その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

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著者 : 井上真偽
  • 講談社 (2015年9月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990554

その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)の感想・レビュー・書評

  •  バカミスといっては失礼なのかな。どういう分類にいれればいいのだろうか。周囲を崖に囲まれて孤絶した宗教団体の集落で信徒の集団殺人事件が起こり、唯一助かった少女が不可思議な事件の真相解明を探偵に依頼する。少女の証言のみを手掛かりに、探偵に敵対する勢力が次々にいろいろな可能性を挙げては、探偵がそれを否定していくというスタイル。可能性を考えるのは自由なのでかなりのバカミスっぽいトリックが繰り出されるが、可能性を全否定するのは容易ではなくそこが読みどころとなっている。そこで終わればバカミスそのものだが、最後に当の探偵がきちんと常識的な謎解きをして終わるので、本格ミステリとして成立しているといっていいだろう。フーリンだのリーシーだの中国人の脇役も馬鹿げていておかしいし楽しめる。

  • あらゆる可能性を否定して、残った真実(奇蹟)を証明する。というのはとても面白かった。

    ひとつひとつの、可能性の話も、そしてそれを否定していくのも読んでいるとすごいなぁと思うばかり。

    ただあんなにも個性的な探偵なのに、あんまり活躍しないことであんまりキャラに魅力を感じることが出来なかった。
    もっと探偵が序盤の変人ぶりを見せてくれると思ってしまった。

  • 机上の激論、カウンセリング的推理。前作で使い捨てるには惜しいと思った探偵再登場。全体に流れるケレン味は嫌いじゃない。7.5

  • 何とも楽しい物語だ.カルト教団の集団自殺事件の真相を解明する話だが,依頼者が件の事件の唯一の生き残りの少女・渡良瀬リゼ .探偵のウエオロが分厚い報告書をまとめるが,大門,フーリン,リーシー,アレクセイ,小学生のレンが次々と仮説を開陳する.ルールは可能性を指摘するだけで良い.彼らの仮説を探偵はことごとく論破する.その時のセリフが「その可能性はすでに考えた」.最後で黒幕のカヴァリエーレ枢機卿が判明し,探偵とのいきさつが開示されるが,奇想天外の話であるにも関わらず,綿密な推理とそれの反論は楽しめる.オスカーワイルドやコナンドリルなどのエピソードが随所の散りばめられているのも良かった.

  • 普段見慣れない熟語が多かったので、慣れるまで時間がかかりました。「奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証する」という、一風変わったミステリ作品。何が仮説として良いのか悪いのか、その境界線がイマイチわかりませんでした。数学の証明問題みたいで、一つ一つの言葉を理解して読み進めないと話がこんがらがってしまいそうです。それでも、結果は納得のいくものであったし、何より上笠のキャラクターが好きでした。フーリンが何だかんだで上笠を気にかけるのがわかる。

  • 仮説を検証するための装置に250万。
    フーリンに1億を超す借金をする探偵、ウエオロ。
    彼の事務所に現れた依頼人はかつて首を切り落として集団自殺を行った宗教団体の唯一の生き残りの少女だった。
    10年前、私は殺人を犯したのか。
    それとも奇蹟が起きたのか。
    「奇蹟」を証明するため、ウエオロは可能性をすべて否定してみせる。
    「人知の及ぶあらゆる可能性を全て否定できれば、それはもう人知を超えた現象と言えませんか?」
    そんなウエオロの前に様々な「仮定」が立ちはだかる。

    もういいよ、と何度も思い、思いつつ読んでしまった。
    次から次へと現れるトリック、その全てに「その可能性は考えた」。面倒くさいのに面白かった。
    不思議な読後の本。

