五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 201
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990080

作品紹介・あらすじ

メフィスト賞受賞シリーズ第三弾!

雪が残る山間に佇む、五角形の建物に潜む狂気!

天才・善知鳥神(うとうかみ)に呼び出された十和田只人(とわだただひと)がたどり着いたのは、『五覚堂』と呼ばれる五角形の建物だった。そこでは、つい先ほどまで、凄惨な殺人事件が起きていたという。それに巻き込まれたのは、『双孔堂』の事件を十和田とともに解決した、警視庁キャリア・宮司司(ぐうじつかさ)の妹、百合子だった。連続殺人事件の謎を解き、十和田は百合子を助け出せるのか。そして、十和田と宮司家、天才数学者たちを繋ぐ、ミッシングリンクとは!?

シリーズに隠された謎が、次々と明らかになる、衝撃の第三弾!

感想・レビュー・書評

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  •  シリーズ三冊目。これを読むためだけに、(若干つまらない)一、二冊目を読む価値はある。むしろキャラの把握とかすっ飛ばすなら読まなくてもいいかもしれない。

     って言い切れるくらいに面白かった。いや、珍しいタイプだと思う。大体ほら、作家って一作目が最高傑作って言うじゃない? これは三冊のなかで一番面白かったわ。シリーズだからとか、キャラクタの把握だとかそういうのではなく、数学的要素の取り入れ方、館のトリック、話の展開、すべてにおいて一、二作目より断然できが良い。すばらしい。
     相変わらず会話が説明くさい、血が通ってない部分は気になったけどそういう文章だと思っていれば全然問題はない。前作、前々作みたいに館の見取り図だけでトリックが気づけちゃうようなところもなかったです。(個人的に。)地図の部分で「あー……」って思ったところは直後本文で十和田先生が突っ込んでたし、きれいなミスリードだったし、うまいなぁ、と思いました。うん、ほんと、うまくなってると思う、伏線の張り方というか、要素のちりばめ方というか。鼻についていた部分がなくなって、丁寧に研磨されてる。つるんってしてる。
     数学的要素についてはやっぱり少しよく分からない部分があるけれども、前作よりは全然わかりやすいし世界に入り込みやすかった。館に対する想いっていうより、数学に対する想いのほうを前面に押し出していくんだろうなぁ。そういう方向で行くのなら、やっぱり数学的要素を分かりやすく読者に説明する努力は必要だと思う。じゃないとほんと読者おいてけぼりになっちゃう。
     ここまで話の具体的内容について何も説明してないけれど、とりあえず、密室殺人が二つってくらいです。ピックアップされている数学的要素は自己相似形(フラクタル)。音楽や絵画あたりを引っ張ってきての説明だから、前回のダブルトーラスよりは断然とっつきやすい。十和田先生が五覚堂で起こった殺人事件を解決するように神さんから問題を提示される、という形。一章のタイトル「神と人」で気づいたけど、十和田先生の名前「只人」っていうんだったね。只の人なんだね。
     講義のなかで十和田先生も言ってたけど、言われてみればとても簡単な方法での殺人(というか密室トリック)ではある。犯人についても読者側からすればヒントはちりばめてあるからなんとなく察せられる。ハウダニットの解をどうやって得るか、という部分が物語の面白さの最大ポイント。
     抜粋。神さんと十和田先生の会話より。

    「もし君ならばどうする?」
    「何をですか?」
    「この算術の檻、つまり輪廻から抜け出るには」
    「…………」
     神も、暫し沈黙した後――。
     ややあってから、答えた。
    「掛けます。ゼロを」


     その場合「掛ける」とは具体的な「行為」によってなされるのか、そもそも「ゼロ」とは何であるのか。

  • 数学的要素の館系ミステリ。
    2作目飛ばして読んでしまったので、宮司さんとのつながり気になるところだけど。
    数学難しいのはさておき、見取り図が多用されるミステリは大好きです。伏線もきちんと回収されてるし。

  • 今回のテーマとなるフラクタルの薀蓄は綺麗なだけで読みやすいですが数学としての必然性は薄いですね。トリックは凄く分かり易かったり、想像の範疇を超えて、可能なの?って感じだったり。伏線が分かり易いので犯人も同じく。なんだか勿体ないです。今回はどうしてもリスペクトされている某シリーズのトリックと某シリーズのキャラクターを思い浮かべずにはいられなくなりました。綾辻さんと森さんの凄さをあらためて感じます。シリーズとしての話は進んできているので今後どのように展開していくか作者の成長も期待して続きを待ちたいと思います。

  • 露骨にヒントのある建物。
    作者が、綾辻さん、京極さん、森さんに影響を受けているらしいと最近知りましたが、よくわかります

  • シリーズ第三弾。
    人里離れた五角形の館でおこる連続密室殺人。
    相変わらず数学が難しいし善知鳥神が謎すぎるが、変な館と変なトリックは面白かった。
    十和田と宮司家、神の関係が気になる終わり方。

  • メフィスト賞受賞シリーズ第三弾!

    雪が残る山間に佇む、五角形の建物に潜む狂気!

    天才・善知鳥神(うとうかみ)に呼び出された十和田只人(とわだただひと)がたどり着いたのは、『五覚堂』と呼ばれる五角形の建物だった。そこでは、つい先ほどまで、凄惨な殺人事件が起きていたという。それに巻き込まれたのは、『双孔堂』の事件を十和田とともに解決した、警視庁キャリア・宮司司(ぐうじつかさ)の妹、百合子だった。連続殺人事件の謎を解き、十和田は百合子を助け出せるのか。そして、十和田と宮司家、天才数学者たちを繋ぐ、ミッシングリンクとは!?

    シリーズに隠された謎が、次々と明らかになる、衝撃の第三弾!

  • なんというか、半分くらいまではとてもつまらないなあと思いながら、休み休み読んでいたのですが、十和田さんと宮司氏が出会ってからの怒涛の解決編はおもしろかったです。
    まあ、計算式とか出されると全然意味わかりません文系ですが。
    前巻ほどはお経ではなかったかな、と思いまする。

  • 前2作よりも読みやすいです。
    設定としては、ありがちです。
    通常のまま使用して問題ないのでは?
    もう一つは、明るくなってから見れば、ばればれなのでは?
    もしかして、あの人があんな設定だったというのは、叙述トリック?

  • ちょっと悪い意味でパズル的な部分が多いように思ってしまう。

  • 二作目より好きで、一気読みしました。色々な謎が絡みあって、続きが気になります。登場人物の魅力が増した一冊でした。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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