伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990226

作品紹介・あらすじ

メフィスト賞受賞シリーズ、早くも第四弾!

警察庁キャリアの宮司司は、大学院生の妹・百合子とともに
宗教施設として使われた、二つの館が佇む島――伽藍島を訪れる。
島には、数学界史上最大の難問・リーマン予想の解法を求め、
天才・善知鳥神や、放浪の数学者・十和田只人も招待されていた。
不吉な予感を覚える司をあざ笑うかのように、講演会直後、
招かれた数学者が姿を消し、死体となって発見される。
だが、その死体は、瞬間移動したとしか思われず……?
張り巡らされた謎が一点に収束を始める、シリーズの極点!

感想・レビュー・書評

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  • いい意味でも悪い意味でもいつも通り。
    不可能犯罪に見えた殺人が建物トリックによって明かされる。
    ただ、こうも建物の構造を踏襲してくるとトリックになんとなく検討がついちゃうというか…
    はやにえの図を見た瞬間「あっ…」ってなっちゃうよね。

    ただラストの展開にはやられたよ…
    これが今後にどう作用するのか…
    次作も読んじゃうんだろうなぁ…
    なんだかんだで好きなんだよなぁ…

  •  十和田只人、ちょっとそこなおれ、正座しろ正座。
     がっつりネタバレ、ご注意を。

     あーのさぁ、いやまあ、今作はあれです、館というより島の図面を見てもトリックには気づけなかったけど、死体図を見て仕掛けに気づけちゃうという新たな試み。試み? そうなるにはどうならないといけないか、と考えたら自然と行きつく結論ですわな、堂が転がるっての。
     いや、うん、トリックはおもしろい、壮大でたまらないすごい好き。好きなんだけど、何が納得いかねぇかって、十和田只人、お前だお前。何最後、善知鳥神に罪なすりつけようとしてんだ、なんだそれ、そうしろって御大の指示か? 美しくない、まったくもって美しくない。少なくとも本格推理小説の犯人における理想の姿からはかけ離れてる! 零点! っていうところに一人で憤っております。
     神くんを犯人だと指摘する部分がどうにもお粗末だなとは思っていたし、最後に真犯人が出てくるというパターンは好きな部類ではあるんだけど。
     なんだろうなぁ、至高のものを求めて常識を越えた行動をするってのは別にいいんだけどさぁ、その割にはやってることがちっせぇんだよなぁ……だからどうにも存在自体が矛盾してるように思える。整合性が見えない、作者としては超越したところを歩かせたいんだけど失敗してるキャラクタに見えちゃう……。うーん。いや、名前に只人ってつけてるから人間でいさせたいんだろうけど、なんだろう、とにかくやってることが気に食わない。今作のことがなければ別になんとも思わなかったんだけどさぁ、ほんと「その咎を神くんに引き受けてもらった」ってなんだそれ。『ザ・ブック』を読むためにってことか、今警察に捕まるわけにはいかないってか。
     なんだろう、ネタも筋も好きなんだけど、書き方が好みじゃないんだな、たぶん。で、きっともっと自分が好きになる書き方があるってのが分かるから腹立ってるのかもしれない。ああそれだ、もったいねぇえええ、だ。折角の良いオチなんだから、もうちょっと、こう演出の仕方、あったろ!! 勿体ない、ほんともったいない! 書きようによっては鳥肌級だってのが分かるからさぁ……感覚が絶対的に合わないんだろうな、この作者と。
     最後、神くんが言ってた宗派を変えろってのはあれか、藤御大信仰ではなく私のところにいらっしゃいってことか。
     抜粋。


     だから私はここにいるのね――解っていたけれど。


     この一文、最後まで読んで戻ったらすごいうわぁ、って思うわ。このシリーズで一番可哀そうな子って神くんじゃね?

  • デビュー作の眼球堂から欠かさず追っている今シリーズ。森博嗣のS&Mシリーズを彷彿とさせるキャラやアプローチが巻を追うごとに際立っている印象が拭えませんが、今作のプロローグほど強く感じたことはありません。

    絶海の孤島で交わされる、数学が得意な女子大生と天才と唄われる博士の会話。
    「そこには無(=0)しかない。魅力的でしょう?」と、宮司百合子に語った善知鳥神。
    「数字の中で7だけが孤独なのよ」と、西之園萌絵に語った真賀田四季。な…なんかシンクロしてる…!(゜o゜)

    すべF以降、森作品の各シリーズに傾倒しまくった私には、懐かしく往時の高揚感が思い出されました。
    「今は夏。彼女はそれを思い出す」っていう書き出しに、めちゃくちゃ痺れたなあ…。っていう感想、前にもどこかで書いたなあ…←

    天才の描写やミステリとしての評価は圧倒的にすべFに軍配が上がるのですが、それでも私の周木作品に対する評価が「森博嗣の二番煎じ」に留まらないのは、周木作品には森作品にはなかった「本格ミステリへの実験的な挑戦・こなれたミステリファンへの挑発」が既刊全てに通底していると強く感じるからです。

