無貌伝 ~最後の物語~ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990301

作品紹介・あらすじ

人と"ヒトデナシ"と呼ばれる怪異が共存している世界――。
怪盗・無貌によって「顔」を奪われた仮面の探偵・秋津は、
再起を求めて無貌を追い、楽園の島にたどり着く。
その頃、秋津の妻の遙は、顔を奪った人々のもとを
訪れている無貌を待っていた。彼を殺す覚悟を固めて。
すれ違う思惑の果て、彼らを待つのは希望か、絶望か……!?
失ったモノを取り戻すため、彼らの最後の戦いが始まる!

感想・レビュー・書評

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  • この一冊全てがエピローグ。
    これまでの作品ほどの疾走感はないけれど、しっかり終わらせてくれた。

    無貌と秋津探偵を駆り立てていたものがはっきりして、綺麗に纏まった作品。

  • 人と"ヒトデナシ"と呼ばれる怪異が共存している世界――。
    怪盗・無貌によって「顔」を奪われた仮面の探偵・秋津は、
    再起を求めて無貌を追い、楽園の島にたどり着く。
    その頃、秋津の妻の遙は、顔を奪った人々のもとを
    訪れている無貌を待っていた。彼を殺す覚悟を固めて。
    すれ違う思惑の果て、彼らを待つのは希望か、絶望か……!?
    失ったモノを取り戻すため、彼らの最後の戦いが始まる!

  • シリーズ最終巻。
    無貌、顔のない探偵、遥やその周囲の人々がそれぞれ望みを遂げるためにせめぎ合う。無貌の求める楽園とは何か…
    前作で盛り上がった分、意外に静かな終わり方だった。誰にも感情移入はできないが、みんなおさまるべき所におさまった感じ。当初の楽園が完成していたらどんな世界になったか、ちょっと見てみたかったかも。

  • 無貌伝 シリーズ第7弾 完結編
    『無貌伝 ~探偵の証~』のつづき

    <あらすじ>
    相川や古村たちの顔を奪った無貌(本体は秋津)は、誰にも干渉されることのない楽園の島に住むため、奪った顔にゆかりある人々に別れの挨拶をするため、芹と犬を置いて楽園を出る。

    長靴本部には、近松独善が人間でなくなり周囲を同化するヒトデナシ[異割]となったスライム状の沼や、他のヒトデナシもおり、そこには長靴の会長が死亡し新たにトップとなった岬と、親友である遥がいた。
    遥の願いは夫である無貌に会い、共に死ぬこと。
    遥はヒトデナシの女王としてずっと束縛されていて、真の自由を手に入れるには死ぬしかないと思っていた。
    それを知った岬は、無貌とか長靴にとって不利になる証拠を消したいという長靴本部の目的や、遥の願いを叶えるため、無貌を待ち構えていた。

    探偵・秋津(本当は顔がない相川)は無貌に会うため楽園を訪れるが不在。芹と犬を行動を共にすることに。
    3人は長靴本部を訪れる。
    探偵は遥に会い、遥の願いを聞き、呆然とする。
    そこで岬が探偵に、魔縁・大蛇を匿っているから会ったら?と言われ、探偵は大蛇に会うことに。
    更に岬は芹と犬にある計画を持ちかける。

    大蛇に会った探偵は対話するうちに、無貌に会うことと遥を救出することを決意し、ヒトデナシ[巾裂]を大蛇に返し、長靴本部へ向かう。

    外に出て”顔にゆかりある人々”に会っていた無貌だったが、軍に捕まってしまう。
    そこで出会ったのは兵役で北極の基地にいた本多だった。
    本多は無貌に「軍の兵士になれ。そうすれば長靴にいる遥を奪還してやる」と誘う。軍としては戦力として無貌がほしいし、ヒトデナシの女王も手に入ればなお良いからだ。
    無貌はその条件を承諾し、軍が無貌を捕らえるために匿っていた”顔にゆかりのある人々”と会い別れの挨拶をし、軍と共に長靴本部へ向かう。

    無貌、探偵、遥、岬、長靴、軍、それぞれの思惑が収束する。舞台は長靴本部。

    遥の前に現れた無貌。遥は無貌に思いの丈をぶつける。
    しかし無貌はヒトデナシ[誰彼]によって変身していた犬で、遥がそれに気づいた瞬間、背後より芹のヒトデナシ[匂色]によって遥は気絶してしまう。
    岬の計画だった。
    その一部始終を遠くで見ていた無貌は岬を銃で撃つが弾は反れる。でも岬が無貌に気をそらしたとき、近くに隠れていた探偵が遥を救出。

    岬はヒトデナシ[吹片]を身に付け空を飛び、探偵を襲い、遥を取り戻す。
    ちょどその頃、遥救出時に探偵と接触していた芹が無貌と合流。ヒトデナシ[匂色]で無貌に探偵の記憶を渡し、無貌は遥を救出するため岬を追う。

