聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990790

作品紹介・あらすじ

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ミステリーランキングを席巻した
『その可能性はすでに考えた』シリーズ最新刊!

聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。
それは、同じ盃を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発な少年探偵・八ツ星は事件の捜査に乗り出す。
数多の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?
青髪の探偵・上苙は、進化した「奇蹟の実在」を証明できるのか?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ二作目。結婚式で毒殺された三人。しかしその方法がまったく謎。逆に同じ盃から飲んだ数人はなぜ死ななかったのか、いろいろ仮定はできるものの、考えても考えてもすべて矛盾してしまう論理。前作同様、怒涛の推理合戦がしっかりと楽しめます。
    しかし今回の読みどころは、半ばにして「犯人」が独白してしまうところ。これは衝撃。なのにどうやったのかがさっぱりわからない自分の頭にもがっくり(笑)。そして犯人の命運やいかに!? という部分にもどきどきしっぱなしで一気読みでした。

  • 多重解説ミステリ。バカミス顔負けのぶっ飛んだ仮説をあり得ないと否定する名探偵。
    伏線とロジックの応酬が最高。
    なんとなくオチは読めるが、抜群の安心感。
    年一ペースでもこのシリーズは続けてもらいたい

  • この作品の可能性はとどまることを知らない
     奇蹟を証明しようとする青髪探偵シリーズの続編です。前作の難点だった「テンポの悪さ」、「不完全燃焼の最終決戦」をクリアし、緊迫の推理合戦と完全解答が用意されています。多重解決ものとしては今までで一番好みでした。
     上苙の論証には付け入る隙がありませんが、ある人物の一言で雰囲気がガラリと変わる終章も最高です。

  • その可能性はすでに考えたの第二弾。

    相変わらずの美しい論証、証明を重ね、ロジック好きには完全におすすめできる作品である。ただ、前作のド迫力なバカトリックではなく、まともというか抑え気味な為、前作と比べるとインパクトには欠けるか?

    途中登場するウエオロ(探偵)と違い、はじめから現場を見ている読者には、最後の解答が見えやすいきらいがあるのだが、しかしである。それを、とある大胆な仕掛けで、覆い隠しているのが見事。まさかの展開に唖然となるでしょう。

    前作よりパワーアップしている点でいうと、仮説のボリューム。そして消去法による怒涛の論理的否定には、拍手喝采である。
    ある登場人物の発言「うわ…こいつノートとるの上手」は笑ってしまった。作者のわかりやすーい図や表には読者も大満足。

    ちなみに小学生がこんな頭が言いわけない!と否定するバカがいるらしい(本作でもコ〇ンを例にだしているが)。いや、麻耶雄嵩作品読んだら、そんな発言でないぞ…笑

  • 表紙がきれい~とか、冒頭が面白そう・・・とか、
    「このミス」で確かランクインしてたはず…みたいな理由だけで読み始めたけれど、読み進めるにあたって後悔。
    これは読者を選ぶ本でした。(選ばれなかった。)
    しかも前作も読まずに挑戦。いや、前作読んでいたとしても、降参していただろうな。

  • 最後のトリックが分からないので、再読予定。続く気満々の終わり方が嬉しい。次回イタリアかなあ。

  • 思ったより高評価で驚き。
    正直、前作で察していたものの、私には合いませんでした。
    覚えられない名前、ややこしい仮説、論争、上苙の登場の遅さと上苙がなかなか話さない等……悪い意味で気になる点が多くて、全く集中出来ず、飽きてばかりでした。
    もう所々読み飛ばしました(苦笑)
    表紙はとても美しいし、素敵なのに残念。

  • いやぁ…これは凄い…
    最後の畳み掛け。悪魔の証明なのか奇蹟の証明なのか知らんけど「〇〇の考察は✕✕によって反する。よって矛盾」の羅列は圧巻だった。凄えな…

  • 「その可能性はすでに考えた」の続編。

    ずっと追い込まれながら推理し続ける様がマゾかよってくらい震えました。大変だったのは青髪探偵ではなく聯だけど。一章で素人の皆さんが次々と推理を打ち立てていくのが面白かった。

    前作よりヒートアップした天下一武道会いやどちらかといえば天挑五輪大武會みたいな殺し屋たちの饗宴…〈ダイナー〉のコミック版を読んでる気分にも似て真面目なのかふざけているのかこんがらがりながらも愉しめた。インチキくさい日本語を話す、中華娘コスプレでヤバい仕事してる割に情深くてなぜか登場人物のなかで一番常識人になっているフーリンを応援しています。続きが早く読みたい。

  • 地方の町、名家の息子と家の事情で断れない娘の結婚式。望まぬ結婚を強いられた娘が両家の男を毒殺したという町の伝説どおり、式で同じ酒を回し飲みした家族のうち、婿・両家の父親のみが毒殺される。自殺用の毒を持参していた花嫁が疑われるが。

