誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990691

作品紹介・あらすじ

最強の「援交探偵」が
異形の館での連続殺人に挑む!

――必ず驚かされる。
史上初(?)の「社会派エロミス」誕生!!

第50回メフィスト賞受賞作『○○○○○○○○殺人事件』の著者、会心作!

「援交探偵」上木らいちの元に、名門企業の社長から「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。東京都にある異形の館には、社長夫妻と子供らがいたが、連続殺人が発生! 
一方、埼玉県に住む高三の戸田公平は、資産家令嬢・埼と出会い、互いに惹かれていく。
そして埼の家に深夜招かれた戸田は、ある理由から逮捕されてしまう。
法とは? 正義とは? 驚愕の真相まで一気読み!
「奇才」の新作は、エロミスと社会派を融合させた前代未聞の渾身作!!

感想・レビュー・書評

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  • らいちシリーズ。エロミスであり、バカミスであり、新本格かつ社会派?変な小説である。
    会社経営者からメイド服が送られてきて、円形のいかにも講談社ノベルスっぽい館に招かれ、密室で怒る連続殺人と、18歳の少年が淫行条例で逮捕される話の2視点から物語が進行する。
    アイディアは凄いし、法の抜け穴的な部分もなるほどなぁと思うが、これ社会派か?と思わなくもない。この作者はしかし突飛な発想の持ち主だと思うが、他の著作のようなロジカルな推理の組み立てがもっとあると良かった。

  • 社会派+早坂吝が融合した世にも奇妙なミステリ。ネタ扱いのトリックに斬新なアイデアを加え、核心へと繋げているのは上手い。読む前はナメていたが、実はらいちシリーズはこのテーマのために生まれたのかもしれない。

  • 早坂吝、デビュー作から一目置いていたけれどやっぱり凄い作家さんです。
    らいちシリーズの三作目。正直いって褒められたお仕事ではないけれど今回も怪しげなメイドだけれど、かわいいから許してしまう!
    ダブルで主役を張る戸田くんも一途だから許す!
    とにかく、一行も読み飛ばせない。伏線の張り方が上手い作家さんだなぁと、毎回思ってます。
    『○る』という表現方法、思わず拍手。
    ミステリー読みであれを当てた人いらっしゃるでしょうか?

  • 社会派×本格×エロミスの大傑作。
    援交探偵上木らいちと、高校生戸田公平それぞれの章がどうクロスしていくのか、解決パートまで全く予想できず、大いに驚いた。

    不可思議な事件に本格ミステリ具合。読者への巧妙なミスリード。それに加え、社会秩序の不安定さ。ミステリの楽しみが凝縮され、なんといっても「なにが起きているのか?」が、読者は話繋がらないまま、もやもやしっぱなしの幸せタイム。

    援交探偵のキャラ人気、エロミス要素抜きにしても、素晴らしい完成度。

    ラストに到達するまでの、多くの伏線といい意味で強引な作者の手腕には、脱帽である。

    1作目の大仕掛けとエロミスセンセーション。2作目のミステリへの憂いと挑戦。どちらと比べても、シリーズで間違いなくベスト。

  • 上木らいちの元に、とある有名企業の社長から「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。その邸宅である異形の館に出向くと、どうも様子がおかしい。そこに連続殺人が発生!
    一方、高校生の戸田公平は、資産家令嬢の埼と出会い、つきあうことに。埼の招待で深夜こっそり彼女を訪ね結ばれたものの、翌朝埼の父親に見つかり通報されてしまう。大人っぽく見えた埼は実は17歳で、公平は条例違反で逮捕されることに。

    社会派と本格とエロが融合した見事なミステリ。○る館のトリック自体は古典派ミステリでよくある手法だが、その設定の活かし方や伏線の張り巡らし方が上手い。連続殺人の謎だけでなく、「なぜらいちはメイドとして呼ばれたのか」「らいちに手紙を送ったのは誰なのか」そして「東京のらいちの事件と埼玉の戸田公平の事件がどうつながるのか」といった謎が終盤一気に解決しすべてが繋がるのは圧巻。早坂氏の作風とも言うべきエロももちろん健在で、それすらも謎解きに活かされているのがすごい。その上、「罪とは何か」「法の裁きとは何か」といったことまで考えさせる要素もあるとは。一見バカミスみたいに見えて、実はロジカルに作り込まれている。

  •  3巻目にして、人に勧めやすいクオリティに。1巻目はトリックの奇抜さ勝負で、2巻目は短編集で物足りなかったのだか、3巻目にしてストーリーの組み方とトリックの重ね合わせがいい感じになった。ノベルスらしく、個人的な好みよりは設定過多というかトリックにこだわり過ぎている感はあるが、十分万人に勧められる。何より、あいつはこういうの絶対に気に入ると、読者が見えるようになった。問題は、援交探偵という設定が人に勧めずらいところかな。

  • 今回は第1巻同様の中編。そして館もの?表紙にあるようにメイドのらいちと、もう一人の男の視点が交差し、やがて一つの謎が解かれる。色気が通用せずに落胆するらいちが可愛い。途中、映画「それでもボクはやってない」で見たことのある情景がたくさん入るのがちょっと残念。

  • 援交探偵「上木らいち」シリーズの3作目です。

    本シリーズは、
    主人公が、プロ援交JK探偵?といぅ尖がったキャラの一方で、
    本編は、ツボがおさえられたユーモアミステリーといぅ一方で、
    種明かしやエピローグが滅茶苦茶といぅ??なシリーズでして、
    ボクの前2作の評価は、ともに±0のふつぅ評価でありました。

    本作は、
    主人公のエロなシーンが控えめ、といぅかほとんどなぃ一方で、
    本編は、最後までしっかりとしたコージーミステリーであって、
    ある意味ね、本シリーズのらしさ?は、ほどほど程度ながらも、
    完成度は、上がっていたと思います…。面白かったです!

    この感じなら、次回作も期待できるかな~!?

  • エロミスと社会派の融合という新しい試みはなかなかうまくいっていたように思う。どうしても社会派よりになってしまったのは致し方ないところかな。今後もこの路線を追求するのかはわかりませんが、個人的にはブラッシュアップして更なる完成度の作品を是非とも読んでみたい。淫行条例を絡めてのタイトルへの収束からエピローグへの流れは流石の出来。

  • 社会派と本格の融合を謳い文句にしてますが、その字面から受ける印象と、本書の内容にはかなりの落差がある。でもこれはきっと意図的。読者をここまで手玉にとってくる作家もそうそういないでしょ。社会派なんて書いてあるけど、真面目に語るのが恥ずかしくなっちゃうような作品。
    良く考えると、使い古されたトリックをいくつも繋ぎ合わせただけなのに、なんか新しさを感じるのは何故なのかしら…?
    三男絞殺のトリックなんて既視感バリバリだけどね…
    傑作だなんて言えないけど、今の本格を語るには外せない作家になってきたなぁ…なんて思わせるくらいには強烈な一冊。

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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