その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990554

感想・レビュー・書評

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  • 私の先入観だとかが悪いんだけど、読み進めようとしても全然把握できず。。
    その少女が殺していないという他の可能性を潰していく展開。
    逆にギロチンを・・・という序盤あたりで挫折。
    317冊目読了、とはいえないけどカウント。

  • ミステリの核となる事件とそのトリックはまあそんなに特筆すべきこともないんですがタイトル通り、可能性を提示してそれを否定する、という点にのみ特化したお話。見せ方がおもしろいな、と。ところどころに漂うラノベっぽい感じは目を瞑るとして。
    ただ語り手である「フーリン」がやたらとキャラがぶれてるのが読んでいて居心地が悪かったですが。冒頭から必要以上に残忍な人柄が描かれてるかと思ったら結局ただのワトソン役・・・以下のただの驚き役にしかなってないし。時々思い出したかのようにとってつけたような残忍っぽさが逆に違和感。

  • 時々出てくる中国語や難解な言葉が読みづらかった。
    フーリンの語尾の「~ね」はステレオタイプなのかパロディなのか…。
    他にもキャラクターが渋滞していて、それを追うのに必死。
    事件自体はカルト教団の首切り集団自殺というなんともヘビーなもので、なんだか読み疲れた。

  • 青髪の探偵が、すべてのトリックが不成立であることを立証することで、奇跡がこの世に存在することを証明しようとする。カルト教団の集団自殺で、首を斬られた少年が少女を抱きかかえて運んだ、というのは奇跡か。

    閉ざされた山奥とか、教祖が首を切るとか、ギロチン台や滝や川とか、普通にはないでしょ、と思える現場状況なのですが、何組もの推理と仮説と反論をきっちり組み立て得るベースとパーツなのでした。

  • タイトルが気になったので読んでみました。
    地の文に『とか』が使われていたり古刹に(古寺)と注釈を入れたり、
    キャラ設定が要素入れ込みすぎて渋滞を起こしていたりと
    ちょっとラノベっぽい小説です。
    キャラの掘り下げも、要素の盛り込みの割にはあっさりしています。

    事件の解決を直接的に真実を突き止めるのではなく
    あえりないことを除いていって最後に残ったのが真実
    という考え方で探偵が解き明かしていくという設定は
    とても面白いです。

    ただこの辺りは探偵の人となりにそれなりに説得力がないと
    作者の都合の良いように議論が展開されているだけで
    「探偵がすごいわけではない」と感じてしまうので
    探偵に対して読み手がどう感じたかで評価がわかれるかもしれません。

    すべての可能性を考えるというのは、悪魔の証明のように
    現実問題不可能な気がしますし、
    たまたま相手があげた可能性は潰しておけただけ
    と取ると、こじつけ感も否めなくなってしまいます。
    自分は、こじつけだ!と思うほどではなかったものの
    探偵のキャラクターにそこまでの説得力が感じられませんでした。
    最終的に、読んでいる者としては奇蹟だと納得もできなかったです。

    面白いことは面白いのですが、惜しいというか残念な感じがする内容でした。

  • トリックを否定する、少し変わったミステリ。
    内容もキャラクターも、クセが強い。
    論理の応酬は興味深い反面、飽きも来るかも。
    特異な設定はおおいに評価したい。

  • 奇蹟を証明したい探偵の元に不可解な事件が持ち込まれる。探偵はついに奇蹟を確信するが、次々と証明する勝負を挑まれ打ち破っていく。
    探偵がロジックを否定する側というのが面白い。色々と難癖をつけられるが「その可能性はすでに考えた」と決めゼリフを言い否定する。映像化しても面白そうではある。

  • うむむ。期待値が高すぎたか。いわゆる多重解決の応酬モノなんでしょうが、『否定』を前提としてる推理のため、なんだか明らかに逆算して考えてるよね感がチラチラ見えちゃうといいますか……。
    あと、キャラや舞台設定に外連味を持ち込む事は悪くないんですが、その諸々の設定情報が序盤、なかなか出てこないため、前半、この登場人物たちは一体何の信念に基づいて何をやっておられるのか……、という印象を受けてしまう。
    (読んでる側はミステリの謎の考察に全力投球したいのに、妙に思わせぶりなキャラ設定を小出しにするせいで、そっちも気になっちゃって、読書してて作品の印象がどっちつかずの中途半端になっちゃう。とくに、いつバラしても問題無いキャラ背景ならとっとと明かして、読者と作者でそこは世界観を理解する情報として平等な状態にしてしまい、あとは頑張って用意したミステリネタの考察に読者に集中して貰った方が良いのではと思うのですー)
    あ、あとワトソンが自分を語りすぎて探偵役の行動描写が少ないせいで、探偵役の魅力が伝わらないのも残念だったかな。(結局、どんな性格の奴なのか最後までよく判らんかった…)

    奇跡が存在することを証明する、そのためにトリックの不成立を証明する、というアイディアはとても面白いので次作があるなら楽しみにしておきます。

  • 最初に抱いた感想はミステリー版グラップラーバキ。作中で言及されている通り、詭弁に近いトリックの仮説をぶつけあい、探偵がそれを破壊していく。まるで、バキに登場する怪しげな格闘術のように。作品としての完成度にほとんど寄与していない物語もその雰囲気の構築に一役買っている。

  • 新宗教団体が集団自殺を遂げた不可解な謎に対し複数の仮説が並立的に提示されます。探偵役の上苙丞が論理的に全て否定していくのですが、思わぬ事態へ発展していく趣向は秀逸で、一味違った多重解決を楽しむことが出来ます。
    しかし、刺客たちが上苙丞の論理にあっさりと引き下がるのには拍子抜けですし、バカトリックの仮説ばかり並べたのに真相だけ真面目で無難というのもなんだかなぁという感じです。

著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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