    今シリーズに仕掛けられた「堂トリック(帯には館トリックとありますが、シリーズに敬意を表してこう書きます)」は、ミステリファンには「何となく」ネタの検討が付くんですよね。

    この部分が動くんだろうな。回転かな!それともスライドかな!?←楽しい

    そんな読み手の予想を斜め上に裏切るトリックがすごい(語彙…)。
    そして、眼球堂の衝撃のラストに象徴されていたどんでん返しが、今作でも再び味わえます。シリーズ完結を待たずにこの結末ですか…すごい…(語彙…)。

    数学の薀蓄書き込み過ぎじゃないかな~説明されても分かんないし~←、とか、この天才同士の会話はなーんか物足りないな~、とか、森作品と比較するとどうしてもイマイチだなと感じる部分もあるにはあるのです。重箱の隅を突くようですが←本当に…

    でも、理数系ミステリを書いてて、森先生と同じ賞からデビューしてて、しかも森先生に推薦文書いてもらっちゃった時点で、比較されるのは自明だもんなあ。周木先生の執筆スタイルも、なかなか挑戦心溢れるよな~。っていうか、編集部がそういう売り出し方するか、そりゃ…。

    とまれ、今後も追い続けていきたいシリーズですし、期待値は高まるばかりなのでした\(^o^)/しかし私は揺るぎない犀川先生推しだぜ\(^o^)/


    絶海の孤島、伽藍島。島に建てられた二つの館で、数学史上最大の難問に関する講演会を行うーー招待された妹・百合子に付き添って島を訪れた宮司。かつて宗教施設として使用されたその館は、教祖が瞬間移動の奇跡を行った場所だった。
    超越者・善知鳥神、放浪の数学者・十和田只人も参加した講演会の直後、講演者たちが姿を消し、瞬間移動したとしか思えない状況で、奇妙な死体となって発見される。

  • シリーズ初の孤島もの。館トリックにおける“お約束”を開き直ったかのように濫発し、バナッハ-タルスキ・パラドックスともなぞらえた古めかしくも新しい複雑な仕掛けが良し。ここまでやられちゃ文句は言えません。しかしもうひとつの数学的テーマとリンクした終盤の展開はそれ以上に衝撃で、一作目ならいざ知らず、シリーズもののミステリでこういうひっくり返しを行った作品はちょっと見たことがありません。まさしく極点。これから先、どうするつもりなんでしょう?

  • 数学談議とそうでない部分に込められた伏線のバランスや質は良く、トリックの大枠は壮大で面白い。
    結末の煮え切らなさや、トリックの非現実さがマイナス。

  • シリーズ4作目。人によっては嫌うであろう数学の薀蓄がトリックと無関係でないこともあって私は結構好きです。もうこの方のトリックは実現はどうなの?って形が多くて想像ができません。でも机上の空論を振りかざすのも味だと思うし、楽しんできました。今回はシリーズ通じて明らかにされるべき過去の事件や繋がりについて転換期に来ているようなのですが…ラスト、百合子によって指摘されたことにはそちらの方向に話が行くとは想像していなかったので唖然としました。ここまで楽しんで読んできたけれど今後続けて読むかはちょっと考えます。

  • 正直バカミスだと思う。話の展開や、犯人当てを放棄した内容。どんでん返しを詰め込みたくて、ゴールが見えなくなる感じ。
    ただトリックは最高。
    館が回転するのが、毎度お馴染みみたいな語り口で言われるのも面白い。

  • 堂シリーズ、第4弾。

    数学の話は相変わらず全く理解できないけど、シチュエーションは好き。
    トリックが壮大すぎてピンとこないのがちょっと残念。

    しかも、今回の結末は…。
    ちょっとルール違反なんじゃ?
    ま、次作以降で、何らかの解明はあるんだろうけど。

  • 容紹介
    メフィスト賞受賞シリーズ、早くも第四弾!

    警察庁キャリアの宮司司は、大学院生の妹・百合子とともに
    宗教施設として使われた、二つの館が佇む島――伽藍島を訪れる。
    島には、数学界史上最大の難問・リーマン予想の解法を求め、
    天才・善知鳥神や、放浪の数学者・十和田只人も招待されていた。
    不吉な予感を覚える司をあざ笑うかのように、講演会直後、
    招かれた数学者が姿を消し、死体となって発見される。
    だが、その死体は、瞬間移動したとしか思われず……?
    張り巡らされた謎が一点に収束を始める、シリーズの極点

  • 一般人代表(ただし警視正)の宮司氏視点から語られているので、なんとなくわかります。
    「こいつら何言ってるんだ」感。
    はい、全力文系ですみません。
    とりあえず、なんだろう。
    これが最終巻で、謎が全て解き明かされるかと思ったらそうでもなかった。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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