    いつものメンバーのちょっとシュールな物語を楽しむか、論理的に配置されたアイテムで論理式を組み立てるか。なかなか後者に至れませんが。

  • 奇跡は起きないのか、

    不可能に見えるんだけどね

  • 続編ですね。アニメ的なキャラクタたちの出自はともかく、前作の続きというより、そのフォーマットだけを利用した入りにたくさんのシリーズ展開というわけではないのだなと言う感じを受けます。論理的に選択肢を潰すという推理展開は読者の思う方向を誘導する必要もあり、そっかそういうパターンもと想起させておいて、その可能性を消します。なかなか難儀な展開です。探偵が事件をと紐解くと言う形からも逸脱していく展開はなかなか凝っております。典型的な展開をぶち壊す後半は圧巻でした。

  • シリーズ2作目。前作が思ったよりも面白かったので読んだもの。
    はっきり言って1作目のようなパワーもインパクトも感じられず、謎の複雑さだけで持たせている感が否めない。特に主人公が出てくる前までのモタモタ感は、読んでいてツライ。
    逆に言えば、後半のスピード感は気持ち良いのだが…
    前半を読んでおかないと後半につけていけないが、前半のムダをもう少し省いてくれると良かったのになぁ…と少し残念。
    次作もきっと読むと思うが、それも今回と同様だったらその次は読まないかもしれない・・・

  • 事件が「奇蹟」であることを示すために、奇蹟でない可能性が「全て」否定されることを示す、シリーズ2冊目。婚礼の席で盃の回し飲みをしたもののうち、1番目、3番目、7番目に飲んだものと、酒を嘗めた犬が死亡する、という不可解さはミステリ読みとしてはワクワクします。全てを否定するのに最後には表まで出してきて潰していくところなど、数学の証明問題のようで私はとても楽しかったです。一見何の役に立つのかというような情報がみな必要なことだったり、情報提示が綺麗なのには感服します。続編が出たらぜひまた読みたいです。

  • 『その可能性はすでに考えた』シリーズ第二弾。同じ杯をまわし飲みした8人のうち3人と犬だけが死ぬ、という不可解な状況の殺人事件を解き明かす。あいかわらずそれぞれが推理を披露し、それを論破し…と繰り返し、途中の殺人が可能かどうかの表まで出されたらもうめんどくさくなってもきましたが、話自体は面白く読めました。

  • 「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」
    反論の連続。


    初めて読む作家さんの作品で「その可能性はすでに考えた」の続編にあたる。前作よりパワーアップした「奇蹟の証明」に青髪の探偵・上苙が挑むミステリで、前作で特に人気の高かったキャラクターを再登場させているらしい(それは一体誰だ?)。


    聖女伝説が伝わる地方での結婚式で、胸糞悪い一家に嫁がざるを得ない花嫁、その式中に発生した殺人事件。更に、同じ盃を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという飛び石殺人。一体どのようにして犯行は行われたのか。ここに、ミステリ的なテーマは「否定」が、ガジェットでは「毒」が使われている。


    毒に関しては毒とは殺すためだけに非ず、とまでに話が膨らむ。しかし、個人的なインパクトでは、前者が上回った。ミステリ的なテーマは「否定」とはあるものの、ここまで遣い込むとは思ってもいなかった。前作もここまで遣い込んだのだろうか。だとしたら、なかなかの中毒性を孕んでいる。


    この毒性は八ツ星少年探偵を始めとしたキャラクターによるものだろう。今回で言うと、飛び石殺人事件の概要、詳細、容疑者(推定)、その容疑者が犯人の場合に起こり得る矛盾(反論)がまず話題となる。そこを皮切りに、立て続けに〇〇事件と銘打った仮名が付き、その場合の犯行は如何にして実施されたのか、また何故その犯行は容疑者には不可能かを、キャラクターが代わる代わる述べていく。言わば、〇〇事件を否定していく。これがなかなかの具合で、中毒性も中々。


    キャラクターとしては、フーリンも捨てがたいが、才気煥発な八ツ星少年を一番手にあげたい。少年らしい可愛らしさを始め、なかなか魅力的なキャラクターだ。フーリンの目の前に再び登場した際は、ムカつく空気の中だったので、やるじゃん!とさえ思うほどのcoolさもあり、さぞファンもいるんだろう。


    因みに、ウエオロは今回は遅れて登場である為、本来の魅力を全て見た訳では無いが、こちらも中々。前回はどんな活躍をしたのかは、気になるところ。そして、フーリン。美人でナイスバディだったら、是非なところがあるが、業務が怖すぎる。踏みつけられたい人は、マゾ中のマゾだ。


    前作を読みたくなるほどのインパクト。

  • 同じ盃を回し飲みした8人のうち、3人だけが毒によって死亡した。同じ酒を口にしたのに、なぜ3人だけが死亡したのか。これは奇跡なのだろうか。

  • 旧家で結婚式中に発生した毒殺事件。
    同じ盃を回し飲みした8人のうち3人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。
    参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発な少年探偵・八ツ星は事件の捜査に乗り出す。

    あらゆる可能性を論じるパターンの小説。
    登場人物の設定は漫画的。
    後半、どうでもよくなってきた。
    (図書館)

  • 今月の5冊目。今年の9冊目。

    面白かったです。前作よりおちが良かったと思います。

  • 奇蹟を証明するために可能性をひとつずつ潰していく?
    アンチミステリかと思いきや意外に正統派であった。
    中国人は「~あるね」とか「~言ったあるよ」とか、語尾に「ね」や「よ」を本当につけるのか?
    私が話したことある中国人は普通に話していたが。

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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