雰囲気探偵 鬼鶫航 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990127

作品紹介・あらすじ

その探偵社には、
謎を解かない
名探偵がいるという――

「薬屋探偵」シリーズの著者が描く、世界一優しい名探偵!

「君は探偵のくせに、事件を解決する気がないのか!?」
 鬼鶫探偵社――そこに、見た目は完璧な名探偵がいる。
だが経理の佐々は日々、悲痛な叫びをあげていた……。
彼の雇い主である鬼鶫は、まったく推理をしないのだ!
事件はいつも彼の推理を聴く間もなく解決してしまう。
果たして、鬼鶫が謎を解く日は来るのか? 鬼鶫が推理
をしない理由とは? そして雰囲気探偵の真の実力とは!?

感想・レビュー・書評

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  • 見た目は名探偵。口調も名探偵。しかしてその実態は、ワトソン役の言葉に「うむ」としかつめらしく頷きながらも、依頼人に簡単に論破される「雰囲気だけ」探偵…って、何じゃそりゃーー!!!(笑)
    麻耶先生の貴族探偵で免疫は付いてましたが、これは凄い。本当に事件の推理はしてない!「事件の」推理は!!

    事件を解決しない雰囲気探偵・鬼鶫探偵と、彼の探偵事務所の経理であり、「俺の上司が推理してくんない」と日々悶々とする佐々君が活躍(?)する、四つの短編を収録しています( ^ω^ )

    探偵役が推理しないっていうのは珍しくありませんが、今作で特筆すべきは何と言っても脇を固めるキャラクタ達ですね。

    ワトソン役が、「俺は、君にかっこ良く事件を解決して欲しいんだー!」って泣いちゃったり。
    本格推理小説の中では、探偵の引き立て役だったり敵対者の役割を演じることが多い警察の皆さんが、まさかの微笑ましい視線で探偵を見守ってたり。
    しかもその中の警部補さんが真相指摘しちゃったり。
    探偵の好敵手が驚くほどのヘタレ咬ませ犬だったり←←

    とにかく、キャラクタがま〜賑やかですね〜好き!笑
    じゃあ当の探偵は一体何してんのよ…とこれ書いてる私も思いましたが、彼にはもっと大事な役割があったのです。
    犯人指摘は他人任せ。
    雰囲気探偵は、依頼人(被害者)の心にそっと寄り添いながら、同時に加害者の心も救済します。
    嬉々として犯人を指摘し、真相をことごとく暴いて見せる、従来の探偵像とは真逆の「名探偵」の姿があります。

    また、この心優しい雰囲気探偵と再会できますように!



    ◉第一話…不審火で家が全焼し、引越しを余儀無くされた一家を、またしても火災が襲う。「雰囲気探偵」鬼鶫航は、謎を明らかにできるのか?

    ◉第二話…オレオレ詐欺の被害者と思われる女性が、「連絡の取れない息子を探して欲しい」と依頼に訪れる。鬼鶫は今度こそ真相を暴けるか?

    ◉第三話…「変質者につきまとわれている妹を助けて欲しい」ーーそんな兄妹の依頼を受けて調査に乗り出す鬼鶫は、一体いつになったら推理をしてくれるのか?

    ◉第四話…奇妙に中途半端な密室で、舞台の主演女優の死体が発見される。「私は推理していない。貴方が教えてくれたのです」ーー雰囲気探偵、衝撃の「推理せずに犯人を指摘する」の巻!

  • 全編通して「雰囲気」を推している作品でした。
    何も見えていないのか、完全に先を見通しているのかよくわからない状態でしたが、ゆるーく楽しめました。

  • 高里椎奈の小説は、「優しい」。読んでいると気持ちがほっこりする。そこが自分が彼女の小説を求める理由だと思う。
    普段殺伐とした話ばかり読んでいるので、たまにはこういうのも、悪くない。

    今回のは装画のタッチも好きな作風だった。若干のやおい風味なんかもありつつね。

  • 高里椎奈さんの作品はとにかくフェンネル大陸をひたすら読んでましたが、他シリーズは未読でした。
    何となく気が向いて、単発ものなら読みやすいかなーと手に取りました。

    鬼鶫が落ち着いているというよりは、佐々が年齢の割には幼い印象かなー?という感じが、特に三話で強く感じました。

    探偵してるかしてないか、で言えば自分の印象では「完全に探偵」と思います。
    トリックもアリバイも関係なく、観察と聞き取りだけで本質は捉えてるっていうことなんじゃないのかな。

  • つまらなくてイライラした。
    どうせ推理しないなら貴族探偵くらい
    すっぱりしてほしい。
    つまらない描写が多いし、
    昨今の下手なイラストの表紙どうにかならんかな〜
    なぜ手を出してしまったか。

  • 見た目には完璧な名探偵だが推理をしない”雰囲気探偵”の短編集。
    貴族探偵のようなものかと思ったらそれとも違い、犯人を指摘するのは警察だったりするが真面目に事件の調査をしているし、何より依頼人はもとより加害者の心も救っている。ミステリとしてはゆるいが、ほんわかした読後感になれる話である。でも警察もライバルの探偵もみんないい人すぎてちょっと物足りないような気もする。続編は出るのかな?

  • その探偵社には、
    謎を解かない
    名探偵がいるという――

    「薬屋探偵」シリーズの著者が描く、世界一優しい名探偵!

    「君は探偵のくせに、事件を解決する気がないのか!?」
    鬼鶫探偵社――そこに、見た目は完璧な名探偵がいる。
    だが経理の佐々は日々、悲痛な叫びをあげていた……。
    彼の雇い主である鬼鶫は、まったく推理をしないのだ!
    事件はいつも彼の推理を聴く間もなく解決してしまう。
    果たして、鬼鶫が謎を解く日は来るのか? 鬼鶫が推理
    をしない理由とは? そして雰囲気探偵の真の実力とは!?

  • 「推理をしない探偵」鬼鶫航。…というから働かないのかと思いきや、しっかり解決はしてるんじゃないかな…?明朗会計だそうだけど探偵料金が入ってるのか気になりつつ、わりと面白いけど物足りない…☆☆☆

  • 面白かった。
    鬼鶫はちゃんと探偵していると思いますけどなあ。
    話は聞いているし、フォローも出来る。
    何より依頼人をちゃんと見ている。
    安心させられるし、結果も残している。
    現場百辺も大切かもしれないが、こちらはこちらで大切な要素だと思うわけで。

    …思考と言動飛躍しすぎていて、周囲の人が察してくれるからこそ解決している、というところはあるが。

    ところで今後、須永さんが出てくることはあるのだろうか。
    気になる。

  • 優しい、すこし間抜けな探偵もの。

    でも、個人的には薬屋シリーズの続きを読みたいです。

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著者プロフィール

茨城県出身。芝浦工業大学工学部機械工学科卒業。1999年『銀の檻を溶かして』で第11回メフィスト賞を受賞しデビュー。著作に、デビュー作を始めとする「薬屋探偵」シリーズ、「ドルチェ・ヴィスタ」シリーズ、「フェンネル大陸」シリーズ(以上、講談社)などがある。2019年5月に「うちの執事が言うことには」が映画化された。

「2023年 『雨宮兄弟の骨董事件簿 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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