  • 「ミステリーアリーナ」の時にも感じたのだが、本格ミステリにおけるひとつのテーマに対し、とことん突き詰め、そして突き抜けた解答を読者に提供してくれる。そんな作品には敬意を評したい。
    逆説の完成形といってはいいんではないでしょうか?奇蹟が起きたことを証明する為に、トリックが不可能であることを証明する。ロジックに重点を置くミステリファンは必読。
    論証と反証。なんて幸せな時間…
    続編を読むのが楽しみで仕方がない。

  • ミステリの核となる事件とそのトリックはまあそんなに特筆すべきこともないんですがタイトル通り、可能性を提示してそれを否定する、という点にのみ特化したお話。見せ方がおもしろいな、と。ところどころに漂うラノベっぽい感じは目を瞑るとして。
    ただ語り手である「フーリン」がやたらとキャラがぶれてるのが読んでいて居心地が悪かったですが。冒頭から必要以上に残忍な人柄が描かれてるかと思ったら結局ただのワトソン役・・・以下のただの驚き役にしかなってないし。時々思い出したかのようにとってつけたような残忍っぽさが逆に違和感。

  • 次々こうもいろんな考え方があるんだ、と一つ一つ検証していく過程に疲れました。
    真実だろう推理にたどり着いた時にはぐったりしてしまって…手強いストーリーでした。

  • 一つの事件について様々な仮説を立てる、なるほどなあ、そうアプローチするかとただひたすらウンウン唸っていた。
    途中から“奇蹟を証明する”ことが果たしてこの物語の解決(真相の究明)なのか?というのがよぎったが、個人的には最後の着地は好きでした。納得です。

    と、仮説と反証部分は面白かった。

    ここは好みの問題かもしれませんが、中国設定やオッドアイや濃すぎる人物設定が合わず、といった感じでした。
    あともう少し、脇役より探偵の活躍が見たかった、ミステリ部分に集中したかった。

    どっちかというと小説というよりマンガやアニメとの相性がいい気がしました。好き嫌いが分かれそう。

  • 流し読みには向かない、いちいち戻って確認したくなるお話。反証の反証の反証。楽しい。

  •  不可能と思える犯罪は奇蹟によって起こったのだと証明するため、様々な人が掲げる物理的に理屈の通るトリックが不成立であることを立証する探偵・上苙丞。
     依頼人は、首を斬り落とす集団自殺をしたカルト教団で、唯一の生き残りである少女。
     ともに暮らした少年が彼女を救うため、首を斬り落とされながらも彼女を抱き抱えて運んだ、という記憶の真相に迫ります。

     その真相ももちろん気になるし、様々な人がそのトリックを提示し、探偵がそれを否定する、という展開はおもしろかった。
     それはすごくおもしろかったんだけど、これがこのシリーズの第1作目であるのに、何の前置きもないまま、探偵が中国人女性(wikipediaでは上苙の相棒となっている。)が借金の返済の話をしているし、大門さんもよく分からないし、大掛かりな組織めいて来るし、そういう設定(舞台設定)がよく分からなくて疲れた。
     よく読めば分かったのかもしれないけど、ややこしすぎて読み飛ばした。
     そんな複雑な設定とかなくても…、もっと簡単な世界観でよかったな。

  • 全体的に今ひとつ。いろいろな推理を探偵が論破(否定)していくのだが、非現実的で、ゴチャゴチャしてわかりにくい。
    最後の結論もなんと言っていいか、、、。面白いと思う人は面白いのだろうが、私的には駄目。続編があるようだが、今は読む気になれない。

  • 楽しげなキャラクターが次々と出てくるので、漫画とかアニメとかにすると面白そう。
    最後の謎解きは、どうなのかな?
    他の可能性を潰して、あれに気づかない?

