アフタヌーン新書 006 ジオン軍の失敗 (アフタヌーン新書 6)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063647693

作品紹介・あらすじ

失敗する製品が世に出てしまうのはなぜか?エンジニアはもちろん、広く製品開発に携わる人間ならば誰しも直面するその論点を、『機動戦士ガンダム』から学ぶ画期的書籍です。現役エンジニア層にとって、歴史よりも定石よりもリアリティを感じることができる題材で、「失敗する製品」を生み出さないための叡智を得よう。

感想・レビュー・書評

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  • ザクからジオングまで工業製品として大真面目に分析。いや〜、ホントに好き、この本。データをもとに仮説をたてるという私の苦手〜なコトの、素晴らしいお手本。見るからにオーバースペックだったり、陸上で弱過ぎたり、ムチだのサーベルだの一貫してなかったり、なモビルスーツ・アーマーたちに、組織としての必然性(なんでそうなっちゃったのか?)を理由付けできるなんて『考えるのが好きな人』はすごい、それを可能にするガンダム世界の奥深さもすごい。毎週、新キャラ出ないとつまんないでしょ的な観点は浅い、のだな。

  • 一年戦争で連邦軍に敗れてしまったジオン軍。
    開戦当初からMSで圧倒的優勢だったジオン軍はなぜ負けてしまったのか??

    ゲルググ、ズゴックなど有名MS開発の失敗をエンジニアからの視点で分析し、その真相に迫る。

    ジオン軍の歴史やMSの詳しい情報が書かれているので1st好きにはいいかも。
    著者がアニメ関連じゃなくてIT関連の書籍を書いている人っていうのが意外。

  • 一年戦争におけるジオン公国軍のMS開発史を製品開発の視点で考察した一冊。

    要はガンダム本なわけだけど、この本の良いところは、本文中の視点が宇宙世紀(それも少なくともUC0123以降)の人に徹底されてるところ。こういう真面目さがこのテの本を面白くする。

    「MS-06F ザクII の成功体験が長期的には失敗を誘発した」とか、そういう工業製品開発を軸にした考察で、グフ、リック・ドム、ゲルググ、ズゴックなどのMS(MA)を考察していく。高機動型ザクが取り上げられてるのが嬉しい。

    『空想科学読本』を僕が苦手な理由は、現実の視点に立ってフィクション世界を考察しているところ。そりゃあ、現実世界の視点で見るとフィクション世界におかしな点はたくさんある。だけど別の世界の話だから。要は物差しが間違ってる。身長測る時にストップウォッチは使わない。作品に対するリスペクトが足らない気がする。

    「前田建設ファンタジー営業部」みたいに、フィクション世界の話を現実世界に持ってきて、「こっちの世界で実現するなら?」っていう前向きな考察も好き。あとは『すごい科学で守ります』みたいに、フィクション世界の中の視点から考察してるのも好き。本作もそういう系譜。作品に対するリスペクトを感じる。

    今回取り上げられてないMS(ギャンとかアッグシリーズとか)についての続編書いて欲しいな。

  • 宇宙世紀0090年代に書かれたジオン軍のモビルスーツ開発史の体裁をとったガンダム本。一年戦争時のジオン軍のモビルスーツ、モビルアーマーの開発を考察することで、技術開発における失敗の要因を示そうというもの。

    「Suggestion」として紹介される技術開発への示唆に目新しさはないが、それらをガンダム世代に馴染みのあるMSをモチーフにすることで、わかり易く紹介している。この試みは面白い。確かに実際の技術開発の場面でも同じようなことが多々あり、そうした「製品開発史」的は本も多い。私は、ザクの話を読みながらアップルIIIを思い出したりした。

    ただ、本書はそんな技術開発におけるサジェスチョンなど気にせずに、単なるガンダム本として楽しむのが良いと思う。

    注釈が多いのは良いのだが、それらが各章末にあるため、本文を読みながら注釈を読もうとすると非常に読みにくいところが残念。

  • モビルスーツの歴史がこんなに深いとは思いませんでした。ただ、一般技術への応用部分の説明が足りてないように感じます。

  • 図書館で見かけたので借りてみた。買えよ(笑)

