように語る、美しいものを見てみたかった……。草原で出会った魔法使い・ヒトが私にくれたのは、「綺麗なものだけが見える」不思議な目だった。これは、あなたが見失ってしまった綺麗なものをもう一度見つけられる、やさしさと友情のお話――。

感想・レビュー・書評

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  • これまでに刊行された友井羊氏のミステリ作品を大変気に入っていたので、まさかファンタジーで来るとはと驚き(買う前に何度も著者名を確認してしまったほど)。実は私、最近ファンタジーや寓意的な話が苦手でして、楽しめるかどうか不安でした。

    結果から言えば、本作は比較的興味深く、また楽しく(ときに切ない気分にはなりますが)読み終えることができました。

    美しいものしか見えないヒカリを前に、彼女の瞳に映らなくて自分たちの外見的な醜さを露呈することを恐れる周囲の人たち。ヒトの外見はそのような人間の醜い部分を象徴しているのかな?

    ヒカリが再び視力を失ってしまったのは、玲一郎の本性を知って人間どころか世界に不信感(外見が美しいものでも、その実は醜いものではないかという疑心)を抱いてしまったから?

    ストーリー自体も楽しめるのですが、上記のような作中の要素が何かを象徴しているような気がして、それをいろいろ推定するのも楽しく思いました(実はそんな意味ないのかもしれませんが……)。

    話として印象的だったのはヒカリがずっと目にしたかった雪の花を見る場面で、その描写はたった三行。それに続くヒトの外見や彼とのやりとりはその何倍も多く、密度も段違い。ヒカリがどれほどヒトのことを想っているかが伝わってくるようでした。

    その場面は、あるいはそれまで見たいものだけを見てきたヒカリが、そうでないものも溢れている世界を受け入れていくという、ある種人としての「成長」を意味しているのでしょうか。

    また、最も美しいものが透明の花というのも意味深。透明な花びらの向こう側には何かしら世界の一部が映っているわけで、そこに何が映っていようが美しいものである、とも受け取れるわけで。

    正直、作中の要素全てを理解できている自信はないし、解釈が正しいのか不安だったりしますが、良い作品だなぁという印象は残っています。

  • この方の本は今までに何冊か読んだことがあったんだけれど、そのどれとも違ってファンタジックで不思議な話だった。主人公の目が見えないというのはそれだけで読み手も惑わされる。服部まゆみさんの本を読んだ時と同じような手探りの感覚でした。でも、どちらかと言うとスープ屋とかの方が好きかな。

  • 化け物の姿をした魔法使いヒトと、視力がなくなったお嬢様ヒカリの話。
    あまり面白くなかった。

    • jangoさん
      じゃ、読むのやめとく(笑)
      じゃ、読むのやめとく(笑)
      2018/05/08
  • 綺麗な物の定義とは一体何なのかを考えさせられる一冊。

    見たくないものがあるからこそ、綺麗だと感じられる事がある。

    綺麗な物とは見た目の問題ではない。

    心揺さぶるもの、自分が大切だと思うものこそが綺麗なものなのかな。

  • 可愛らしい愛の話。ヒトをみたら私も驚くのだろうか。今の私には見えない気がする。

  •  きれいな話をつくろうとして、きれいな話ができました。という感じ。

  • 綺麗なものしか見えない少女。しかも最初は見えても新鮮味がなくなったら見えなくなるって、お伽噺の悪い魔女にでもかけられそうな呪い。実際は良かれと思ってかけられた魔法。綺麗なものって何だろう?というお話だった。

  • 魔法使いが願うこととは……。     
    綺麗なものとは……。   
    醜いものとは……。      
    お伽話のような、童話のような、心が綺麗になる物語。

  • 綺麗なものってなんだろうね。
    醜いものがあるからこそ、綺麗なものがあるんだろうね。
    少し予想がついてしまったけれど、それでも終盤はあまりの優しさと美しさにじんわりと暖かな気持ちになった。

    魔法使い。本当にそうなのかもしれない。
    ヒカリのお母さんの出会いも読んで見たいなぁ。

  • 図書館の本棚から。気になったので借りてみました。
    いいものに出会えたと思いました。

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著者プロフィール

2011年、『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞してデビュー。14年、『ボランティアバスで行こう!』が名門ミステリファンクラブ「SRの会」13年ベストミステリー国内第1位に選ばれる。著書に“スープ屋しずくの謎解き朝ごはん”“さえこ照ラス”“レシピで謎解きを”の各シリーズ、『映画化決定』など。

「2023年 『無実の君が裁かれる理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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