  •  読み始めてすぐ、「これは失敗した」と思った。あまり出来のいいとはいえない登場人物の設定にがっかりして、じっくり読めるミステリという気がまったくしなかったからだ。その「気持ち悪さ」は最後まで続いたのだけど、これは個人の趣味の問題だろう。客観的な評価とはいえないはずだ。

     肝心のミステリとしての趣向は、「なるほど、この手があったか」とうなずけるおもしろさだった。やや軽薄には感じたが、この趣向を支えるだけの背景も設定してあって、それはそれで誠意を感じた。

     どちらかと言えば「バカミス」のたぐいだろうと思う。いくつもの仮説が生まれては消えていくのは、名作「毒入りチョコレート殺人事件」「ジェミニー・クリケット事件」を思わせる(むしろ西澤保彦氏の作品が近いような気もする)。ただし、そこに出てくる仮説が、ともあれびっくりするようなものなのである。読んでいて麻耶雄嵩氏の「翼ある闇」を思い出してしまった。そのくらい破壊力のある仮説がつぎつぎと飛び出してくる快感はすばらしかった。

     一番残念だったのはラストで、「あ、やっぱりこうなるんだ」という脱力感があった。せっかくここまでやったのだから、最後にもうひと驚きさせてほしかったなと言うのが本音。

     でもまあ、全体としては楽しかった。個人的にはどうも好きになれない登場人物の味付けも、実は全体に漂う虚構性を支えていると思えば納得できなくもない。次作も読んでみたくなる。

  • 息をつく暇もない展開。
    綿密で濃厚な論理合戦。

    久しくミステリーを読んでいなかったので正直脳がついていけなかった。過去に起きた事件を生き残りの証言と当時の資料により推測。
    生き残りの少女の犯行であることの否定と髪の毛奇跡の証明が目的で実際にリアルタイムで事件が起こるのを解決していくというものではありません。
    舌戦が中心です。

    好き嫌いが別れる作品かと。

  • とある宗教団体で起こった集団自殺にまつわる謎を解くミステリ。無数の「可能性」を考慮してそれを否定していく、というロジックが複数提示されるので、これ一冊でおなか一杯、大満足、という感じの一冊です。
    そりゃあ可能性だけならどんなトンデモトリックでもあり得るのだけれど。それをきちっと伏線を押さえて潰していく過程がお見事。そしてきちんと真相にたどり着けるのかが不安でしたが。それも杞憂。
    キャラクターの魅力も相まって、続編も非常に楽しみな一冊です。特にフーリンがいいなあ。なんかすごく好き。

  • 登場人物達のやたらと凝り過ぎた設定や、それが真相なら暴動が起きるレベルで無理の有り過ぎる「可能性」や、たった4つしか提示されない「可能性の否定」といった数々の粗を、それでも力技で読ませるミステリー。
    タイトルが最高に格好良い。
    意外と面白かったけれど、タイトル通り否定を前提としてネタを作った感が出過ぎていて論理的かと言われるとかなり微妙。

  • 「その可能性は既に考えた」と探偵は言った

    トリックを暴くのではなくトリックが不可能であると暴く、というのが面白かった。

  • 本格ミステリーってこういうのなんですか?
    後半なんか、頭ぐちゃぐちゃで追いつけなかった。
    中国絡みの話、好みでなく要らない。

  • なかなか突拍子もない仮説が続くので、えっどういうこと?とすぐ理解できなかったり、私だけかもしれませんが。助手役?のフーリンがいい女だったので、次回作も読む予定。

  • けれん味たっぷりの舞台廻しだが、最後はグダグダだった。

  • 「『奇蹟』も、真実の一つに入るのですか?」
    「『奇蹟』は世界で最も美しい真実です」
    (P.54)

  • 借金1億超えの探偵の元に、15年前に起きた新興宗教の集団自決事件で唯一生き残った少女からこの事件で起きた不可能犯罪が本当に不可能な「奇跡」だったのか検証してほしいと依頼される。
    次々と現れる刺客が展開する可能性に探偵は「その可能性はすでに考えた」と言って反証していく。
    探偵ウエオロ、高利貸しフーリン、元検察・大門、フーリンの旧友兼仇敵リーシー、天才小学生元弟子・八ツ星などのキャラがみんな濃い。
    最初のページに見取り図もちゃんとある推理小説。

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