    こういうのを見ると、ホンマにガンダムって広いなぁ、と言うか、懐が深いと言うか。いや、みんなが勝手に広げるんだな。みんなが勝手に広げて、勝手に掘り下げるんだ。それがガンダムの世界をより魅力的なものにしてるんやろうな。こんなに周囲の人間が好き勝手やっているのがすごいよね。こんな作品は他にないよね。

    で、本書の内容。

    個人的には普通に面白かったなぁ。まあガンダムが好きだってのもあるけど、それぞれのモビルスーツ、モビルアーマーがなぜ失敗だったのか、という説明をちゃんとやっているのがいいよね。

    基本的には「こんなのがあったら面白いよね」で富野由悠季が好きに作ったんだろうと思うし、ジオンのモビルスーツが何種類も出てきているのは、番組を盛り上げるための都合であって、そこにジオンの失敗も何もないんだが、でもある程度のリアリティを求めて作られたのがガンダムだった、それが本書にも生きているんだと感じた。

    まあ、いろんな派生作品が出来上がったことで、ガンダムの世界自体が継ぎ接ぎになってるし、本書でもその影響は出ている。ハイゴッグなんて1年戦争末期の機体だけど、「未だにそんなの作ってたの?だったらゲルググのライン増やせよ」って感じだし。

    でもその「余計なサイドストーリー」がガンダムの世界に深みを与えているのは間違いないよね。だからファンが多いし、未だにその世界は広がり続けているんだろうけど。

    まあ一年戦争絶対論者?はこの本は楽しんで読めると思うよ。僕はレビル将軍の名前が「ヨハン・レビル」ってところに一番反応したけどね(笑)知らなかったわ(笑)

  •  ザク=ゼロ、ジム=ヘルキャットかムスタング、ゲルググ=紫電改。で例えられそう。もっとも、ジオングやビグ・ザムの如き既有兵器はなく、他方B29の如き兵器はない。

     本書は、1st.ガンダムで登場したジオン軍のモビルスーツ、モビルアーマーに仮託し、次々出される兵器群の系列性・関連性・継次性の問題点を明示するものだ。
     これらモビルスーツと物語での役割や帰結を知っていれば、本書に左程の驚きは感じないだろう(マニアックなメカ情報は別)。
     勿論一年戦争が何をカリカチュライズしているのかを知っていれば驚きは少ないはず。

  • 工業製品開発の観点から、ジオンのモビルスーツ開発の歴史をなぞる良書。

    モビルスーツ毎に、プロダクトとしてどこが良くてどこがダメだったのかという点が簡潔に書かれており、読み物として、とても楽しい。

  • 2014年8月8日読了。ガンダム一年戦争にまつわる各種文献・記録映像(アニメ作品)から、ジオン軍のモビルスーツ開発の「失敗」の要因について分析する本。「ゲルググがあと1ヶ月早く投入されていれば戦局は変わっていた」「ジオングが完全体ならガンダムを圧倒していた」などと「戦史のIF」はよく語られていることだが、MS自体を工業製品と考えると、性能だけでなく製造コスト・投入時期・メンテナンスの容易性・量産ラインの確立などを勘案しなければそれを評価することはできない、とする論は至極まっとうなのだが、ガンダム関連の論説でこうした指摘を見たことはなく、非常に新鮮。連邦に比べジオンのMSの多様性には目を見張るが、結果的に良質なMSに資源を集中できなかったことは「敗者の戦略」だったということか。ザクはその万能性、製造の容易さが仇となってジオンのMS進化・改善を阻害したとか、その万能MSコロニー落としの戦術遂行のコマとして多数を犠牲にしたために却って多くの戦果を失ってしまった、などは戦争が終わった後だから言えることだが、ジオンの戦略ミスということだったのだろう。

  • ジオン軍を例えに製品の失敗を語っているのでガンダムを知らないと、よく理解できない。逆にガンダムを知っていると、その設定・解釈のすごさに目が行く。

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著者プロフィール

中央大学国際情報学部教授

「2021年 『デジタル/コミュニケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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