算額タイムトンネル (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 88
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062941006

作品紹介・あらすじ

現代の天才少女と幕末の算術青年が、己の意地とプライドをかけて数学対決! 和算、洋算が交わるとき、時空を巻き込む奇跡が――。

感想・レビュー・書評

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  • 数学少女の真鍋波瑠が、ひょんなことから確認することになった"算額"。江戸時代の和算家が神様に奉納したその算額には、暗号めいた落書きが魔法のように浮かび上がる。
    波瑠はそれが和算の問題だと解読するも、次々と数式は現れては消える。謎の出題者との往復書簡が続くうち、その算額が幕末に繋がっていることに気が付き……。


    幕末と文章のやり取りができる算額(和算家が、問題と解を書いて社寺に奉納した絵馬の一種)を鍵に展開する、和算SFミステリ。
    作者さんも実際数学オリンピックに出場したことがあるそうで、作中に出てくる問題は本格的。本格的というか、本格的なのかすらよくわからないですが、数学が得意でない私では解説していただいてもとても理解が追い付かない。でも、そんな私でも数字の美しさというか、ロマンはわかる。ぱきっと静謐で、純粋な世界の真理。熱烈な愛を向ける人がいるのも納得できます。

    そんな数学を愛する波瑠と幕末の和算家の、愛する数学とは正反対の心情のままならなさ、割り切れない現実が読みどころです。

    現代パートの読みやすさと対照的に、幕末パートはしっかり時代小説なので、幕末、戊辰戦争、彰義隊などの基礎知識がないと理解が難しく読みづらいかもしれません。
    私は途中で少し調べました。

    1巻は大分気になるところで終わるので、いずれ続きを読もうかと思います。

  • 人生の算法もあればいいのに。

    絵馬に書かれた問題を解くと新しい問題が浮かび上がってくる。真鍋波瑠は謎の出題者・橘実信と問題を出し合うが、それは時を超えたやりとりだった。

    算額を通じたやりとりがメインではなく、波瑠と実信がどのように自分の人生に降りかかる難題をクリアしていくかが主筋なので、波瑠の友人・千明のように数学アレルギーがあっても問題なく物語を楽しめるだろう。

    数学を武器にする波瑠には、両親の不和という大きな問題があり、千明も引きこもりの兄とその原因となった父という問題を抱えている。江戸時代末期の実信にも、家業や兄の死によるトラウマ、親友と道場主の娘との関係などこれまた難題ばかり。そこに算額を通じたやりとりによって、波瑠が実信にこれから起こることを伝えて彼や彼の友人の命を救おうとした過去の改変が降りかかる。

    火事で死んだはずの波瑠が目覚めたら世界は一変していた。ここで終わるなんて! 2巻を読みたいと思います。

  • 2020年12月新着図書

  • 天才数学少女の真鍋波瑠が手にした神社に眠る絵馬――江戸時代の数学「和算」を学ぶ者たちが神様に奉納した“算額”に、暗号めいた落書きが魔法のごとく浮かび上がる。巫女探偵の千明と波瑠はこれを和算の定理だと解読するも、次々と新たな数式が消えては現れる。謎の出題者との〈算法〉をめぐる往復書簡が続くうち、奇妙な算額が幕末に繋がるタイムトンネルだと気付き……。

  • 『算額』とは、江戸時代の日本で、額や絵馬に和算の問題や解法を記して、神社 や仏閣に奉納したもの。 
    数学にめっぽう強い女子高生「真鍋波瑠」は、親友の実家でもある神社で不思議な『算額』と出会う。 この算額にメッセージを書くと幕末へと届くらしい・・。 
    算額に書かれたメッセージは、鳥羽伏見の戦いの直前、算法をこよなく愛する橘実信の元に届く。 
    時を超え、数学を通じた交流。 
    そして、幕末という奔流を橘実信は生き残ることができるのか・・。 
    でも、いいところでTo be continuedとなりギャフン 

  • 表紙のイラストが素敵だったのと、自分が好きな神社や神様が出てくる話かと思い購入。
    主人公の真鍋波瑠の、まっすぐで曇りがなく、天然なキャラクターが可愛い。

    文書は絵が想像しづらくやや読みにくかったけど、5章までは手に汗を握り一気に読んでしまった。しかし最後のオチは「????」と頭にハテナがたくさんうかんでしまった。
    突然打ち切られた漫画みたいな終わり方で面食らった。2巻ですっきり説明されるのかもしれないけど…

  • 数学も時代物も苦手なので、現代パートの数学以外のことしか頭に入ってこなかった。でも続きも読むつもり。

  • 数学小説と時代小説が融合した感じ。主人公の女の子が数学バカでちょっとゆるい感じなので、ちょっとだけ渚と印象が重なるなぁ。渚と波留の数学談義なんてのも読んでみたい気もする。同じ講談社だし、企画しないかな?

  • 2018年2冊目。続巻もののようなので、この巻だけでは最後が若干消化不良気味。出てくる数学が高度で楽しめた。

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著者プロフィール

一九八九年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。『お任せ!数学屋さん』で第2回ポプラ社小説新人賞受賞。著書に「トリプル・ゼロの算数事件簿」「算額タイムトンネル」シリーズ、『ショダチ!藤沢神明高校 でこぼこ剣士会』『リケイ文芸同盟』などがある。剣道五段。将棋アマチュア三段。

「2021年 『われら滅亡地球学クラブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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