    長靴本部を襲撃する軍。
    侵食し増殖するヒトデナシ[異割]の沼。
    果たして結末は、、、

    <ネタバレ>
    岬と無貌が対峙。
    岬は気絶した遥を好きにしろと無貌に渡す。
    受け取った無貌は遥をヒトデナシ[異割]の沼に落とす。
    ヒトデナシ[異割]に飲み込まれ同化する遥。それを見ている軍と探偵。
    探偵の元に無貌が現れ2人は楽園の島へ。

    遥は目を覚ます。そこには岬がいた。
    実はヒトデナシ[異割]に落ちた遥は、遥の実家の孤島で作られた人形だった。
    遥をほしがっている軍に、遥が死んだと見せつけるための岬の計画だったのだ。
    遥は本当の自由を手に入れた。
    遥のポケットには探偵と無貌からのメッセージが。
    「君は生きろ」「ありがとうございました」
    それを見た遥は無貌と一緒になる決意をし、岬から空を飛べるヒトデナシ[吹片]を受け取り、楽園へ向かう。

    長靴本部は、軍が欲していたヒトデナシの情報とかも含め、ヒトデナシ[異割]によって飲み込まれて壊滅した。
    芹と犬はその混乱に乗じて脱出。
    ヒトデナシ[異割]は飲み込んだものの中に人間に戻る製法があったため、人間の姿・近松独善に戻り、軍に捕まることなく脱出した。

    楽園の島には探偵と無貌の2人だけ。
    無貌は探偵に島を案内し、そして”溶けた”。
    八雲によって[匂色]で大量の負の記憶を送り込まれたダメージの限界により無貌が壊れたのだ。

    溶けた無貌の沼に入った探偵は、今まで無貌が顔を奪った者たち、秋津や相川や古村の記憶を見て心を感じて、無貌の全てを知った。

    そこに遥が舞い降りる。
    遥はスープのようになった無貌に語りかける。
    「私があなたの中に入れば、変化を止められるかもしれない」と。
    そして遥は無貌に”顔”を奪われた。

    楽園には顔を無くした探偵と遥だけが残り、2人は新たな道へ踏み出した。

  • シリーズ最終巻。古村望の物語としては前々作で、全体を通しての謎は前作ですべて語り終えてしまったためにそこまでのクライマックス感はなく、期待ほどには盛り上がりませんでした。そうはいっても無貌と探偵、遥さんら残された人々の終着点としてはたぶんこれが最上で、それぞれにそれぞれの答えを見つける結末は静やかながら綺麗にまとまっていたと思います。そして相変わらずのヤンデレっぷりよ……。

  • ついにすべてが明らかになった『現在』で
    誰がどう動いて、何を掴んで何を叶えるのか。

    自分の幸福を願って、幸せな生活を送りたいと
    誰もがそう思っているはず。
    けれどそれは、自分が望むものと他者が望むものでは
    まったく違う場合もあるわけで…。

    自分の幸せのために走り始めた3人。
    彼らの幸せを手伝う事になった人達。
    誰がどう走って、どう掴む事ができるのか。
    どう収拾がつくのか、さっぱりわからない状態でした。

    しかし最後というのに、普通の本の厚さです。
    もうふろしきをきちんと畳むだけ、なので
    あの長さは当然必要ないとは思いますが
    何だか寂しい厚さです。
    ただ、あの3人の感情がきちんと整頓されたのに
    『元』の生活に戻った事に、ほっとするものが。

    大事なものは何ですか?
    それを守るため、選択はできますか?
    切り落とす覚悟はできますか?

  • 後始末回。次に何を書くのか今から楽しみ。

  • 『無貌伝』シリーズ最終巻。
    どういう風に纏めるのか気になっていたが、こう来たか〜という感じ。
    長く続くとマンネリ化は避けられないが、このシリーズはちょうどいい長さで完結したかな。

  • シリーズ第7弾、堂々完結。登場人物達みんながおさまるべき所におさまる結末は「気持ちいい」のただ一言です。GJ!!。機会があれば1巻から一気読みしてみたい。

  • シリーズ最終巻。
    楽園を作りたい怪盗・無貌、「顏」を奪われた探偵は無貌を追い、そして秋津の妻・遥は無貌を殺す決意をして彼を待ち構える・・・それぞれの思惑が交差し、最後の戦いが始まる。

    シリーズが終わった・・・驚愕さでいうと前巻のほうが断然だった。だからちょっとこっちのほうが評価落ちちゃうかな。
    他のキャラたちのその後も気になるなぁ・・・いつか外伝を書いてほしいと思っちゃいました。
    とくに近松はどうなったのか気になる・・・

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著者プロフィール

第四十回メフィスト賞を『無貌伝 ~双児の子ら~』で受賞。同シリーズに『無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~』、『無貌伝 ~人形姫(ガラテア)の産声~』『無貌伝 ~綺譚会の惨劇~』『無貌伝 ~探偵の証~』『無貌伝 ~奪われた顔~』がある。

「2014年 『無貌伝 ~最後の物語~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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